第51話 世界最後の日
駿河がノートにペンを走らせる。
先生の板書を、重要な部分だけを書き写し、覚えていく。
関白の件があったのに、授業は毎日行われる。
平和の証と捉えるのなら、嬉しいことだ。
「はぁ」
少しお腹が空いてきたな。
そんなお昼ごろ、
「大変です駿河さん!!」
黒子が教室にやってきたのだ。
「え!? 黒子、どうして学校に!?」
「そんなことはどうでもいいんです!! 大変なんですよ!!」
「ま、まさか見つけたの? 飛鳥関白を!!」
「違います」
「じゃあ……」
黒子が窓を指さした。
正確には、窓の向こうに広がる青空を指しているようであった。
「地球に超巨大隕石が落ちてくるんですよおおおおおおおおッッッッ!!!!!!!!」
「なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!???!!?!?!?」
先ほどアメリカの宇宙センターから発表されたのである。
月くらい大きな隕石が、まもなく地球に落下する。
残り時間は、あと5分。
5分後には地球が滅ぶのである!!
なんという超速テンポッッ!!
なんという超展開ッッ!!
打ち切りか、打ち切りになってしまうのかッッ!!!!
「ど、どうしてそんな、急に……」
「大好きな駿河さんに、いち早く伝えたくて、ここに来ました」
「そ、それは嬉しいけど……。なにか対策していないの? ミサイルで粉々にするとか……」
黒子が首を横にふる。
「残念ですが、ミサイル如きではどうにもならない大きさなのです」
「そんな!!」
「もう、私たちが最後の希望なのです」
「私たち!?」
「ヨルヨちゃん!!」
さらにヨルヨもやってきた。
「くふふ、作戦を説明するわ!! 私の重力操作で駿河と黒子を空へと打ち上げて、2人のパワーで隕石を破壊するのよ」
「カスみたいな作戦じゃない!!」
「もうそれしかないわ!!」
ヨルヨと黒子に手を引かれ、駿河は校庭へ出た。
空を見上げると、確かに、クソでかい隕石が迫ってきていたのだ!!
「行くわよ2人とも」
「え、ちょ!!」
「おりゃああ!!」
駿河と黒子が空へと昇る。
ぐんぐんと、隕石へ近づいていく。
「どうすればいいのよ黒子!!」
「こんなこともあろうかと、生産しておきました」
黒子がリュックから真っ赤な刀身の日本刀を取り出した。
「こ、これは!?」
「ラブリーキュアキュアジャパニーズソードです」
「ラ……え?」
「想いを力に変えて、どんなものでも切り裂ける最強の剣です。これを、剣術が得意な駿河さんに託します」
ゴクリと、駿河が息を飲む。
「想いを……力に……」
「想いは、すでに込めてあります」
「そうなの?」
黒子の頬が赤くなった。
「駿河さんへの……想いを……」
「え……」
「もし、隕石がなくなったら、そのときは……」
「そ、そのときは……?」
ドキドキ。
ドキドキドキドキ。
「す、駿河さん、どうかこの刀を、受け取ってください!!」
「う、うん」
駿河の手が伸びる。
黒子の想いが詰まった最終兵器。
これで、地球を救うしかない。
そのとき!!
「俺に任せるっすーっ!!」
謎のブースターを装着した鎌瀬太郎がラブリーキュアキュアジャパニーズソードを奪ったのだ!!
「あ!!」
「うおおおおおお!!!! 俺が世界を救うっすーっ!!」
太郎が隕石に突っ込む!!
「うぎゃあああああ!!!!」
あぁ!! 隕石に負けた!!
世界が滅ぶ!!
「そんな、このままじゃ地球が……」
「駿河さん」
「黒子?」
「もう終わりなら、せめて、駿河さんと一つになって、死にたいです」
「黒子……」
駿河と黒子が見つめ合う。
2人の顔が近づく。
隕石も地球へ近づく。
そして、唇も……。
「うわあああああああ!!!!」
ガバっと駿河が目を覚ました。
アラームの音が脳に響く。
ここは……寝室?
「ゆ、夢か……」
まさかあんな恥ずかしい夢を見てしまうとは。
いたたまれない気持ちになって、駿河は顔を手で覆った。
「黒子をあんな目で見てしまうなんて……」
すると、
「ん、電話? 黒子から?」
『もしもし、起きてました?』
「えぇ、どうしたの?」
『いや〜、その〜。実は駿河さんの夢を見て、なんだか無性に声が聞きたくなっちゃいました。えへへ』
「……」
『す、すみません。こんな朝早くに』
「いえ、大丈夫よ。……私も、黒子の夢を見てたの」
『そうなんですか!? 相思相愛ですね!!』
「うっ……」
黒子、言葉の意味を理解しているのか。
それとも、理解して言っているのか。
(可愛すぎるッッ!!)
そんなこんなで、駿河はルンルン良い気分になったのでした。
めでたしめでたし。




