第三話 こんなの絶対おかしいよ?
「「相談があるの(ん)だよ」」
なかったな!白い明日待ってなかったな!
はいデジャブ二回目!
再び放課後のファーストフード店。目の前にはお馴染みエスパダの二人、赤坂君と村崎君の二人がドン!
しかも二人して顔赤いしもうこれアレじゃん。新垣君と鳴瀬君から話が伝わって恋愛相談しに来たやつじゃん!
ちなみに前回の鳴瀬君の一件から一週間が経過しております。
鳴瀬君は無事、稲代センパイとお付き合い始めたそうですよ!やったねたえちゃん!(白目)
ていうか言っていい?
ぶっちゃけ私、新垣君のときも鳴瀬君のときも大したことしてないよ?
話を聞いただけだよ?
なんだ?私は恋愛地蔵かなんかか?
私にお参りしたら恋愛フラグパイセンが建つ仕様なのか?
「先輩?」
「あ、うん。
ごめん。
相談って?」
あ、まずいまずい。考え事してたら赤坂君に不安そうな顔で見られた。
だからやめろくださいってばそういう捨て犬みたいな顔すんの。こちとら中見はアラサーやぞ良心が痛いわ。
ちなみに赤坂君は190㎝の長身ながら眼鏡の文系イケメン。村崎君はいかにもなワイルド系イケメンだ。
「す、す、す」
「うん」
「す、す、す、すっとこどっこいが!」
「それを言うなら『好きなひとが』だろ」
真っ赤な顔でベタな間違いをした赤坂君についマジレスしてしまった。
いやまだ私は我慢したよ。本音を言えば「喧嘩売ってんのああん?」くらい言いたかったもの。いや、言い間違いだってわかってたけどな。
まあ、赤坂君は今まで色恋沙汰に無縁だったからテンパったんだろうが。
「わ、わかるのですか!?」
「わからいでか」
「さ、さすが先輩!」
うん、なんだろう。この大したことしてないのに賛辞されるいたたまれなさ。
きみがわかりやすいだけや。正解率100%の問題やぞそれ。べつに名探偵じゃなくてもわかるやつやぞ。
「じ、実は、オレは、その」
「鷲尾君?」
「エスパーですか!?」
真っ赤になって眼鏡カチャカチャさせながらうわずった声で言おうとした赤坂君の先手を打てばめっちゃ驚愕された。
やっぱりか。おまえもかブルータス。
いや新垣君と鳴瀬君の流れでわかるっつの。
おまえも自分の相棒に惚れてるとかいうクチだろ!わからいでか!
「や、単純にきみが特定の女子と親しくなれると思わなかっただけなんだけどね。
そうなると一番親しい鷲尾君かなって。
あと新垣君と鳴瀬君伝いに話を聞いて相談しに来たのかなって思ったから、そしたら同性相手かな?って」
「…お見それしました。
さすがの洞察力。
悠木と並んで優秀な東京国際のマネージャーだっただけはあります」
赤坂君はなんだかひどく感嘆しているが、私の場合、悠木ちゃんみたいな鋭い観察眼や洞察力なんてものはない。
単純に原作という名の攻略本を読んでいるからある程度、推測出来るだけです。チート技ってやつだ。
まあ東京国際時代は原作から得た情報を駆使して立ち回っていたらめっちゃ優秀なマネ扱いされましたけどね。私のスペックは平凡です。
「じゃ、じゃあ、オレはわかるか!?」
あ、ずっと黙ってもじもじしてた村崎君が割って入ってきた。
しかし、村崎君はなにげに難易度高い。
考えてもみてくれ。ほかのエスパダは所謂相棒というやつがいた。
新垣君なら赤神君。鳴瀬君なら稲代センパイ。赤坂君なら鷲尾君。
だがしかし、村崎君だけ特定の相棒って明確になってなかった気がするんだよね!
二次創作の世界でもはっきり確定してなかったもん!
しかし私に相談してくるなら=同性の相手となる可能性が高い。
ちらっと村崎君を見たらなんかめっちゃ期待した目をしてる。名探偵見るような目をしてる。
おいやめろ私は攻略本持ってるだけの平凡女だハードル上げるな。
いやしかし考えろ私。アニメでは主将・兵藤さんの働きかけで村崎君が高校進学を決めるみたいなエピソードあったじゃん?
