表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

[ホラー小説]あの音 

作者: アイモア50

よろしくお願いします

ポチが死んで8年が過ぎた頃だった。



 俺は特別勉強ができるわけでもないし、運動もましてや彼女なんてものはいない、まぁ普通の高校生のわけだがたったひとつだけ普通じゃない出来事に苛まれている。


     コンコンコンコン


夜な夜な俺の部屋にある、少し古びててシミのある押入れが、誰も中にいないはずの押入れからコンコンコンとノックをしているような音が聞こえてくるんだ。


俺は最初、風かなんかのせいだと思っていたんだがそもそも窓は閉めているし、となると窓に当たる風の音かも、と思ったがその音は明らかに押入れから聞こえてくる。


『大丈夫、きっと誰もいない、誰もいないさきっと。風だ、なんらかしらの自然現象なんだコレは』強気でいる僕を追い討ちするように、


コンコンコンコン


と押入れはなり響く。


『...』


恐ろしくなった僕は押入れにそっと、


右手をのせて


取手を掴み


固唾を呑んで


バァっっと、勢いよく開いた。


『オラっかかってこいやオラぁ!』


誰もいないと思っているのに何故か強い声が出てしまった。


僕は押入れの中を覗いた。


だが生き物らしいものもいなければ幽霊らしきものもいない。


一応後ろも確認する。よし誰もいない。


俺は押入れの音の正体を探る。押入れの中には子供の頃遊んでたおもちゃとか今はもう使わない布団だったりその他必要のないものばかりがあった。生き物らしいものはいない。


『ふぅ』


なんだか俺は安心した。いない、いるわけがない、霊的なものなんて。ひょっとするとアイツ...とも思ったけどまぁそんなわけないか。


俺は押入れの扉を閉めてそのまま就寝した。





     








      コンコンコンコン


またあの音がした。僕の身体は震えはじめてく。


      コンコンコンコン


くそぉ、なんなんだこの音は、俺のことをおちょくりやがって。幽霊よ、もしその存在がいるならとんだ迷惑野郎だぜ全く


怖くなり俺は目覚めてしまった。時計の針は1時をさす。


再度押入れを確認しようとも思ったが今は冬、布団から出るのは死ぬほど寒い。なので今度は音が鳴っても気にしないようにした。


(さぁかかってこい音)


...


しかし待っても音はこれっきりならなかった。


(なんだよ起こすだけ起こしやがって)


俺は数十分眼をつむった後


深い眠りについた。



翌朝俺は親に押入れについて話そうとも思ったがどうせ信じてはくれないだろうし黙っておくことにした。


朝食後俺はスマホで何故か幽霊のことばかり調べている。あと自室じゃなくてあえてトイレにこもって調べた。


『なになに、霊は人にその存在を強く認知されてはじめて人に何かしらの干渉をもたらす、なので無視しましょうかぁ、無理に決まってんだろ、コンコンなるんだぜ。』


俺は霊についての履歴をあえて削除して部屋に戻る。しばらく部屋にいたがコンコンとはならない。朝だからなのか、あるいは俺が無視しているからなのかはわからない。


『無視してりゃ、いいよな。』


俺は家を飛び出して学校に向かった。


『純一、今日バレンタインだな。チョコ何個貰った?』


『冗談よせやこのリア充が。』


純一とは俺の名前で、友達の拓人が俺をからかいにきた。今日はバレンタインだから女子を中心として学校中盛り上がってる。


『あー残念、だったらこれ、オレが作ってきたけど、食べる?』


『気持ち悪いこと言うなや。あと俺そのー...いろいろあってチョコ食べれないんだ』


『アレルギーとか何か?』



俺がチョコを食べれないのは8年前のあの事件がキッカケである。


以前俺はペットを飼ってた。子犬のポチだ。犬種はチワワ、毛は白色。


コイツがまぁ可愛くてな。言ったら全部かわいいんだけど特に可愛かったのがポチの特技、二足歩行だ。


数秒だけならまるで人間みたいに歩けるんだよ。当時はめちゃくちゃビックリしたなぁ。家族全員写真に撮るくらいだよ。


ポチとの生活は楽しかったな。飼いはじめたときから懐いてくれたし、とても賢い犬だったからトイレもすぐに覚えた。


けど俺はそんなポチを殺してしまったんだ。



ポチが興味津々で当時の俺を覗いた。俺があるものを食べてたからだ。


『ん?ポチどうした。チョコレートが欲しいの?』


犬にチョコレートは与えてはいけない。最悪死ぬからね。そのことは当然知ったしあげるつもりはなかった。


『ダメだよポチ、コレは君にとっては毒なんだ。気持ちはわかるけどダメ』


『くぅぅん』


それでもポチがあまりにも欲しそうにするもんだからつい


『...ちょっと、だけなら』


この日以来俺は親に内緒でポチにチョコレートを少しずつあげた。美味しそうに食べるからあげたこっちまで嬉しくなるんだ、悪いことだと知ってるのに。


しかしチョコレートを食べてなんの病状もないことはなくてポチはある日すごく痙攣した。慌てた俺は親に伝えようと思ったけど、無理だった チョコレート食べさせていただなんて知られたくない。どこかにポチを隠そうとして俺は押入れにポチを入れた。


