紫煙談
男性2、女性0、不問0。声劇台本として10分相当
男: クズ
じじい:老害
男とじじいの関係性はご自由に想像ください。
–
――演者は好きにタバコを吸うこと。
男 『あ? うん、いや、飯はいらね…………いや、遅くなるっつ………ハァ? んなわけねぇだろカス! 切るぞ!』
――男、喫煙所に入る。
男 「ったくクソが………。あ、こんにちはっす」
じじい「おぅ」
男 「お、ショッポっすね」
じじい「マ、座りねぇ」
男 「俺も、っと……前はショッポだったんす」
じじい「いヤァ、最近のもんはどうもな……」
男 「最近っす? 俺は……あれ? ライターライター………ァア! クソッ!」
じじい「お、火ぃいるか?」
男 「あ、どもす!」
――カチッカチッカチッカチカチカチッ ボッ
男 「ったぁ〜〜」
男 「プハー」
男 「ども、あざした」
じじい「おう」
男 「最近はもうアメスピばっかっすね」
じじい「いやぁ、そうそう………。コスパとかそういうワケワカランの」
男 「電子タバコですよね」
じじい「あぁ、人間的に弱くなるってもんだ」
男 「本当に。お互い健康でいたいっす。ま、嫁は吸うなって」
じじい「ははァン、かみさんってもんだな。うちのおっかさんなんて最近はわけぇのの尻追っかけてよォ」
男 「えーへへ、母さん元気してっかなぁ………」
じじい「いやそう。でまったく、末っ子なんてとっくにアレでよぉ、顔なんざもうェ? あーバンドで、つってたかなぁ?」
男 「えマジすか!? ココだけの話、おれ、ギターっすよ。いま、かわいい子、集めてるんすよ」
じじい「かわいがっても無駄よォ?」
男 「そっかー。ま、でもみんな上手いんすよ」
じじい「いやぁ、一番上は優秀よ。浮気はぁ……ウンまぁ、アレだったけどさ。それから週一回は顔見してってくれてよォ」
男 「へぇ、俺、週一でもキチィっすよ」
じじい「それがいいんじゃねぇか、マでも孫ん顔見にゃ安心できねぇって言うじゃねぇか」
男 「いや、ほんと、マジみんなに迷惑かけてて」
じじい「えぇ? オメェは気にすんなよぉェエ? ぅだ、結婚してんのか?」
男 「はい、そういう感じで知り合って。まぁ苦労かけてばっかすけど」
じじい「いやいや、苦労してこそ男だァ」
男 「反対されたんすよ。どこの馬の骨とも知れねぇやつはって。それで、半ば家出みたいな。まぁ今は――」
じじい「なぁ、家出って……」
男 「ん?」
じじい「ッアハハッ、そりゃえれぇ男気じゃねぇか。気持ちぃ野郎だぁ。俺は気に入ったぜ?」
じじい「ほれ、一本くれてやらぁ。ショッポ、吸うんか?」
男 「あざっす。あ、じゃあこっちも」
じじい「おぅ、うれしいねぇ」
男 「かわいい嫁なんすよ、あ」
じじい「ほれ」
男 「あざす」
――カチッカチッボッ
男 「スゥー。ぅおぉ……」
じじい「きちぃか」
男 「うまいっすね」
じじい「だろぉ〜」
――二人、しばらく黙ってタバコを吸う。
男 「まぁ嫉妬深いとこもあって……」
じじい「いいじゃねぇか」
男 「……料理ヘタクソなんすよ」
じじい「……それがナァ――うちのおっかさんもなんだよ、なんでも減塩減塩って、味がしねぇんだコッチは」
男 「うちもっすよ!」
じじい「ひでぇよなぁ、こっちはよぉ遅くまで鉄棒担いで汗水たらしてんだぁ」
男 「汗ってしょっぱいんすよ」
じじい「ントだよ! 塩のチョイトも食わせろォ。味噌汁なんて何すすってんかわかんねぇ」
男 「いや本当っすよ!」
――着信音
じじい「おっと……んじゃ、おめも楽しんでくれ」
男 「え、あ――あざした!」
――じじい、ライターを置いて喫煙所から出る
じじい「………っといけねぇ……ハァ……」
――ピッ
じじい『……ん……美咲か』