それに賭けるしか!
「……………………い、兵藤、さん?」
ええいままよ!当たって砕けろ!となぜか私が告白するような心地で(むしろ崖から飛び降りる勢いで)私は言った。
村崎君は目をカッぴらき、ばん!とテーブルを叩いて身を乗り出した。
ヒィ間違えた!
おいやめろきみの見た目でそれやられると怖い!と叫びそうになった私を余所に、
「あんたすげえな!」
と村崎君は輝いた目で言い放った。
……………………………………………………………。
「紛らわしいわっ!!!!!!!!!」
私は叫んだ。思わず叫んだ。
「間違えたのかと思ったじゃん!
きみは自分の見た目を考えなさい!
ヤンキーに凄まれたのかと思ったわ!」
「先輩の言う通りだよ。
今のはチンピラが凄みながら絡んで行ったように見えたのだよ」
「す、すまん…」
普通に本音が出た。さすがの赤坂君も同じことを思ったのか追い打ちをかけた。
しょぼん、ってなった村崎君はまあかわいいが、さっきは本気でびびったんだってばよ。
「…でも兵藤さんかー」
「え、も、問題あったか?」
「…いや、兵藤さんサイドに問題があるとかじゃなく、…きみ、好感度あがるようなことやってた?」
ついうっかり思ったままのこと言っちゃったよね。素でね。
いやだって考えてごらんよ?
赤坂君や鳴瀬君はエスパダの中でも特にまとも(と私は認識している)で、最終的に誰もが認めるチームのエースになった。
特に相棒との絆は強固なもの。赤坂君に至っては最早ツーカーかニコイチ。
ならばまだ勝機がなくはない、が村崎君の場合は。
「まあ、おまえは迷惑しかかけてなかったような気がするのだよ」
あ、言っちゃった。赤坂君がぐさりと刺さる真実言っちゃった。
村崎君がずぅん、って落ち込んでテーブルに突っ伏した。
「っご、ごめんね村崎君。
でも、赤坂君は鷲尾君に相棒として信頼されてるっていうか、完全相棒みたいな関係だから可能性はなくはないけど、…きみって、その、…むしろチームの問題児扱いだったような…。
あっ、で、でも兵藤さんってそういうタイプ好きかもしれないよね!
花崎君のことも気に入ってたっぽいし!
意外と手のかかるタイプが好みなのかも!」
「先輩。先輩。
それはフォローではなくトドメなのだよ」
「先にトドメを刺したきみが言うな」
赤坂君のツッコミに私はつい真顔になって返してしまった。先にずばり言っちゃったのはきみです。
「おいちょっと待て」
不意に村崎君がドスの利いた声を出した。私は思わず背筋を伸ばした。
「なんでそこであのヤロウが出て来る?」
「………………あのヤロウ?」
「花崎だよ」
「…………………あれ、村崎君ご存じない?
花崎君は中学時代の兵藤さんの後輩でしょ?」
「えっ、そうなのか!?」
「なんでおまえは好きな相手のそんな情報すら知らないのだよ。
そのくらいだいたいのやつは知ってるのだよ」
わー、刺さるわー。赤坂君の正論刺さるわー。
まあ花崎君はエスパダと並ぶ天才集団の一人だったし、兵藤さんもまあまあ名が売れてた選手だし、普通同世代でサッカーやってるやつだったら知ってる情報だよね。うん。
「あ、いやそうだ。そういや聞いたことあった」
「おい、なんで好きな相手のそんな情報忘れてるんだきみは」
「だってそのときはまだ惚れてなかったし!」
私のツッコミに村崎君は慌てて弁明する。まあ、聞いたときはそれほど興味なくて流しちゃってたのかな。
「まあ、兵藤さんはそういう一癖あるタイプとか気に入ってそうだから、村崎君も可能性はなくは、ないんじゃない?」
「…あのヤロウと一緒くたにされんのは不本意だが、まあいい。
つか、ほかにも相談があんだよ」
「ほかにも?」
「…兵藤さん、最近なんか悩みがあるみてーなんだ。
最初は受験絡みかもと思ったんだが、どうもそうじゃねーみたいだし、オレが聞いてもはぐらかされるし」
だからそのことも調べて欲しいんだ、と村崎君は言った。
そしてその翌日、善は急げと私は部活後に村崎君の通う竜崎高校に向かっていた。
村崎君に「悠木に話は通しておくから偶然道でばったり会ったふりして相談に一緒に乗ってやってくんねーか?」と言われたのだ。
いやしかし村崎君よ、悠木ちゃんはともかく私は無理じゃね?
