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1話

 

「来たぞ!異世界!」


 俺、雷久保(らいくぼ) 鳴太(なるた)は高卒ニート()()()

 しかし!異世界に()()してきた今、過去など関係ないのである。勝ったなガハハッ


 しかし困った。翌々考えてみたら転生ではなく転移、

 つまるところ定番である神様を経由していないのでチート能力がない……

 しかも文字が読めない喋れない。


 異世界の地にて戻る方法がわからない今、孤立無援で生涯孤独……


「元居た世界より状況が悪くなってるじゃないか!!!」





 どうしよう。

 恐らく転移した先はなんらかの都市。道路も舗装されモンスターに襲われる心配はないようだ。


 とりあえずそこら辺にいる女性に話しかけてみることにした。

「あっ、あっあっあっ、あのぉ……」

 何やってんだ!きも過ぎるだろ俺!


 俺が挙動不審すぎる所為で女性は気味悪がって逃げていった。

 高卒ニートの俺が、見ず知らずの人にコミュニケーション取れるわけもなく一人立ち尽くしてると。


「おい、そこのお前」

 ん?

「おい、お前だよお前」


 どうやら茶ひげのおっさんが俺に話しかけているようである。こっちの言葉はわからんぞ。

 何とか身振り手振りで意思の疎通を図っていると、

「お前別の国から来た奴か、助けてやるよ」


 どうやら伝わったみたいで、

「助けてくれるのか?」

「この書を読めばここの言葉がわかるようになるぞ」

 どうやらこの国の言葉を覚えられる魔法の書を譲ってもらえるみたいだ。


「ありがてえ」

「100万Gゴールドだ」


 ん?金とるのか?

「俺金持ってないよ」

「この契約書にサインして後で払えばいい」

 つまり借金ということか。しかし、100万Gって高いのでは?


「俺こんな大金払えないよ」

「大丈夫だ。100万Gは一般人の給料1か月分くらいの金額だから」

 初任給くらいらしい。なら大丈夫か!

「わかったサインするよ」

「毎度あり」

「この書を使えるのは一度きりだからすぐ使えよ。あとこれが契約書の写しだ無くすなよ」

「ありがとう」

「じゃあな!」


 親切なおっさんは颯爽と去っていった。

「じゃあさっそく使ってみますか!」


 おお、おおお!凄い!ほんとに読めるようになってきた!

 試しにそこら辺の看板を読んでみる。

 ”この先スラム注意”

 危ないところだった。今からそちら方面へと歩いていくところだった。

 あれ?そういえばおっさんこの先へ去っていったな。

 嫌な予感がしたので、先ほど貰った契約書の写しを読んだ。


 ・100万Gで識字の書を譲渡する

 ・太陽歴3273年夜見の節から3275年夜見の節までに返済すること

 ・なお返せなかった場合は体の一部を売却し、それをもって返済完了とする。

 ・この契約書を返済責務のある者が破棄した場合、上記の内容が強制実行されこれをもって返済完了とする。


 つまり、2年間で返済できない場合体の一部がもっていかれるということ。

 クソ!!騙しやがったな!!!あのおっさん一言もそんなこと言ってなかったぞ!

 こうなってくると100万Gの相場が初任給1か月というのも疑わしくなってくる。


「すみません!そこのおじいさん」

「なんだい?」

「一つ聞かせてください。100万Gの相場ってどんなものですか?」

「100万G!そんな大金何に使うんじゃ。100万Gといったら家が3件立つ位じゃぞ」


 なんということだ……


「どうやってかえせばいいんだ!こんな金額!!!」


 異世界生活最悪の始まりである。


 借金残り1,000,000G




借金100万Gゴールド


これが俺雷久保らいくぼ 鳴太なるたに課せられた借金である。




やばい、まじやばい……(小並感)




