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part2

佐原玖音はその日、絶海の孤島にある洋館に、同輩の物部葵と、一つ先輩の望月真昼と共に身を寄せる運びとなっていた。

玖音は、夏休みの長期休暇を利用して、真昼に彼女が所有する洋館にバカンスをしようと葵と共に誘われていた。玖音は「もちろん」と了承し、その無人島へとたどり着いたばかりであった。

「潮風が心地いいな」

そういうのは物部葵。彼は、いかにもなアロハシャツを着こなし、おまけにサングラスまで掛けている。ただし、いつも、特異に見える、首許のチョーカーは、その服装のため、よりアンバランスに見えた。

「そうですね。気持ちがいいです。ただ少し髪にべたつくのが少々難点ではありますが」

南から吹く、潮風と熱烈に輝く太陽、そして目いっぱいの海。暑さのために陽炎が空間を歪ませた。

蝉のみんみんという音がひどく聞こえてきた。蝉の声で蝉一匹を思い浮かべるものはいない。いくつもの蝉が生命を枯らす雄たけびが玖音はあまり好きではなかった。

島全体を新緑で覆った木々たちを見ると、はて日本が本当に緑が不足しているのかと疑わしくなる。まさしく絵にかいたような無人島。これをたった一人が所有しているのだから厭味ったらしいというものだ。しかしながら、今日は無人島というわけではない、これから玖音たちが身を寄せる洋館には先客がいると、真昼から聞き及んでいた。

「それで、真昼。まずはその洋館に行かないか。先に荷物を置いて、一休みしないと、この暑さでは、簡単に熱中症になってしまう」

傍らにいる葵が真昼にそう呈すると真昼は暑さのためか、栗色の髪をお団子に結びながら、「そうね」と短く頷き、洋館へと向かった。

洋館は外装こそ、少しさびれた、いかにもな雰囲気のあるレトロなものだったが、屋敷自体も敷地面積も、さすがは望月家領地というだけあってか、かなり上等なものだった。玖音や葵のような多少の小金持ち程度には、想像もつかないような額がこの屋敷に使われていること間違いないだろう。

入口の表式にうっすらと望月という名が刻まれているのが見えた。

「これはすごい。多分、一生、こんなところに行く機会はなかっただろうな」

「そうね。確かに少しぼろくはあるけど、いい洋館ね。本当はもっといい別荘もあるのだけれど、この島には、ほかには、めったにお目にかかれない希少な海洋生物や、絶景のスキューバダイビングも出来るから、我慢しなさいな」

相変わらずのお金持ちっぷりである。島一つを所有しておいて、ほかにもっといいものがあると言い出すのだから。

「お待ちしておりましたよ。真昼お嬢様に、お連れの方々」

「久しぶりね、久我。四年ぶりくらいかしら」

「覚えて下されたのですか。真昼お嬢様」

「まあね、この世界じゃあ、人付き合いは大事だもの。人の名前くらい覚えておかないと、やっていられないわ」

「本日は私たち五人の同伴を許していただき、誠にありがとうございます」

彼の後ろに控えている人たちを見ると、彼を含め、男性三名、女性二名の計五人で、今いない人はいないようである。

「別に構いはしないわ。私も一応の経験と資格があるとはいえ、初心者二名を相手にするのは骨が折れそうだったもの。あなたたちが面倒を見てくれるというのなら、それ以上に心強いこともないでしょう」

彼らの素性は真昼から聞き及んでいた。彼らのつながりは大学時代のスキューバダイビングのサークルの仲間内で、そのうちの二人が今度結婚するというので、記念に大学時代に来たことがあるというこの島へ、真昼の父と公私ともに親しい間柄にある、久我の父から口利きをしてもらい遊びに来たという。