そりゃ竜崎とは二度試合してるから面識はあるよ。私は旭丘のマネだし。
ただそんな大して話したこともない他校の年下の女に悩みを話すか?
私なら話さないわ。
とか考えながら竜崎の近くまで来て私は固まった。
なんかいかにも怪しい、校門が見える位置で電柱の陰に隠れて様子うかがってる男がいる。
しかも男が身に纏っているのは他校の制服。その整った顔立ちを見れば嫌でもわかる。
花崎雅。兵藤さんの後輩。
なんかいるし。
え?なにしてんの?なになさってんのこのひと?
え?ストーカーか?
どうしよう。面識ゼロではないけど、旭丘のマネだから試合のときに顔を見たことがある程度なんだよな。
いやしかし、竜崎の近くにいるってことはたぶん兵藤さん関連だろうし。
悩んだ末、私は声をかけることにした。
「ヘイ、そこの兄ちゃん命惜しかったら面貸しな」
と、肩ぽんしながら言ったら飛び上がるくらいびびられた。
私もテンパったとはいえなに言ってんだ。チンピラか。
「はっ、て、おま、旭丘の…っ!?」
「はい、社会的に死にたくなかったらちょっと面貸しましょう。
さもなくばこのスイッチ押しちゃうぞ」
「防犯ブザーかまえながら言うな!
ちくしょうなんでここに旭丘のマネがいるんだ!」
そう、私は万一のときのために所持していた防犯ブザーかまえながらお願いしています。
だって相手はフィールド上の悪魔とまで呼ばれた選手だし。私は非力なJKだし。
え?防犯ブザーかまえながら言うのは脅迫?アーアーキコエナイー。
ひとまず人気のない路地に入ってから「いやなにやってんの花崎君」って聞いたら「それこっちの台詞だよ」と返された解せない。
「いやだってさっきの花崎君、完全に変質者だったよ?
制服着てたからかろうじてまだセーフだけど私服だったらおまわりさんこいつです並の不審者だったよ?」
「好きでやってんじゃねえよ」
おお、私が旭丘マネでもう素がバレてるから猫かぶりゼロだな。
いやさっきの私の行動のせいとか言うなよ?
「で、なにしてたの?」
「だから防犯ブザースタンバイしながら言うな!
脅迫だそれは!」
「社会的に一回死んどく?」
「わかったから話すから防犯ブザーから手を離せ!」
花崎君の必死の訴えに私はひとまず防犯ブザーを下ろした。もちろん手に持ったままですがなにか?だって相手は花崎雅だし?
「兵藤さんに頼まれて来てたんだよ?」
「兵藤さんに?」
「最近、何者かにつけられてるって。
オレはそういうの詳しいだろって言うんで」
頭をがしがし掻きながら仕方なさそうに話した花崎君に私は驚愕した。
だっておい、兵藤さんにストーカー、だと?
「そんな…、なんて命知らずな」
「だろ!?
あの妖怪にストーカーとか命知らずだろ!?
オレもそんなのいるわけねえって思ったし、実際あのひと最初に相談したクラスメイトの諏訪さんに同じこと言われたらしいんだよだって命知らずっていうか生き急ぎ過ぎだろ!?