今自分がいる場所は人口50万の中規模国家、名をイーリスと言うらしい。


通貨の情報を調べたところ、1G=10Sシルバー 1S=1000Bブロンズだそうだ。


つまるところ日本円とそう変わらない。覚えやすくて助かった。




問題はここからだ、どうやらこの国の初任給の平均は5S、


借金の返済期日は2年後の夜見の節(元の世界でいう10月)




5S×24=120S


つまり12G


物価が安すい。


「全然足りない!」




ひとまず今日の日銭を稼がないといけないので、職業安定所に来ていた。


「とりあえず日雇いバイトをしながら情報を集めなければ」




そう言って引き受けたのは時給は高いが肉体労働である魔法石マジックストーンの搬入バイト。


どうやら家庭用の照明等に必要な燃料の搬入作業らしい。




「これなら楽勝だ!」




と思ったのもつかの間


「しんどい……」


それもそのはず只の高卒ニートが肉体労働をいきなりできる訳もなく。


「おい、サボるなよ」


そういったのは同じ日雇いバイトのルー・ルドヴィカ


175㎝位の金髪普通体型の男、年は多分俺と同じくらい




「そう言われてもしんどいものはしんどいの!」


「お前がサボっていると作業が遅れて帰るのが遅くなるだろ!」


「別にいいだろ!この後用事がある訳でもない癖に」


「決めつけんな!」




「おい!そこのお前ら!!サボってないで早く仕事してくれ!!」




「「はいっ!!!」」


工場長らしき人に怒られてしまった。




「お前のせいで怒られただろ」


「俺のせいにするな!」




そうしながらも作業が進み、定時の少し前に何とか終わった。


「はぁー終わったー!」




「お前のせいでいつもより掛かったがな」


ルー・ルドヴィカ、やかましい奴め!




「ルーさんそういや何で日雇いバイトなんかやってんの?」


なんとなく聞いてみた。




「別に何でもいいだろ」


聞いてはいけない質問だったか?


「碌な魔法が使えないからだよ」


「魔法?」


そうかここは異世界だもんな、魔法くらいあるよな。


「お前はこの国に来たばっかだから分からないかもしれんが、この国は魔法が使えないと碌な仕事が無いんだ」


そうなのか。


「でも一応魔法は使えるんだろ?」


「一つだけな」


「じゃあ一つくらい仕事あるんじゃないの?」


「ないよ。俺が使えるのは耐電の魔法だけだからな」


「帯電?強そうじゃん。バリバリバリッみたいな」


「”帯電”じゃなくて”耐電”な、耐える方」


「なるほどね」


そりゃあ仕事無いわけだ。




「逆にお前は何で日雇いバイトなんかやってんだよ」


「これには深い事情が……」




「おう!お前ら今帰りか?」


工場長が話しかけてきた




「はい今帰りです」


何の用だろう。


「早く終わったから今から飲みに行かないか」


この世界にも飲みにケーションとやらはあるのか……まあ暇だし奢ってもらえそうだし。


「はい!是非!」




「自分は用事があるので」


そう言ってルーは帰ってしまった。今時の若者過ぎるだろ、いや俺もか。










その晩工場長もといヤシマさんの奢りで行きつけの居酒屋に来ていた。


「ナルタだったけか、何で若いのに日雇いバイトなんかやってんだよ」




詳しく事情を説明すると




「100万Gの借金!?!?!?」


「そうなんです、騙されちゃって。これが契約書なんですけど、どうにかなりませんかね」


そう言って契約書を見せると


「こりゃあ無理だな、この契約書に強い魔法がかかっている恐らく返すしか手立てが無い」




そんなぁ……


「何かいい仕事ないですかね」


ダメもとで聞いてみると


「魔法工事士マジックエンジニアなんてどうだ」


「何です?それ」


「工場や一般住宅の魔法設備の工事をする仕事だよ」


魔法設備……ああ照明とかのことか


「でも資格とかいるんじゃないですか?」


「ああ勿論要るが一度とれば食いっぱぐれないぞ」


「でも借金は返せないですよね」


「そんなことないぞ。自分の工務店を立ち上げれば100万Gも夢じゃないぞ」


「本当ですか!?」


「俺の魔法工事士の知り合いが隣国に引き抜かれて工務店を立ち上げてからウハウハらしい」




これはワンチャンあるのでは?


