1章13話 他パーティーとの依頼
翌朝、今日はあいにくの雨だったが宿屋のおいしいご飯を食べてから、念のため朝の鐘が鳴る前に出発する。
今日の朝食はうどんだった。
ギルドに到着するとミレイラ以外のメンバーがすでに到着していた。
みんなでミレイラを待つが、朝の鐘が鳴っても来ない。
「あいつまた寝坊か」
「いつものことだ」
「そ、そのうち来ますよ」
どうやらミレイラに何かあったわけではなく、ただの遅刻のようだ。
そうして、みんなの荷物を収納に入れているとミレイラが急いで走ってきた。
「ごめーん! 寝坊しちゃったわ。さあ、みんないるみたいだしいきましょう! アル、荷物預かってくれないかしら!」
「はあ、どの口が言うんだか」
「アルティマさん、すまんな。こういうやつなんだ」
「い、行きましょう」
こうして、少しのトラブルがありつつも僕たちは、オーク討伐に出発した。
依頼を出した村まで歩いて片道二日掛かる。
道中ゴブリンやウルフなどが襲ってきたが、危なげなく撃破しちょうどいい野営地を見つけたので、そこでキャンプをすることにした。
男女で一つずつテントを張り夕食の準備をする。
まあ僕はプラズマシールドでテントを作ってもよかったのだけど、せっかく親切心で誘ってくれたんだ、断るのは野暮ってものだろう。
そうして焚火を起こし、各自持ち寄った食材を集めて僕が鍋料理を作るとこれまた随分と好評だった。
「おいしい~!」
「うまいな……」
「お、美味しいです!」
「すごいわ、アル! 旅先でこんなにおいしい料理を作れるなんて!! ぜひうちのパーティーに来てくれないかしら!」
誘われたのはうれしいが、僕の目的は自由に旅をすることだから一つのパーティーや国に属し続けて同じ場所にずっといる気は無いからな~。
「アハハ……申しわけないんだけど、僕は王都や他の国にも行く予定だからみんなと一緒に行くのは難しいかな。みんなも故郷とあまり離れたくないだろうし」
そう言うとアレンさんが思い出したかのように口を開いた。
「む、アルさんは王都にも行く予定なのか。それなら一つ注意しておきたいことがある。私は一年前まで王都に住んでいたのだが、王都ではソロの冒険者をバカにする傾向にある。もし王都に行くなら二人でもいいからパーティーを組むことをお勧めする」
へーそうなのか、じゃあこういう時は……。
(私の出番ですね! 今までは最初の世界でマスターが慣れてないと思いサポートに徹していましたが、これでようやくマスターと一緒に行動できます! すぐに準備を始めますね)
(そんなに喜ぶんだったら最初から誘えばよかったね……)
(いえ、何事も最初は慎重に行くものです。そもそも私が最初にサポートに徹すると言ったんですから。マスターは気にしないでください)
(あ、そう? そこまで言うならとりあえず気にしないけど)
「ありがとう。良さそうな人が一人いるから誘ってみるよ」
「それはよかった。あなたの旅が順調に行くことを願う」
そうしてご飯も食べ終わり、見張りの順番を決め寝ることになった。
まあ、僕は寝る必要ないからずっと僕が見張りでいいんだけどね……。
ちょっと申しわけない……。
そうして寝ていると、何かが現れた。
「みんな起きろ! ゾンビだ!」
どうやらゾンビが出たらしいが……何かおかしいな?
分析してみよう。
名前:ゾンビの幻影
術行使者:ゴースト
弱点:光/聖魔法
説明:ゴーストが使う人を脅かす術の一つ、ゾンビのほかにも鬼火など様々な幻影を見せることができる
どうやらゾンビではなくゴーストらしい。
アレンさんが幻影に向かい攻撃するが……。
「くそ! なんだこいつは! 攻撃が当たらない! どうすればいいんだ……」
「いや違う! そいつはゾンビじゃない。ゴーストの幻影だ!」
そう僕が言うといつの間にか起きてきていた女性陣二人のうち一人が怖がり一人が好戦的になった。
「ええぇ⁉ わ、私お化けが苦手なのみんな助けて……」
そう言って、ミレイラは縮こまり、マーリャは……。
「あぁん⁉ ゴーストはレアで、ものによっては超強い奴! こうしちゃいられない! フラァァァッシュ!」
いや、そっちかい!
ミレイラはまだわかるけど、マーリャの豹変ぶりはすごいな……。
そして即座に幻影に有効な魔法を放てるとは……やるな。
『ギャアアアァァァ!』
あーゴーストうるせえ。
あ、でもみんなには聞こえてないみたいだし、みんなの耳がつぶれないからいいか。
で、このうっさいゴーストは一体どれくらい強いんだ……。
名前:ゴースト
状態:不可視、物質透過
弱点:光/聖魔法
説明:悪霊で、こちらに害をなす。
備考:この個体は通常のゴーストより魔法耐性があり、かなり強い。
こいつ、不可視とか物質透過とか持ってて意外と強かった。
ゴーストとか見れる目でよかった~。
みんなゴーストが見えてないみたいだし、奴が何か僕らにしようとしてるしパパっとやっちゃうか。
「プラズマフラッシュ」
『ギャアアアァァ!? ……ァ』
よし! ちゃんと消えたな。
「ヒイィィィ⁉ 今何かギャアって聞こえた! お化け? お化けなの⁉」
ミレイラはまだ動揺しているらしい。
そして、結構霊感があるな、なまじわかるからこそお化けが苦手なのだろう。
まあ気持ちはわかるよ、僕だってホラーは好きじゃないからね。
特に抵抗する術がないなら尚更だよね。
僕も有効な対抗手段がない人間だった頃はホラーだめだったなー。
少し大昔を懐かしみながらミレイラをなだめる。
「大丈夫だよミレイラ、お化けは僕とマーリャで倒したからもういないよ」
「そ、そうならいいのよ。なんか疲れたわ、おやすみ……」
そう言ってミレイラはテントに入ってしまった。
どうやらよっぽど怖かったらしい。
「あ、あの。わ、私悪い癖が出てしまいました……アルティマ君申し訳ありません!」
マーリャはすごい勢いで頭を下げてきた。
「あー、ちょっとびっくりしたけど、別に大丈夫だよ」
そう言うとマーリャはとても安心したようだ。
「よ、よかったです。では私も疲れたので寝ますね……」
そう言ってマーリャも寝てしまった。
それからリュシオン君とアレンさんが話しかけてきた。
「ごめん、マーリャが豹変することを話すのを忘れていた……」
「相手が強いとああなるんだ、怖がらないでやってくれ」
「大丈夫大丈夫、気にしてないし、怖がったりしないよ。さあ残りは僕が見張ってるから、二人とも寝な」
そう言うと、二人は申し訳なさそうな顔をしたものの、実際眠かったのか素直にテントに入って寝た。
その後は特に何もなく朝を迎え、荷物を僕の収納にしまい出発する。
そして、しばらく歩きようやく目的の村に着いた。