命がいくつあっても足りねえよむしろ死後に地獄の閻魔大王に舌を抜かれるレベルのやばい所業じゃねえか!」
「言いたいことはわかるしおおむね同意見だけど閻魔大王に舌を抜かれるのは嘘吐いたやつだから」
我が意を得たりとばかりにテンション高く賛同を求めて来た花崎君に私は思わずマジレスしつつ、まあだいたい同意見だけども、と重ねて頷いた。
だってあの兵藤さん相手にストーカーっておい、相手は社会的に死にたいのか。自殺志願者か。
まあ確かに兵藤さんは普通にしてたら美人だよ?イケメンだよ?おまけに賢いしIHで準優勝したサッカー部の主将だったひとだよ?
そりゃ好きになるひとがいても不思議はないんだけどさあ。
「でもぶっちゃけ、兵藤さんはハイリスクすぎるよねえ?」
「だろ?
でもどうも気のせいじゃないみてーだし、諏訪さんも目撃したことがあるみたいだから」
「現状、不審者はきみだったけどね」
「おいやめろマジレス」
いやだって実際、不審者だったってば。夜道で電柱の陰に隠れた男とか。
「でも、兵藤さんって寮生だったよね?」
「…ああ。だから外出したときだけらしいんだ。
でも兵藤さんが外出するときを的確に狙ってくるってのはある程度兵藤さんの身辺情報に詳しいやつだろうし、学校内でも不審なことがあるらしいし」
「それ内部犯じゃん」
「オレもそう思う」
いやそれ内部犯だよ、と私と花崎君が話していた矢先、すぐそばの竜崎前の道を歩いて行く兵藤さんと悠木ちゃんの姿が見えた。
悠木ちゃんはなにか焦って兵藤さんを引き留めようとしている。
「あっ、しまった。
悠木ちゃんと合流する手はずだったのに不審者にかまってて忘れてた!」
「おい不審者言うな!」
しまった。本来の手はずなら校門で偶然私とばったり遭遇!そのままファーストフード店とかに行って兵藤さんの悩みを聞く、という段取りだったのに花崎君にかまってて失念してたよ。
花崎君のツッコミはスルーします。だって不審者だったのは揺らぎようのない事実だ。
慌てて追いかけようとした私と花崎君だったが、気づいた。気づいてしまった。
兵藤さんたちの後をこっそりと夜闇に紛れてついていく黒い影。
またなんかいるし。
「ていうかあれ村崎君じゃん!?」
「あ、マジだ。あいつ黒いからよくわかんなかった」
「花崎君、いくら村崎君が黒いからってそんなGみたいとか言ったら失礼じゃない!」
「いやGっつったのおまえだよ失礼なのおまえだよ!」
小声です。くどいようだが小声です。
ていうか待て。なんで兵藤さんつけてんだ村崎!黒いせいで夜闇に紛れるとさっぱりわかんねーじゃねーか!
私たちが路地から覗いていると気づいてない村崎君はそのままこそこそと兵藤さんを追跡していく。
私と花崎君は顔を見合わせた。
「花崎君や、さっきのストーカーの情報、ワンモアプリーズ」
「おそらく竜崎の生徒。兵藤さんの動向をある程度把握している。なお、寮内では不審なことは起こってないことからおそらく寮生ではないと推測される」
あれ、おかしいな?私のよく知ってる人物に該当するぞ?
「あれっ?
これ村崎君当てはまらない!?」
「該当人物だよな」
「それに黒いから夜道だと誰かわかんないよね?」
「ああ、それなら兵藤さんたちが気づかなくても不思議はないな」
「…職質行く?」
「しょっぴくか」
私と花崎君は顔を見合わせたまま、うん、と頷き合った。
そのまま抜き足差し足忍び足で兵藤さんたちに気づかれないよう村崎君に接近し、背後から肩ぽんする。
おまえらも不審人物だとか言っちゃいけない。必要悪だ。
「きみなにしてんの村崎君」
「うおあっ!?