「まあ相当努力が必要だがな」


「まあそうですよね」










なんやかんやで夜も更けてしまい。


「ヤシマさん帰りますよ!」


「zzz……」


酔っぱらって寝てしまったのでとりあえず家まで送っていった。




「ヤシマさん!つきましたよ!」


全然起きん。家の人はいるのだろうか。てか結婚してるのかなこの人。


とりあえずチャイムを鳴らしてみた。




ピンポーン




「はーい!」


ガチャリと中から出てきたのは10才位の娘さんらしき人物


「すみませんヤシマさんの自宅で間違いないですか?」


「おじさん誰ー?」




お、おじさん……まだぴちぴちの20歳だぞ俺。




「あ、すみませんうちの旦那が」


そういって奥から出てきたのは奥さんらしき人


とりあえずヤシマさんを引き取って貰い自宅に帰った。いや自宅はないか。














次の日


昨日と同じく搬入作業の仕事を始めた。


「お前さあ昨日あの後飲みに行ったの?」


そう尋ねるのは昨日と同じくルー・ルドヴィカ


「いい加減さあお前っていうの辞めてくれない?雷久保 鳴太っていう立派な名前があるんだからさ」


「変な名前だな」


「お前人の名前を変とかいうなよ」




「あ、猫」


「人の話聞けよ。てかこっちにも猫っているんだな」


「え?猫なんてどこの国でもいるだろ。変な奴だな」


あ、やべ!変なこと口走っちゃった。異世界転移したことがばれる!……訳ないか。




ルーは気にせずに作業へ戻っていった。


しかし魔法工事士か、資格取得してみてもいいかもな。




昨日ヤシマに言われたことを思い出していた。


そういや俺工業高校時代、電気工事士とってたな。


もしかするとこっちでも使えるかもしれん。




俺は工業高校のころ電気科だったため、先生に言われて電気工事士を取っていたのだった。


あの時はこんな使いもしない資格とって何になるんだと思っていたが、まさかこっちで使うときが来るとは!




考え事をしていると。




ドカーーーーーーーーーーーン!!!!!




「うわあ!!」


凄い音がしたな。




「おい!ナルタ!逃げるぞ!」


「なんだよルー急に」


「もたもたすんな!発電機が急に爆発したんだよ!」


「まじか!」




それはまずいのでは。そのうちここにも火の手がまわるかもしれん


ひとまず工場から避難した。




やがて魔法石の魔力が暴走し、工場一帯が火の手ではなく雷いかずちに包まれた。


「なんだ……これは」


「魔力が暴走してるんだよ」


「こんな工場が放電するものなのか?」


「当たり前だろここは魔力で電気を作るところだぞ!」




なるほどそういうことか。自分の元居た世界じゃこんな現象にはならなかった為驚いてしまった。


二人で話していると、野次馬が集まってきた。


どこの世界も変わらないかこの光景は。




ん?あれは確か、工場長の娘さんと奥さん?


「ナルタどうした?」


「いや工場長の娘さんと奥さんが居てな」




嫌な予感がした。


「ちょっと行ってくる」


「おい!」




「すみません!奥さん!」


「うちの旦那がまだ出て来ていないんです!」




嫌な予感が的中してしまった。


「工場長から連絡は?」


「それがまだで……」


「お父さんは……?」




くそっどうする?助けに行くか?いやしかし。


「ナルタ助けに行くぞ」


そうルーは言った


「何言ってるんだ無理に決まってるだろ!こんな放電のなか!」


「」













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