しかしながら、その少ししたうちに真昼も同様なことを言ってきたので、それならばとダブルブッキングを許そうということになったのだ。

「長旅でお疲れのことでしょうから、挨拶もこのあたりにして、食事と自己紹介をいたしましょう。クーラーのきいた部屋と冷たいジュースも用意してあります」

「気が利くわね」と、真昼。「ありがとうございます」と、玖音と葵がいい、案内された広間へと入っていく。

各々食事をしながら、自己紹介へと移っていった。

「まずは、私のほうから改めて自己紹介を、本名を久我竜也といいまして、当時のサークルでは部長を務めておりました。父は、まあ、人識さまほとではないですが、そこそこの資産家で、そのつながりのため真昼お嬢様との面識はありますし、そのつてで、この洋館を貸してもらえる運びにもなりました。改めて真昼お嬢様には感謝を、そして真昼お嬢様とお連れの皆さまにはよろしくしてもらえると幸いです」

礼儀正しい人物である。資産家の息子というのも納得のもの。彼の言動からは品性が感じられた。用意されたラム肉のステーキをナイフとフォークをうまく使いこなしている者も真昼と彼のみだ。取り繕うという気がある分真昼よりも彼のほうが上手いと言えるだろう

「次は俺の番だな。俺の名前は伊藤雄二、今はしがない商社勤めのサラリーマンをしている。趣味はもちろんスキューバダイビングだが、海にかかわることなら何でも大好物だ。よろしくな」

快活というような言葉が似合いそうな、いかにも海の男という感じである。色も浅黒く、普段からアウトドアを楽しんでいることが見て取れる。

「次は、僕だね。一応、この旅行の主役ということになるのかな。今回、結婚した上条良です。妻とは、在学中に一年、卒業してから二年間。計三年間付き合って結婚することになりました。みんなからは、遅すぎるとは、さんざん言われたけどね」

伊藤が「奥手すぎるぞ」と揶揄する。面々もその言葉に頷き、同じく野次を入れる。

それに対し、良は「面目ない」と頭を掻いた。

「順番的に、次は私かな。上条香、旧姓を西条香といいます。このたび、良さんと結婚することとなりました。これからも、良さんをそばで支えていきます。よろしくお願いします」

良は気恥ずかしくなったのだろう時間を確認する体で掛け時計のほうへとそっぽを向けた。そしてやはり、伊藤はそれをからかった。

「最後に私ね。田中恵というわ。香とは、幼いころからの付き合い。今回の結婚は、素直に喜ばしいわ。先を越されちゃったのは、少し癪だけどね」

田中という女性はさっきからすごい勢いでお酒の缶を開けていたのだが、これからのダイビングは大丈夫なのだろうか。

これで、先のグループの自己紹介は終了した。次は玖音たちの番である。

「望月真昼。夏休を利用してバカンスに来たわ。連れは、学校の部活の後輩よ。友達なんで、よくしてやってね」

全く簡素な自己紹介である。真昼は彼らにさしたる興味はないのだろう。もしやすると、結婚話には辟易していて早く遊びに行きたいため、そんな簡単な自己紹介をしたのかもしれない。彼女ならあり得ると、玖音は思った。

「僕の名前は物部葵といいます。真昼に招待されてこの島へやってきました。皆様の邪魔にならないようにはしたいのですが。仲良くもしてもらいたいとも思っています。よろしくお願いします」

「全く構わないよ。無理を言ってこの洋館を貸してもらっているのは、僕たちのほうだからね。こちらこそ、仲良くしてほしい」

久我がそういうと面々も同意してくれた。葵の言う通り、島の所有権をこちらが有するといっても後から割り込んだのはこちら側なのだから気を遣ってくれるのは非常に申し訳ない気持がする。真昼はそうでもなさそうに片手にワインを軽く揺らしながら遠くを見つめていた。未成年飲酒はやめましょう。

「最後に私ですか。佐原玖音といいます。葵とは幼馴染。真昼とは、高校からの付き合いです。似たような体躯ですが、真昼とは違って運動神経は悪いです。そのことでご迷惑をかけるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」

「俺が教えてやるよ」と調子よい伊藤。言いそうだなとは思っていたが、本当に言うとは。冗談であって本気で狙われてはいないのだろうが、警戒した方が良いのだろうか。すぐに良に「それは、まるっきりダメだろう」とたしなめられた。


一応、この「佐原玖音とその事件簿と」が初めて書いた作品なので、輪に掛けて拙い作品だけど、

これの次の「佐原玖音とひねくれものの真心と」は結構、自信あるので近いうち、投稿するそれだけでも

見てくれたら嬉しいです。

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