表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

7 気持ち良すぎて落ちました

(ブラッシングは気持ちがいい)


レイチェルのブラッシングが始まってから、数日経った。


獣姿のカイトはレイチェルのブラッシングの気持ちよさに(はま)っている。


最初は背中だけのブラッシングだが、レイチェルは慣れてくると胸やお腹にもブラシをかけてくる。


(まだ、幼い姿で良かったかもしれない。成人の獣だったら、どうなるんだ?)


カイトにとっては、恥ずかしすぎて、内心、真っ赤になるくらい頭に血がのぼってしまった。


(そこは際どすぎないか?)


お腹にブラシをかけてくれるのはいいが、獣姿のカイトとて、男。 興奮しないように我慢する。


カイトは全身をブラシされる心地良さに酔いしれてしまう。


(ああ、レイチェルの手が気持ちがいい。)


レイチェルのブラシを持たない手は、カイトの毛を撫でてくれている。


わずか数日のことであるが、カイトはレイチェルに陥落した。


身体を触られるということは、たぶん心にも近くなるのだろう。


心も若くなって素直になっていたカイトは、すっかりレイチェルを好きになっていた。





カイトの護衛騎士であるノアは、この頃気が付いた。ノアは茶色の髪と瞳を持つ獣人だ。


ご主人であるカイトの様子の変化である。


呪いで若くなったカイトは、呪いを解くために、レイチェルにブラッシングされている日々を送っている。


当然ノアもカイトの近くに控えていて庭園の芝生に立っている。


逐一、カイトの様子を伺っているから、その変化を見逃さなかった。


あのカイトがデレているのである。


これは幼なじみのノアにしか分からないかもしれない。


以前のカイトなら、考えられないことである。


(これ、面白いことになってないか?・・・)


呪いにかかる前のカイトは、女性を寄せ付けない冷たい態度で、「氷の第三王子」と言われていた。


カイトの青銀の髪と青い瞳から、更に冷たい印象を与えていた。


(あの女嫌いのカイトがねぇ)


(分厚い氷が溶かされている!)


(あのしっぽの振り方、喜び過ぎだろ!)


(おい、おい、あんなとこまで、ブラッシングされていいのかよ?)


(以前のカイトだったら、絶対に許さなかっただろうな・・・)


ノアは生暖かい目でカイトとレイチェルのブラッシング風景を見ていた。



ノアと同じように、サーカイル伯爵もカイトの様子に気が付いていた。


「これは案外良い効果ですね・・・」


サーカイル伯爵は、うんうん、頷きながら、口の端を少し上げて呟いた。












☆チョロインカイト

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