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1章21話 知らない天井だ……

 翌朝。


「……知らない天井だ」


 よし! 宿屋で言い忘れていた言ってみたいセリフが言えたぞ!

 あと言ってみたいセリフは……フラグが立つセリフとか、某有名アニメのセリフとかもいつか言ってみたいねー。


「マスター、今ものすごい子供っぽいことを考えていますね。精神年齢の値が下がっていますよ」


「おっと、バレたか」


 「バレバレです。顔にも出ていますよ、マスター」


 そんな感じでふざけ合いながらリビングに向かう。


「あら、おはよう。もうすぐご飯ができるわ」


 シェリルさんが、元気そうに台所に立っている。

 体調は良さそうだ。


「具合はどうです?」


「今朝起きてから咳も出ないし体に力が戻った感じがするわ!」


 うん、分析した感じ問題なさそうだし完治したと考えていいかな。

 そんなことを考えていると、レジー君とイリスちゃんが起きてきた。


「おはよー……あれ、アル兄? 昨日泊ったの?」


「アル兄ちゃんおはよー!」


「二人ともおはよう。昨日は遅かったから泊めてもらったんだ」 


 ご飯ができるまで四人で話しているとシェリルさんが朝ご飯を持ってきてくれた。


「朝食が出来たわよ。今日のご飯はハニートーストとオムレツとオニオンスープよ」


 シェリルさんの料理の腕はとてもよく、どの料理もおいしかった。

 特にハニートーストは中まで味が染みてて絶品だった!

 朝食を食べ終わった後、五人みんなでギルドに向かいうけ受付にいたセリアさんに報告をした。


「セリアさん、依頼を完遂したので報告をしに来ました」


「はい? 永遠の旅のお二人は確かルネル山に行かれたんですよね? もう帰ってきたのですか⁉」


「そのことなんだけど、ギルドマスターと直接話す必要があるわ。悪いけどギルドマスターと面会できないかしら」


「わかりました。少々お待ちください」


 セリアさんがギルドマスターを呼びにギルドの二階へ上がりしばらくして、戻ってきた。


「お待たせしました。ギルドマスターは、面会を受け入れるとのことです。ではギルドマスター室にご案内しますね」


 そうして僕たちはギルドマスター室に案内された。

 レジー君とイリスちゃんはアイザに預けて、僕とシェリルさんの二人で面会する。


「来たね、撲殺のシェリル。今日は何の用だい」


「ギルドマスター、その呼び方はやめてください……」


「ハハハ! 別にいいじゃないか。減るもんでもあるまいし、まあ座りな」


 ギルドマスターは手にキセルを持ちながら、ぶっきらぼうにそう言った。

 この前遠目から見た時から思ってたけどやっぱり豪快な人だなー。

 そんなことを思いながら椅子に座る。


「わかりました。もういいです……では早速本題から入りますが私の隣にいるアルティマさんがイエティを倒しました。ですが、彼が倒したという事をできるだけ内密にしてほしいんです」


 シェリルさんがギルドマスターにお返しとばかりに爆弾発言を投下する。

 シェリルさんの試みはどうやら成功したようで、ギルドマスターが目を見開いている。


「確かこの兄ちゃんDランクだったかい? なのにイエティを倒したのかい? ……おっと、自己紹介を忘れていたね。私はザイール冒険者ギルドのギルドマスター、ニーアだ」


 ニーアさんが驚きながらも自己紹介をしてくれたのでこちらも挨拶をする。


「こんにちは。アルティマと申します。よろしくお願いします」


「兄ちゃん冒険者にしては珍しく礼儀正しいね。確か収納魔法が使えるんだって? ならばイエティの討伐証明部位は持ってるかい?」


「討伐証明部位だけじゃなく、腹部に穴が開いた死体が丸々入っていますよ」


「ハハハ、そうかい、大した収納量だね。じゃあ、これから解体場に行って見せてほしいからとっとと行こうかね」


 そうして、三人でギルドの解体場に向かった。

 解体場には少し人がいたがニーアさんの豪快な一手で全員いなくなる。


「おーい、ちょいと人払いが必要なんだ。ここにいる全員にエールを一杯おごるから、しばらく外に出てくれないかい?」


「やったぜ!」

「ギルマスのおごりだ‼」

「撤収~!」


 凄いな、みんな酒が大好きらしい。

 すぐさま出て行ってしまった。


「さあ、イエティを出してもらおうかね」


 僕はイエティの巨体を解体台の上に出す。


「……驚いたね、本当にイエティじゃないか。……分かった。ハイエナ共が寄り付かないように、このイエティの出所については私が何とかしようかね。しっかり金も出すよ。ただし! ギルドマスターの間ではこの情報は伝えさせてもらうよ。それとアルティマ、あんたには丁度このあとに行われるCランク昇格試験にギルマス権限を使って参加してもらうよ」


 どうやら面倒な事になりそうだけど、まあ早めにCランクになれるならそれでいいか。


「わかりました、ギルドマスターの間で話が伝わるのはかまいませんし試験も参加しますよ」


「そうかい、せっかくだしついでに依頼の報酬も渡しておこうかね。ほれ」


 そう言ってニーアさんは金貨を一枚放り投げてきた。


「じゃあ朝中の鐘が鳴ったら参加者がギルドに集合する時間だから、それまで酒場にでもいな、私はコレの後始末をするからここでお別れだよ」


「色々ありがとうございます。では、イエティのことはお願いします」


 そう言ってからシェリルさんとギルドの酒場に向かうと近くにアイザ達を見つけた。

 隣でヴェス何とかがのびている。


「あ、マスター。こいつが性懲りもなく後ろからコッソリ襲ってきたのでわざと攻撃を受けてからポカンとしたところを気絶させておきました。褒めてください」


「アイザ姉、すごかったんだよ。この大男を一発で倒しちゃったんだ!」


「よくやった、アイザ。偉い偉い!」


 そう言って、アイザの軍帽を外してから頭を撫でる。


「ありがとうございます! とても満足しました」


 シェリルさん達とアイザはもうギルドに用事がないので先に帰ってもらい、僕は朝中の鐘が鳴るまで、酔わないようにしながらエールを飲んでみる。

 ……苦い、やっぱり果実ジュースでも頼もうか……。

 そんなこんなで時間をつぶしていると明けの明星の四人が現れた。


「あ、アル! 奇遇ね、あなたもランクアップ試験を受けるの?」


「そうだよ。も、ってことはミレイラ達も受けるのか」


「ええ、そうよ! まあ、私たちの実力を考えたら当然ね!」


「ミレイラ調子に乗らない!」


 リュシオン君が調子に乗ってるミレイラを諫めたりしているのを見ていると、朝中の鐘が鳴った。

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