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最恐ホラー『警察24時』

作者: キリスト

何も知らないほうがいい。


車から降りてきて泥酔した私を拉致した男たちはそう告げた。


目隠しを外され、はじめて男たちが警察官の格好をしていることに気づいた。


乗っているのはパトカーだろうか、セダンの後部座席の中央に私、両脇に1人ずつ警官がいて、私の手首には手錠がはめられている。


運転手含め、皆無言だ。

私には警察に捕まる心当たりがあった。

 ——連続少女誘拐監禁殺人事件。

もう20年もバレてない。


「何も知らないほうがいい」また同じことを警官は言った。私はどこかの山に連れて行かれ、手錠を外された。


「掘れ」そう言ってスコップを渡され「掘らないならゆっくり射殺する」と脅され、渋々警官たちの指示に従い穴を掘り進めた。


「穴に入れ」拳銃で脅され従った。


私に土を被せ埋めていく警官たち。首まで土に埋まった。


頭から蜂蜜をたっぷりかけられた。そしてその場にいる警官3名が女の氏名を言った。

記憶の奥底で眠る細い糸が鈍く光り、(私が殺した被害者たちの氏名だ)現実と過去が結びついた。


突然のフラッシュ。カメラマンとリポーターがどこからともなく駆け寄ってきて言った。


「最恐ホラー、察24時です。加害者の人権無視を正当化した警視庁をどう思いますか?」


カブトムシが額に止まり、首から下の皮膚に謎めいた動きを感じた。私は何も答えられずにいた。


「黙秘ですか。木になってみて事件の重大さが理解できましたか」


しつこいリポーターに苛立った。

蟻が耳の中に入ってきた。

動かせない身体を何かが噛み、鋭い痛みが走った。


「木になった感想を一言だけでもお願いします」


しつこい!私は心で毒づいた。と同時に、拘置所で死刑囚を収容する独房では、陽が差し込まない暗い部屋の窓の前に、植木鉢が一つあることを思い出した。


(死後は木か...)


私はそんな途方もないことを考えていた。

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