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浮動小数店3

 それから隔月ペースで顔を出すようになったお客(ボイド)さん。

 大抵素寒貧(すかんぴん)で来店するのですが、ウチはある権利と引き換えに無償で食べ放題を提供することにしました。


 その権利とはヴァリアントさんが今やっている卸、生鮮肉を代理購入してもらう権利です。

 つまり企業が私に頼んでいた仲介をそのまま拡大した商売を始めたのです。


 これを食べ放題対象外の皿として1皿50弗という特別料金にて提供することで料金以上の売り上げを出すことができたのです。


 合成ではない、本物の肉を提供する商売は当たりました。

 常連客はもとより知る人ぞ知る店として上層の方々も来店するようになったのです。


 ただでさえ一皿あたりの利鞘(りざや)が非常に大きいのに、量が売れるのです。

 汚染されていない肉を部位ごと、それも塊単位で売ってもらえるので余計な在庫を抱えなくて済みますし、それでも余った脂や端肉は挽いて合成肉との合い挽きハンバーグにすることでたちまち人気ナンバーワンメニューになるしで、それはもうウハウハでしたよ。


 

 早めに決心をして大型冷凍庫を導入したのも正解でした。

 肉の大量確保ができるわけですから、来店されても在庫切れで肩を落として帰って行くお客様の数が減り、また売上が伸びる。

 そして増築に増築を重ねて地域では一番の名店と言われるほど成長するまでに至りました。


 取引額が大きいことで、金や肉を狙って盗人が店内に入ってきたこともありましたが、そのころには先のハンター仲間や懇意になった上層の方々から派遣された警備が常駐するようになっており、セキュリティーも万全となっていました。


 とはいえ一介の焼肉店ですから、高額で取引される物品をずっと保管するには無理が出てきました。

 そこで店のある区画一帯を確保したのを機に、最後の最後まで焼肉の食べ放題を利用していたボイドさんに培養肉製造機などを売り払って焼き肉店をたたむことにしたのです。


 我々民間企業としては大成功ともいうべき都市支配企業との合弁会社設立というまたとない機会も得られましたし、こうなればとことん行ってしまえと。

 

 しかし依存しすぎるのが良くないのは分かってはいたので、各都市の合弁会社を設立しながら販路を広げつつ、小規模ながら畜産をメインにした自前の街を作るに至りました。

 

 畜産事業を始めてから十数年は経ちましたが、なかなかボイドさんに売ってもらっていたそれには届きませんでした。

 餌から環境に至るまで手を変え品を変え、ありとあらゆる改良をしてやっと目指した品質に届くかいったところだったのですが……本当に残念でなりません。

 


 ボイドさんと知り合ってから30年かそこらですが、本当にお世話になりましたよ。

 いや、不思議なお力がヴァリアントさんに引き継がれて本当に良かった。


 ははは、わかっています。誰にも言いませんよ。

 言えば自分の身が破滅してしまうようなことを誰が言うものですか。


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