不審者!?」
「不審者はてめーだよ。
防犯ブザー鳴らすぞ!こいつが!」
飛び上がった村崎君に対し、花崎君が私を指さして言う。
そんな防犯ブザーを必殺技みたいに言うなよ。まあかまえるけどさ。
「な、なんでおまえと花崎が一緒に」
「いや、花崎君は兵藤さんに頼まれたらしいのね。
ストーカーが誰かを調べて欲しいって」
「どうも、兵藤さんに依頼された私立探偵です」
私の言葉にすちゃ、と手を挙げて謎の自己紹介をする花崎君。
意外とノリいいなきみ。
「えっ、兵藤さんにストーカーが!?」
「時に聞くけど村崎君、きみ、いつもこんなことやってんの?」
「え、だ、だって、兵藤さんが心配で…。
あと、今までのことがあるから自分から話しかけづらくてせめて近くにいたくてつい?」
「それを学校でもやってた?」
「うん」
はい確定。おまわりさん、こいつです(死んだ目)。
「って犯人おまえかよ!
ストーカーはおまえだよ!」
「ちげえよ!そっと遠くから見守ってたんだ!」
「それがストーカーだってんだよ!」
「だって兵藤さんはあんな賢くて美人なんだぞ!?
変な虫がついたらどうするんだ!」
「今まさにおまえというGがついてるわ!」
謎の弁明をする村崎君に花崎君が盛大にツッコんでいる。
さすがにGはやめてやれ、と言いたいが最初に言ったの私だ。あとド正論だ悲しいことに。きみが変な虫だよ。
「だってしょうがねえだろあのひともうすぐ卒業なんだぞ!?
今までのことがあるからそんな気軽に話しかけられねえし会いたくて会いたくて震えてるオレはどうすりゃいいんだこんなに好きなのに!」
「「おまえは西野○ナか!」」
花崎君と私のツッコミが盛大にハモった。
おまえは西○カナか。なら会いに行けよ。会いに行って来いよ。会いたくて夜道で震えついでに尾行するなよ。そのうちゴキ○ェットされるぞ。
そう言いたかったが、その前に背後で足音がした。
「え、尾行してたん村崎だったの?」
はいデジャブ!
いや、じゃないな?なんかこれはちがうな?むしろ不審者との遭遇だな?
実際振り返った先に立ってた兵藤さん、なんかまさに変質者見るみたいな目をしてらっしゃる。艶やかな黒髪に眼鏡の理知的イケメンだが、それどころじゃない顔をしていらっしゃる。
「ていうか、花崎はともかくとして、なんで旭丘のマネージャーさんまで」
「どうも旭丘のマネージャーです。
村崎君に兵藤さんが悩んでいる理由を探って欲しいと頼まれましたがその悩みの原因もといストーカーが依頼者本人だったときの心境を述べよ」
「こんなの絶対おかしいよ」
はい代弁ありがとうございました花崎君。まさしくそれな。
兵藤さんの背後で悠木ちゃんが私と花崎君と同じような顔してます。盛大にコレジャナイ顔。
「ていうか話聞こえてしまったんだけども…。
村崎、自分って俺のこと好きだったんか…?」
はいちゃっかり重要な部分も聞かれてましたねでも変質者的な印象与えてるけどね!
恋愛フラグパイセン仕事雑ッ!
村崎君はその場の雰囲気(なんか気まずい空気)を察しているのかいないのか、単純に逃げ道を断たれて自棄になったのか知らないが一瞬の間の後、
「そ、そうだ!
会いたくて震えるくらい好きだ!
つ、付き合ってくれ!」
と言い放った。
色黒の肌をほんのり染めて意を決して告げた姿は格好良いが、今のきみはストーカーです。変質者です。そしてムードもへったくれもない夜道のストーカーとの遭遇的な空気感。
私はどんな顔をすればいいのか教えてくれ。笑えばいいのか。
「えー、あー、うん、ストーカーとしてじゃなければいいよ…?」
兵藤さんの返答は怪訝というか疑問符付きだった。デスヨネ!
ていうかそれでもオッケー出すんだ心広いな!
「マジかよ!」
うん、村崎君、きみは素直に喜ぶな。
「マジかよ」
うん、花崎君。どん引きしたい気持ちはよくわかる。私も同じ気持ちだ。
その後、悠木ちゃんに「実はわたし、兵藤さんに村崎君のことで恋愛相談されてて…。ストーカーしてるのが村崎君だって言うに言えなかったの…」とひどく申し訳なさそうな、それでいて非常に解せないみたいな顔をしてぶっちゃけられました。
今回の総括:こんなの絶対おかしいよ。




