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1章24話 お悩み相談

「僕の悩み? うーんそうだなぁ……」


 僕の悩みか……せっかくだし話してみるかな。


「じゃあハヤト君、僕も悩みを二つ言うね。僕はね、この世界に来る準備に途方もない時間をかけたんだ。なぜだかわかる?」


「えーっと……わからない」


「僕はね……外の世界が怖かったんだ。でもずっと自分の世界にこもっているのはつまらない。だから、自分が安心できるまで技術を進歩させまくったんだ。その過程で僕は人間であることをやめて、果てには技術の進歩と高次元への昇華のために一番大事にしていた人間性も一度は捨てた……まあ、要するに臆病なのをどうにかしたいなって」


 ハヤト君はじっくり考えてから口を開いた。


「臆病なのは悪くないんじゃない? 世界には危険がいっぱいあるし、それをどうにかできるのはすごい強みだと思う。僕は異世界に来て力の重要性を知ったよ。力があることは悪くない。そして、こんなこと言うと元の世界では叩かれそうだけど、自分とその周りが幸せなら何でもいいんじゃないかな……?」


 そうだね、やっぱりその考えで今後はやっていこうかな。


「ありがとう。参考になったよ! それと、もう一つの悩みだけど……僕は人間が大嫌いで大好きなんだ」


 ハヤト君は首をかしげながら予想通りの言葉を言ってくる。


「それって、なんか矛盾してない?」


「確かに字面だけ見れば矛盾しているよ。でもね、人間は時と場合によっては時に恐ろしく、時に優しい。そんな矛盾を抱えていると思うんだ……まあ、要するに極端でどっちつかずなのを何とかしたいんだ」


 ハヤト君は思いのほかすぐに答えを出してきた。


「えっと、アルティマ君は今は人間性を取り戻したんでしょ? ならば矛盾を抱えて極端でどっちつかずなのも人間らしいって言えるんじゃない?」


 そうだよね……そうなんだよね……まあ、不完全なところも人間らしいってことにしよう。


「あ、そろそろ交代の時間だ。アルティマ君、色々聞いてくれてありがとう! おやすみ」


「こちらこそありがとう。おやすみハヤト君」


 そうして、見張りを変わってもらい、眠りについた。

 朝になるとあいにく雨が降っていた。


「うげ、雨が降ってるじゃない。レインコートを着ないといけないわね……」


「仕方ないミレイラ。レインコートがあるだけましだ」


 アレンさんが空を厄介そうに見ながらそう言った。


「そんなに雨が嫌なら僕が魔法ででっかい傘を作ろうか?」


 まあ、ただのプラズマシールドだけどね。


「お、お願いします、アルティマ君。レインコートを着てても……顔から雨が入ってくるので……」


 マーリャもでかい傘が欲しいようなので頭上を覆うプラズマシールドを展開する。


「ありがたいが魔力は大丈夫か?」


 そうドーナさんが心配そうに聞いてくる。


「ああ、大丈夫だよ。僕は魔力が多いからね。これくらいへっちゃらだよ」


 いちいち魔力っていうのめんどくさくなってきたな……。


「いいですね~魔法使いとしてうらやましいです」


 クリストルさんとマーリャと魔法についての話をしながら帰路に就いた。

 ザイールに戻りギルドに試験が終わったことを報告する。

 アイザが酒場で僕の帰りを待っていてくれたようだ。

 用事が終わったら話しかけよう。


「お疲れ様です。報酬の銀貨三枚です。試験結果は追って伝えるのでしばらくお待ちください」


 そうして報酬を受け取り、まだ合格が決まっておらず打ち上げをする雰囲気でもなかったので解散した。

 用事も終わったのでアイザに話しかける。


「試験終わったよ、アイザ」


「お疲れ様です、マスター。シェリル様がこの町にいる間は家に泊まっていきなさいと言われたのでお言葉に甘えさせていただいています。マスターも泊まりますよね?」


「そうだね。宿にいるよりみんなといた方が楽しいし、そうしようか」


「では行きましょう。みなさん、マスターがお帰りになるのを心待ちにしていますよ」


 そうして、シェリルさんの家に向かった。


「あ! アル兄お帰り!」


「お帰りアル兄ちゃん!」


「おかえりなさい、アルさん。もうすぐお昼ご飯よ」


 みんな笑顔で僕の帰りを喜んでくれている。 

 ……なんだか本当の家に帰ったみたいで心地いい。


「ただいま! 今日のご飯は何ですか?」


「今日は食パンとハンバーグとコーンポタージュよ。イスに座って待っててちょうだい」


 イスに座ってしばらく待ち、出来上がったご飯をみんなで運ぶ。

 全員でいただきますと言ってご飯を食べ始める。

 食事の途中でアイザがこんなことを聞いてきた。


「マスター、これから数日の間しばらくお暇をもらいたいのですがよろしいでしょうか」


「ん? うん、いいよ。何するのか大体見当がつくけど、がんばってね」


「はい、必ずやマスターに追いついて見せます」


 レジー君が不思議そうにシェリルさんに疑問に思ったことを聞いた。


「アル兄とアイザ姉はたいして喋ってないのに何でお互いの言いたいことが分かったんだ?」


「フフフ。あれはね、阿吽の呼吸っていうのよ。レジー」


 レジー君がなるほどとうなずき、イリスちゃんがあまりわかってなさそうにこういった。


「私も、あうんのこきゅう? を、お兄ちゃんとやってみたーい!」


「でしたらイリス様、お兄様のことをひたすら研究して理解するといいですよ」


「うん! お兄ちゃんのこと研究して理解する!」


「でも、このあと町を案内しようと思っていたのでけれど、アイザさんは無理そうね」


「申し訳ありません。今度マスターに案内してもらいます」


 そして昼食を食べ終わった後、アイザは早速出かけ僕たちは家を出て町を散策することになった。

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