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第65話 黒子vs関白 その1

 いま、関白の前に現れる。

 ダンジョンの平和を守る使者たち。

 肉親の仇を取る復讐者たちが。


「ガキ共がッッ!!」


 関白の影からサリーが出現する。

 さらに、サリーは己の影から2体のオークを召喚した。


 これで4対3、数ではこちらが有利。

 あの千彩都とかいう小娘は、戦力にはならないだろう。


 と、関白がほくそ笑んだ瞬間、


「邪魔よ!!」


 ヨルヨの重力スキルによって、2体のオークが地に伏した。


 合わせて駿河が跳躍する。

 狙いは当然、飛鳥関白。


 が、サリーが飛び出し、結界のスキルで進路を妨げる。


「どいて姉さん!!」


「……」


 その隙に、関白がワープサファイアを取り出す。

 もちろん、逃げるためだ。


 先ほどまで優勢だと高を括っていた関白だったが、この数秒間の出来事で己の窮地を察した。


 オークが2体、超重力によって動けなくなったから、というのは半分正解。


 正確には、日輪ヨルヨのスキルの対象が、1つではなくなっていると気づいたからだ。


 そうなると、まずい。

 ならば、重力で動きを封じられる前に逃げるしかない。


 だが、


「させません!!」


 黒子が取り出した特製のムチが、ワープサファイアに絡みつく。


「ガムガムウィップ。その名の通り、ガムのようにくっついて、捕らえたものを離しません」


「バカが、分解してやる」


 関白がスキルを発動する。

 ガムガムウィップ、もとの素材に分けるつもりだ。


 しかし、


「遅いのよ!!」


 そう、遅かった。

 ヨルヨの重力スキルが関白を地面に押し付ける。

 うぐっ!!


 黒子はムチを引き、ワープサファイアを奪取した。


「これで、もう逃げられませんね」


「バ、バカな……」


 駿河がトドメを刺そうとするが、やはりサリーに阻まれる。


「ヨルヨ!! 姉さんも!!」


「わかってる」


 わかってはいるが、できない。

 サリーの顔は、ヨルヨの母のもの。

 傷つけたくない。苦しめたくない。


 あれは母ではないのだと、頭では理解していても、本能が拒む。

 娘なのだから、当然なのだ。


 その隙を、関白は逃さない。


「サリー!! 私を影に!!」


 関白の肉体がサリーの影へと沈む。

 直後、サリーは関白を影から召喚した。


 サリーの目に宿るスキルは、使役するモンスターを影にしまい、召喚できる。

 ゴブリンと化した関白にもスキルが適用されるのだ。


「よし、これで」


 身軽になった。

 一度影にしまったことで、ヨルヨのスキルから解放されたのである。


「だが、こうなっては……」


 関白が走り出す。

 潰走だ。真っ先に部屋から出ていく。


「サリー、ここは任せた。あとで必ず会いに行く」


「待ってください!!」


 慌てて黒子が追いかける。

 駿河やヨルヨも同様に踵を返したが、


「姉さん……」


 サリーが立ち塞がってしまう。

 この瞬間、駿河は関白の狙いを察した。


 関白は確かにここから逃げた。しかし、戦意は喪失していない。

 別の場所へ移動して、1人ずつ狩る気なのだ。


「黒子……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ハズレルートを走り抜け、黒子はエントランスまで戻ってきた。


 関白は特にスポーツをやっているわけではない一般男性。

 対して黒子は電動キックボードに乗っている。


 追いつくのは、必然であった。


 関白が立ち止まる。


「これで、誰とも力を合わせられないな」


「あなたも、サリーさんがいません」


「んー? 頭が悪いのかキサマ。お前のスキルでは私に勝てないことくらい、とっくに理解していると思っていたが」


「どうでしょうかね」


「……」


 余裕そうに、黒子が微笑む。

 それが関白の神経を逆撫でた。


 イライラする。

 こいつがいたから、ワープサファイアを得て、自分は気軽に人を殺せるようになった。

 しかしこいつがいるから、充実した人生が崩壊してしまった。


 恨めしい。

 忌々しい。

 腹立たしい。


「ひとつ、尋ねる」


「なんですか」


「なぜそこまで私に執着する。サリーは完成した。もう人を殺すことはない。なら、私を止める必要などないではないか」


「その保証がどこにあるっていうんですか。もっと良いパーツを見つけたり、代わりのパーツを手に入れるために、まだまだ殺すに決まっています」


「……」


「それに、あなたからサリーさんを奪わないと、駿河さんのお姉さんは元通りにならないんです!!」


 サリーを奪い、関白の家から回収された小牧の四肢と頭部を縫合すれば、もしかすると生き返るかもしれないのだ。


「私は裁判官でも警察官でもありません。罪を裁く権利はない。ですが、ここであなたを倒します。それが、すべての冒険者たち、モンスターたちへの、サポートです!!」

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