1章45話 次元跳躍確認! 敵か……?
素敵な思い出もできたので、みんなで一緒にエルフの森観光に戻る。
「次は雑貨屋を見に行くぞい」
「次は占い屋を見に行きますよ!」
あ、ヤーさんとディアドラさんの意見が割れた。
「これディアドラ! あの怪しいばあさんの所にお客を連れて行くでないぞい!」
「長老、なんで! ばぁばは確かに怪しい言動をしているけど悪い奴じゃないよ!」
ケンカ始まっちゃったよ……どうしよう……。
「えーっと、私、何でディアドラさんに運命の人を占ってあげたのか聞いてみたいのです! ハヤト様も困っているのです!」
おー、ソフィーちゃんが珍しく意見を言ったな。
「……うーむ、わかったぞい……お嬢ちゃんがそこまで言うなら行くぞい。元はと言えば、あのばあさんが変な占いをしたせいじゃしな、問い詰めるいい機会ぞい」
「やったー! ありがとうソフィーちゃん!」
「ぐぇ……急に抱き着くななのです……」
流石ソフィーちゃん、この場を丸く収めちゃった。
ケンカも終わったので占い屋に向かう。
「ここがばぁばの占い屋だよ! ばぁばー、居るー?」
反応がな……レーダーに次元跳躍の反応あり! 敵か⁉
「おやぁ、後ろに転移魔法で移動してから脅かそうと思ったが……どうやら失敗したみたいだねぇ……ヒェヒェヒェ!」
うーん……なんかいかにも悪い魔女って感じのローブを着た怪しいお婆さんだな……。
ただ、悪意の類は感じない、少なくとも敵ではなさそうだ。
でもいきなり脅かそうとしてくるとか……ヤーさんが連れて行きたがらないのがわかった気がする……。
「また変なことを……おい、お主にお客ぞい!」
「ヒェヒェ! 自己紹介がまだだったねぇ。あたしはイレリアだよぉ」
「俺このおばあちゃん苦手……」
……カーチス君、気持ちはわかるけどそんなこと言うもんじゃないよ。
「……これ、カーチス。そんなこと言うな……」
ジンさんが一応注意してくれた、注意した本人も同じことを思ってそうだけど……。
「さて、お客という事は私に占って欲しいのかい?」
「確かに占いってのがどんなもんか気になるな。あたしを占ってくれ」
お、ドーナさんがトップバッターを務めるみたいだ。
「そうかい、どれどれ、中に入りなぁ」
エルフの森には似合わない大きな紫色のテントのような物に入ると、中は薄暗く視界はあまり良いとは言えない空間の中央にイスが二つと机、机の上に台座と水晶玉が乗せられていた。
「さて、占うよぉ。座りなぁ」
「お、おう」
若干タジタジになりながらもドーナさんがイスに座る。
「じゃあ、占うよぉ。どれどれ……この後の依頼に難あり、されど死にはしない、と出てるねぇ」
この後? エンシェントビートル討伐依頼か?
その後、ネコハやソフィーちゃん、僕も占ってもらったが全員同じ結果となり、僕たちの他に立候補する人がいなかったので、占い屋を離れることにした。
「ヒェヒェヒェ! また来なさいねぇ」
「バイバーイ、ばぁばー」
あのお婆さん、最後まであんな感じなんだ……そしてディアドラさんは何であの怪しい人をあんなにも慕っているんだろう?
「ねえ、ディアドラなんであのお婆さんを慕っているんだ?」
お、丁度ハヤト君が聞いてくれた。
「それはですねハヤト様……実は私、捨て子だったんです。ばぁばはそんな私を一人で育ててくれたんですよ! だから、私はばぁばが好きなんです!」
へー、そんなにいい人だったなんて、やっぱり人は見かけによらないね~。
「でも、なんであの人はあんな喋り方をしているのにゃ?」
「それは……私にもわからないです。話してくれたことがないので……」
「ほれお主ら、雑貨屋に着いたぞい」
おっと、話しているうちに雑貨屋に着いたようだ。
「おーい! うぬ? おらんのかの? ……申しわけないぞい、今店主が出払っているみたいでの、他を当たるぞい……」
あー、残念! まあこういう事もあるか。
雑貨屋を後にし、そのまま隣の食堂に入る。
丁度お昼時だったが、今日はお客が少なく、待ち時間はなかった。
「いらっしゃい……空いている席に座って……」
受付の無口なエルフの女性に言われた通り、そこら辺の空いている席に座る。
メニューを見る限り、ここは野菜や豆、豆ミートを多用したヘルシーな店みたいだ。
「エルフの森は肉がなかなか取れなくての、貴重品の肉の代わりに豆を食べているんぞい。それに、最近豆ミートとやらが爆発的に流行っての。肉みたいだと言う事でここは大繁盛しているんぞい。今日は客が少なくてラッキーぞい!」
そして、みんな各々料理を注文する。
僕は、噂の豆ミートのハンバーグ、フランスパンのようなもの、豆と野菜スープを食べた。
噂の豆ミートはどうやら複数種類の豆を使っているらしく、味に深みがあり肉とはまた違ったおいしさがあった。
腹ごしらえも済ませたので、観光に戻る。
と言っても次が最後で、この後依頼現場の下見に行くけど。
最後に案内されたのは、弓の射撃演習場だった。
「やあやあいらっしゃい! 射撃演習場へようこそ!」
活発そうなエルフの青年が対応してくれた。
「ここは射撃演習場だよ! 満点を取れれば一人一回まで特典も受け取れるおまけ付きだ! さあ、誰かやってかないかい?」
「私、やります!」
お、ディアドラさんがチャレンジするみたいだ。
……弓がでっかい、この森のギルドで弓を持っていた人が何人もいたけど、流石に身の丈程の弓を持ってる人はいなかったな……。
そしてしばらくして……。
「だぁ~! 半分しか当たりませんでした! 悔しい……」
いや、半分当たるだけでもこの世界の平均よりは大分上だと思うんだけど……。
(エルフの森では弓の扱いが上手い人が多く、ディアドラ様の弓の腕はこの森では中の下程です)
(へー、やっぱりエルフって弓の扱いが上手いんだね。まあディアドラさんの強みは矢の威力だし、命中精度不足を十分カバーできているんじゃないかな)
「さあさあ、他にやる人は?」
「じゃあ僕が」
弓である雷鳴を取り出しそう言う。
さっき見た限り動く的や巧妙に隠された的、小さすぎる的や遠すぎる的もある。
気合い入れて行かないとな。
「スゥー…………!」
プラズマアローを生成してから集中し、赴くがままに的を射抜く。
次々と的を射抜き、気付けばすべての的を射抜いていた。
「おめでとう! お客さん満点だよ! これでこの射撃演習場ができてから満点を取ったのは百四人目だ。これが特典の私特製、ハイポーションだ! 受け取ってくれ!」
「ありがとうございます!」
(アイザ、ハイポーションって高そうだけど貰って大丈夫?)
(そうですね。人間の街だと白金貨五枚もの値段が付く代物ですが、まあ特典として貰っているので大丈夫ではないでしょうか。驚いているのも周りの人間だけで、エルフはただただ満点を取ったのを珍しがっているだけのようですし)
おっと、いつの間にか観客がいたようだ。
「さあ、他にチャレンジする人はいないかい?」
「俺、弓使えるけどあの後にやる自信ねぇよ……」
「ごめん! カーチス君! 今度何か奢るから許して!」
「いや、別にアルを責めているわけじゃあないんだ、奢りは魅力的だけど遠慮するよ」
そんなことがありつつもエルフの森観光が終了し、依頼現場の下見に向かった。
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