第41話 ルルナ、ついに会う!!
蔵前ルルナは毎日ダンジョンに潜っている。
探索スキルで黒子を捜すため。
客として、黒子に依頼をするためだ。
が、これまで一度として依頼が受理されたことはない。
運が悪いのである。
「はぁ、ママにはデリバリーをしたのに。どうして私だけ……」
みんな黒子に頼っているのだ。
たくさんある依頼のなかで、一日にこなせるのはせいぜい3件ほど。
言わば博打に負け続けているのである。
あとは……日頃の行いだろうか。
「黒猫ちゃん、私のこと嫌いなのかな」
嫌われない要素あるか?
会ったことすらないが。
「最後に一回依頼出して、帰ろう」
そんなダメ押しのタップ。
依頼したのは安いポーションだ。
洞窟型のダンジョンの、土壁に体重をかける。
制服が汚れてしまうが、ママが綺麗にしてくれるだろう。
反抗期のくせして面倒事は親に甘える。
こういうところが、運を逃す原因なのだろう。
「どうせ無理か……ん?」
知らない画面が表示された。
これまで見たことのないページ。
そこに書かれた、目を疑うような文章。
『受理されました。しばらくお待ちください』
なんと、
「え」
依頼が、
「え、え」
受け付けられたのである!!
「ええええええええええええええええええええええッッッッ!!!!!!????!!!?!!?!????!!?!?」
嘘ではない。
幻覚でもない。
正真正銘、このあと荷物が届けられる。
「くっ、はっ!!」
あまりの驚きにルルナの心臓がバクバクと破裂しそうなくらいに鼓動する。
胸が苦しい。
「来る。黒猫ちゃんが、来るッッ!!」
あと何分か。何十分か。
ここはダンジョンの一層目。すぐに辿り着く。
いいや関係ない。来るのなら待つ。
永遠に待つッッ!!
黒猫黒子に会いたいからッッッッ!!!!
「じ、時間が過ぎるのが、遅い!!」
それでも時は進み続ける。
まだかまだか。
興奮で吹き出る汗をハンカチで拭っていると、
「っ!? この音は」
聞こえてきた。モーター音が。
黒子愛用の電動キックボードの音が!!
そして!!
「待たせたわね」
知らないピンクの髪の女の子が、現れたのだった。
「……は?」
「黒猫黒子のデリバリーサービスよ。くふふ」
「え、違うじゃん」
「なにが?」
「黒猫ちゃんじゃないじゃん」
「あぁ、今日から私も働くことにしたのよ。黒子の力になりたくてね。私は日輪ヨルヨ。よろしく。くふふ」
念願のお手伝いを得たわけである。
よかったね、黒子。
ヨルヨはサイドテールをふわふわ揺らし、ポーションを取り出した。
「ほら、サイン」
「……」
「なにぼーっとしてんのよ。サイン書いてよ」
「……」
まあ、こんなもんである。
世の中うまくいかないもんである。
それにしてもヨルヨ、すっかりメスガキに戻ったようだ。
黒子のおかげで精神的ショックが癒えたのだろう。
やっぱり女の子は元気で明るい方が良いのだ。
「あっ……あっ……」
「ちょ、なに泣いてんのよ!! 大丈夫!?」
「あは、あはははははははははははははは」
壊れちゃった。
ヨルヨの代わりに、ルルナの精神がイカれてしまった。
「まてよ?」
「急に冷静になった!!」
「あなた、つまり黒猫ちゃんの知り合いってことよね?」
「え、えぇまあ」
「会わせてもらうことってできるの!?」
「……」
「ドキドキ」
「嫌よ」
「なんで!?」
「これ以上、黒子の周りに女を増やしたくないもの」
ヨルヨもルルナも駿河も千彩都も、どうしてこう独占欲が強いのか。
みんなで仲良くしてほしいものである。
「ほら、ちゃっちゃとサイン書いて」
「う、うぅ。……カキカキ」
「じゃあ、依頼達成ね、ばいばーい」
そんなこんなで、ヨルヨは帰ってしまった。
きっと黒子に褒められるだろうと、嬉しそうにニヤニヤしながら。
一方、取り残されたルルナは。
「おんぎゃあああああ!!!!」
また壊れてずっと泣き崩れたとさ。
めでたしめでたし。




