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第67話 分離スキル・レベルSSS

 まず真っ先に駿河に連絡を取る。

 なにが起きたのかまったく理解できない。

 関白のスキルで飛ばされたのだろうか。


 自分の家まで? それほどのスキルパワーがあるのだろうか。


「出ない……」


 ヨルヨも、太郎も、千彩都も、誰も電話に出ない。

 まだあの廃城ダンジョンにいるはずだが。


 慌てて外に出て、電動キックボードで駅へと向かう。

 その道中、黒子は異変に気づいた。


「誰もいない……」


 黒子が住んでいるのは都内なのに。

 まだ昼過ぎだというのに。


 車も、歩行者もいない。


「な、なにがどうなっているの……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 一方、駿河にも同様の現象が発生していた。

 ヨルヨと共にサリーと戦っていたら、いきなり自宅に立っていた。


 誰とも連絡がつかない。

 外に出ても、誰もいない。


 十中八九、関白の仕業なのだろうが。


「黒子……関白となにがあったの……」


 人がいなければ、もちろん電車は動かない。

 しょうがないので、自宅のバイクに乗って、廃城ダンジョンがある深谷市を目指す。


 父のバイクだ。



 無事、廃城ダンジョンに到着したのだが、


「ここにも、いない」


 黒子どころか関白すらいなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 黒子たちが関白と戦った翌日。


 ルルナは朝目覚めてから、ずっと天井を見上げていた。

 天井や壁に貼られた『真っ白』なポスター。

 なんでこんなものを貼っているのか思い出せないのだ。


「んー、なーんか忘れているような」


 しょうがないので、とりあえず朝支度を済ませる。


「ルルナちゃーん、朝ごはんできたぞ〜」


「今いくよ、ママ」


 2階の自室から1階のダイニングへ。

 母のララナは、ルルナのために牛乳を注いでいた。


「ねえママ、私の部屋の白いポスターなに?」


「へえ? さあ? なんだろ〜」


「そういえばさ、前にママ、ダンジョン配信したよね? なんでだっけ?」


「なんでって、ルルナちゃんの大好きな黒鉄黒小次郎さんに会うためでしょう」


「そんな人好きじゃないよ」


「あれ〜? 誰が好きなんだっけ?」


「え……」


 母は誰と間違えたのだろう。

 思い出せない。

 スマホであのときの配信アーカイブを確認してみる。


 母ララナが、『1人』でダンジョンを進んでいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 モヤモヤしたまま登校する。

 結構遅刻ギリギリになってしまった。


 急いで廊下を走っていると、


「こら」


 担任の教師に呼び止められてしまった。


「廊下を走ってはいけないよ」


「ご、ごめんなさーい、飛鳥先生。遅刻しちゃいそうで!!」


「ふふ、それでもちゃんと歩きなさい。今日のところは、遅刻を許してあげるから」


「いいの!? 飛鳥先生太っ腹!! なんか良いことあった?」


「まあね。それより、先生にタメ口を使うのは、さすがに見逃せないな」


「あは☆ ごめんなさーい」


 本来、飛鳥関白は厳しい教師である。

 遅刻なんて絶対に許さない。

 それなのに、今日だけは許すという異常事態。


「先生、相変わらず『肌白い』ね。女子の私より白くない? 外出てる?」


「これでも毎朝ジョギングをしているよ。くくく」


「ん? どうしたの、先生」


「別に、なんでもないよ。本当に、ただ個人的に嬉しいことがあってね。思い出してつい、笑みが溢れてしまった」


「え〜、なになに? まさか、結婚!?」


「近からず遠からずかな。最愛の人と、これからも一緒にいられることになったのだ」


「ええええ!!!! なんかロマンチック!!」


「くくく、ほら、早く教室に行きなさい。あくまで、歩いてね」


「はーい。あとで話を聞かせてね」


 ルルナが去っていく。

 その後ろ姿を眺めながら、飛鳥関白は邪悪な笑みを浮かべた。






 レベルSSSになった分離スキルは、世界を別けることができる。


 関白が別けたのは、己にとって不都合な存在。

 黒子たちと、ゴブリン化の事実、全世界にバラまかれた悪行の秘密。

 それらを、世界から隔離したのだ。


 すべての記憶、痕跡が消滅し、黒子たちが生きていた証が無くなる。

 誰もなにも覚えていない。思い出せない。なぜなら、はじめから存在していないことになっているから。


 さらに黒子たちは、それぞれ別の隔離世界に飛ばされているので、力を合わせることすらできない。


 さながら、切り分けられたケーキ。

 カットされたピザ。


「くく、くくくく……」


 これでなにもかもが元通りになった。

 いや、元通り以上だ。


「くははははは!!!! 私の、勝ちだッッ!!」


 誰も、彼を捕まえられない。

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