(5)少女、初LIVE.
小曽根凛と吉倉亜美佳はドームに入り、チケットに記入されている番号の席に行った。どうやら小曽根凛と吉倉亜美佳の席は運よくアリーナ席だった様だ。
このドームは舞台に一番近いアリーナ席、そして次に近い一階席、二階席、そして三階席まであり、ファンがいつも狙っているのはもちろんアリーナ席である。その他、芸能人や海外の有名な人物が座る「特別席」と言うものが二階席にある。
「ねえ凛、お茶買ってきてくれない?」
「あ、はい。良いですよ。」
「後でお金は渡すからお願いね‼....あ、たぶんLIVE開始まで30分以上あるから大丈夫だと思うけど、もしもLIVEが始まったらお茶は諦めて帰ってきて良いからね‼」
「は、はい。」
そして小曽根凛は席をはずれ、お茶を買いに行った。
――――――――FKドームには、メインドーム(スポーツやLIVEをする場所)の他にフードコーナーが存在する。フードコーナーでも九つあるのだが全てが20分待ち。フードコーナーは早く行ったもん勝ちである為に遅く行った者は欲しかった食品や飲み物が売り切れだった場合もなくはないのだ。
―――――――――何分経っただろうか。あきらかに30分は経った頃であった。
『キャあああああああああああッ‼』と言う声がメインドームから聞こえてきた。その途端、並んでいた客がザワザワと動き出し、メインドームへ。その為、九つの店はガラガラになり、小曽根凛はお茶を買う事が出来た。
「ちょっと位遅れても大丈夫ですよね。」
そう呟いた小曽根凛はもう一つのお店で自分が食べるチュロスと飲み物の紅茶を買った。
....シュンッ
「!妖気!....こんな所に妖怪が居たら多くの犠牲者が....」
すると小曽根凛はすぐさま脳を集中させ、妖怪の妖気や情報などを調べ始めた。
「妖気9.2。大きさ5m12cm、体重117.kg。ターゲット確認。こうげ――――――」
小曽根凛は思った。『今ここで戦ってしまうとメインドームに居るファンの方達が....』と。そう思った小曽根凛は攻撃を辞めた。....いや、辞めた訳ではない。このまま滅しなければメインドームへ妖怪が入り、沢山の犠牲者が出るに違いない。
――――――そして小曽根凛は思った。『メインドームに居るファンの方達を別の場所へ避難させて此処で私と妖怪が戦えばいい』と。
そして小曽根凛は買った物をその場に置き、メインドームへと入った。
(♪)「でもまた二人で歩いて行きたい あの楽しかった時を思い出して きっとまた会えると信じるよ?」
(♪)「「だから君が思い出になるまえに君と思い出を作ればよかった」」
メインドームに入った途端、大きな音とファンの声が小曽根凛の耳に入った。だがそんな事は気にせずに小曽根凛は作戦を決行しようとした....が。どうやって避難させるかを考えていなかった小曽根凛は困った。
「....もうッ・・・しょうがない....」
すると小曽根凛はアリーナ席へ向かい、「あ、凛♪」の吉倉亜美佳の言葉を無視してアリーナ席の一番前の席にやってきた。
「あのッ!...」
歌詞はhttp://www.kashizo.com/bbs/lyrics/light.cgi?page10=valのまた会える日までをお借りしました。