1章4話 翌朝……
翌朝……。
「あ~、よく寝た。まあ、僕アンドロイドだから寝る必要なんて本当はないんだけどね」
そんなことをつぶやきながら僕は起きた。
すがすがしい陽気のいい天気だ。
部屋から出てエルヴィス君を探す……いない、外から声が聞こえるしどうやら外に出ているみたい。
そうして、玄関から外に出て、声のする方向に向かうとエルヴィス君が剣の稽古をしている。
ちょっと見てみよっと。
「セイッ、ハァッ、ヤァ!」
うんうん、中々いい動きをしているね。ケイデンさんが強いと言っていたのも納得だ。
「ハァ……、ハァ……。あ、アルさん! おはようございます!」
エルヴィス君が元気に挨拶してきた。
「おはよう! エルヴィス君。朝から頑張っているね!」
「はい! 昨日で自分の弱さを痛感したので今日は張り切って稽古をしています!」
向上心があっていいね。
まだ昨日の疲れが取れてないはずだけど、まあケガしない程度だったら大丈夫か。
そう思い、エルヴィス君の稽古を見て、時折アドバイスをしたり、一緒に稽古をしたりすること約一時間。
こっちにケイデンさんともう一人の男性が近づいてくるのがレーダーで確認した。
「エルヴィス君、どうやらケイデンさん達がシャドーウルフの素材を持ってきてくれたみたいだよ」
「え? ……確かによーく見るとあれはケイデンさんとルーウェンさんですね。ルーウェンさんが来る予定はなかったはずですが……何かあったんでしょうか?」
そしてケイデンさんと、もう一人のルーウェンさんという人が到着した。
「よう! エル坊、アル。シャドーウルフ、持ってきたぞ! それとこいつはうちのパーティーメンバーのルーウェンだ! アルに用があるつーもんだから連れてきた!」
「初めまして、ルーウェンと申します」
「初めまして、アルティマです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。エルヴィスさん、急な来訪申しわけありません」
ルーウェンさんはスラっとした体格でいかにも魔法使いっぽい恰好をしている。
ケイデンさんとは正反対の格好だ。
「いえいえ! 私は一向にかまいませんよ」
「それで、シャドーウルフの素材がこれだ。とてもきれいな状態だったから解体するのが楽だったぞ。さあ、受け取ってくれ!」
うん、どの素材もきれいに解体されている。ケイデンさんに頼んで正解だったな。
「ところで、ルーウェンさんは僕のことが気になるということですがどんな御用で?」
「ええ、私やケイデンは冒険者なんですがアルティマさんはおそらく旅人がだと思いますが、冒険者ギルドには登録されてませんよね?」
「そうですね」
おー! 冒険者ギルド、やっぱりあるのか!
「ならば、私たちは明日この村の南にあるザイールという町へ行くんですよ。その街にはギルドもあります。ギルドに登録すれば、きっとあなたの旅がうまくいきやすくなると思います。ケイデンがずいぶん気に入っているのできっと推薦してくれるでしょう。ぜひ一緒に行きませんか?」
「おーそれはいいな! こいつはシャドーウルフをきれいに倒す実力もあるし強さは申し分ないな! よし、Bランク冒険者であるこの俺が直々に推薦しよう!」
「……もしかしてケイデンさんってすごい人だったり?」
「当た坊よ! S、A、B、C、D、E、Fの中のBだからな! 町では結構名が知れているぞ」
「ちなみに、私もBランクですよ」
どうやらケイデンさんとルーウェンさんは結構すごい冒険者らしい。
「それで、どうする? 行くか?」
やっぱりいろいろなところ見てみたいし行ってみようかな。
この世界に来たのも自由に旅をするのが目的だしね。
「では、お言葉に甘えていかせていただきます!」
「そうですかそれはよかったです。では出発は明日の朝、集合場所は村の正門です。我々は乗合馬車の護衛ですが、アルティマさんは依頼を受けていないので乗客という形になりますね。では我々はそろそろ失礼します」
「じゃあな! アル。また明日!」
そういってケイデンさんとルーウェンさんは帰っていった。
僕は部屋に素材を置いたふりをして軍帽の収納に入れた。
僕が明日出発すると聞いてエルヴィス君が少し寂しそうだ。
「そうですよね……、アルさんは旅人ですし色々なところに行きますもんね……、えぇい! くよくよしない私! アルさん、明日出立するというなら、せめて今日は私が村を案内しますよ!」
そういってエルヴィス君は思いっきりの笑顔でそういってくれた。
「ごめんね、エルヴィス君。そしてありがとう。急に出ることが決まっちゃったけど今日はエルヴィス君と思いっきり村を散策する予定だよ!」
僕もこの村を見きれていないからね。
「では、行きましょう! あ、その前にアルさんにお金を渡しておきますね。どうぞ、銀貨五十枚と金貨五枚です」
ちょうどいい、現地のお金なくて困ってたんだよ~ありがたくいた……⁉
銀貨五十枚と金貨五枚って、白金貨一枚分⁉
ちょっと、ちょっと!
なんでそんな額のお金ポンと渡しちゃうのさ!
「いやいや、さすがにこんな大金もらえないよ!」
「いえ、ぜひもらってください。父上からお金だけはもらっていますし、こんなんで恩をすべて返せたとは思っていませんがこれはせめてもの気持ちなんです。どうか受け取ってください!」
そこまで言われると断りづらいな……、エルヴィス君、恐ろしい子!
なんてね。
「うぅ~わかった。そこまで言うなら受け取るよ」
「ありがとうございます! さあ、行きましょう。まずはここから一番近い食堂からです!」
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