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第44話 黒子家で会議

 黒子の家に集まる。

 黒子を中心にした仲間たちが。


 駿河、千彩都、鎌瀬、ヨルヨ。

 そして、黒子。


 テーブルを囲んで、暗い面持ちで、鎌瀬太郎が用意したお菓子とリンゴジュースを食す。


 駿河が足を組み直し、千彩都を一瞥した。


「それで、千彩都さん、どうなの?」


「うーん。アンダーブとか、他の闇掲示板とか探ってみたけど、手がかりはなかったなあ」


「そう……」


 彼女たちは、とある少女について情報を共有しあっていた。

 先日、ダンジョン内で行方不明になった少女である。

 綺麗な水色の目が特徴的な、有名配信者。



『秩父のダンジョン【アヌビス】中盤まで攻略#2』という配信の直後、ネットから姿を消したのだ。

 さらに彼女の知り合いが、SNSで情報提供を募集した。

 つまり、リアルでもいなくなったことになる。



 ヨルヨが「うーん」と唸った。


「モンスターに食われた、とかなんじゃないの?」


「とすれば、食べ残しや彼女の血があるはず。あのダンジョンには、人を丸呑みするようなモンスターはいないし」


 千彩都が続ける。


「なんか、現場には『解体されたオーク』がいたらしいよ」


「そのオークは彼女がスキルで召喚したものよ。そのオークを、何者かが解体した。わざわざね」


 リンゴジュースを飲んだ太郎が発言した。


「そういうスキルなんすかねえ」


「十中八九。……だから私は確信した。彼女の行方不明には、『誰か』が一枚噛んでいる。そしてその人物は、私の姉さんにも関係しているはず」


 つまり、


「私のお母様と、お兄様を殺した犯人」


「そうね。いったいどんなスキルで、何を目的としているのかさっぱりだけど、『オークの死体』を放置したのは、犯人がはじめて犯した愚行」


 ヨルヨの相好が酷く歪む。

 許せない。家族を2人も殺害したサイコパスが、また犯行を繰り返していることが。


「そういえばなんすけど〜」


 太郎が口を挟む。


「どうしてヨルヨちゃんの家族を殺したヤツ=今回の犯人になるんすか? だってお母さんは、行方不明になってないんすよね?」


 太郎の発言に駿河が眉を潜めた。

 確かにその通りだが、それではまるで、ヨルヨの母の死について、詳しく聞いているようではないか。

 辛い過去のはずなのに。


 ヨルヨの視線が落ちる。


「私もわからない。ただ、お兄様が、駿河のお姉さんを攫ったヤツと同一人物かもって言っていただけだから。たしかに、お母様は、行方不明にはなってない。ただ……首がなかっただけで」


 目がじんわりと潤んでいく。

 さすがに太郎も己の失言に気づき、慌てた。


「そ、そうなんすか。ごめんなさいっす」


 駿河の手がリンゴジュースへ伸びる。

 やはり、ヨルヨの兄シンヤが亡くなったのは惜しい。彼なら、もっといろいろ知っていただろうに。


 ヨルヨの母は、首がなかった。

 シンヤも、四肢や頭部が切断されていた。


 解体されたオーク。


 切る、スキルか。


 いや、オークの解体は切るなんて生易しいものではない。

 皮、骨、肉が綺麗に分別されていたのだから。


 もし2つの現象に共通点があるとすれば、相応しい単語は……。


「んで」


 千彩都がスマホを片手に、メモアプリに書き込んだ情報を告げる。


「他にそのダンジョンで配信していたやつはいない。入場記録がわかればいいんだけど、そこまで調査はできない」


 ヨルヨの父が逮捕された以上、警察組織は動かせない。


「女の子にはファンがいっぱいいて、ヤバそうなやつも多い。実際、ストーカー被害とか、キモいメッセージを送られたこともあったらしい」


 容疑者の特定は難しい。


「最初から女の子を狙っていたのか、たまたまなのか、てーんで不明。まいったね」


「千彩都」


 ずっと黙っていた黒子が、重い口を開いた。


「その人が最後に配信してたのって、どこだっけ」


「ん? アヌビスってダンジョン。秩父の」


「アヌビス……か……」


「どうしたの?」


「もしかしたら、その犯人は『別の用事があって』ダンジョンに入って、偶然被害者さんに会ったのかなって」


「別の用事?」


「うん。アヌビスで配信していたのは被害者さんだけ。とすれば、犯人は単独で黙々と攻略していたことになる。承認欲求を得るために攻略しないならたぶん、そこにしかないアイテムが欲しかったのかな……」


「アイテム? なにかあるの!?」


「うーん。わかんない!! ぜんぶのダンジョン攻略しているけど、どこにどんなアイテムがあるかまではさすがに……」


 調べてみる価値はあるだろう。

 駿河の手にジクジクと汗がたまる。

 それはヨルヨも同様であった。


 もう少し、もう少しで届きそうなのだ。


 ダンジョンに潜む、闇に。


 すっと、黒子が立ち上がる。


「どこに行くんすか師匠」


「ダンジョン。ちょっと、念のために作っておきたいアイテムがあって」

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