あぁ分かってる、俺は酷いことをしちまった。


数時間はポチが突然姿を消したことをごまかせたけど、押入れからの鳴き声ですぐにバレた。親はすぐに獣医にポチを連れていき審査したが、


手遅れだった...


そのあと俺はすごく怒られた。当然だ。犬にチョコレートをあげただけでなく押入れに入れて放置していたんだから。


俺はすごく後悔している。あれっきり俺は犬を飼えなくなったし、チョコだって食べるのをためらう。俺はそのくらい悪いことをしたのだ。


『だからチョコは食べたくない、ごめんな拓人』


『あ、そっか...なんか悪かったな』


『悪いのは全部俺だよ』




もしポチがあの音の正体ならば俺は覚悟を決めなばならない。なんだったら命さえも。それが俺にできる償いだからだ。


家に帰る前に俺はある場所に向かった。


ポチの墓だ。定期的に行ってる。


『ポチ、おまえが苦しんでた分を今度は俺が受ける分が来たんだな。怖かったよな押入れの中、辛かったよなチョコレート』


『...俺、死ぬとかとても怖えけど...おまえになら』


覚悟は決まってる、今夜俺はポチに殺されにいくんだ。』





(な、なんじゃこりゃ!?)


家に帰ると押入れのシミがすごく広くなっていた。もはや人の顔にすら見える。呪いとかが強くなってんのか、少なくとも未だコンコンコンとはならない。


『とりあえず夜だ。深夜を待とう』


そして深夜は訪れる。


      コンコンコンコン


押入れから音がする。とりあえず様子見。


      コンコンコンコン


      コンコンコンコン


今日はなんだかペースが多いような


     ドンドンドンドンドン


いきなり音が強くなった。


ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


さらに激しくなる。俺は怖くなった。布団に隠れた。しかし


(ポチ、いまそっちにいくぞ)


勇気を振り絞り


布団から出た俺は


そっと


取手に手を置き


バァァっと押入れを開けた












『...おまえ、誰だ』






そこにいたのは


犬ではなかった


髪は禍々しいほど長く黒く


眼球はなく


顔に3つの大きな穴が空いていて


白色肌の


人型のバケモノがいた。




『まじゃか、ポチィ、なノか』


あまりにもの悍ましさに震えが止まらない。呂律もおかしい。左足を一歩後ろに下げた


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


するとバケモノは


ニヤリと笑うかのように顔の穴をゆみなりに曲げて


俺をまる呑みしようとした。


ポチ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい


俺も、そっちに行くぞ



『ワン!』



『ワンワン、ワンワンワンワンワン、ワン!)


俺とバケモノは布団のほうを見る。


一匹の犬がいた。


『ぽちぃぃぃ!!?』


ポチだ。そしてポチはバケモノに飛びつく。


 

そこからはポチとバケモノとの激しい争いだった。髪の毛を触手のように自在に操るバケモノ。それをかわすポチ。


その勢いでポチはバケモノに肉薄、そのまま顔に噛み付く。


『クゥッ』


ポチはバケモノに掴まれた


そしてそのまま顔の穴を広げてポチを食おうとした


『ワン!ワンワンワンワン!』


必死の抵抗もむなしくそのまま穴の中に葬られていく




プシュゥゥゥゥゥゥ


バケモノが手を離した。


『知ってるかバケモン、霊はファボに弱いんだとよ』


冗談みたいな話だが、ファボリーズは効果があるらしい。


なので俺はありったけの液体を


バケモノにぶっかける。


『いまだ!ポチぃ!』


『ワンっ!』


ポチはバケモノを強く噛み付く



バケモノは消滅した。



『...やった、のか...』


俺は精神的に疲れ果てていた。


(あれ、目の前が、真っ暗n)


俺は気絶した。部屋は凄く荒れた









...ここは


『めざめたか、じゅんいち』


誰かの声がする


『ポチ?』


『そうだ、ひさしぶりだね』


『てか喋れるのかよ』


『ここはキミのゆめのせかい、どうやらぼくはここだとしゃべれるのかよらしい』


夢だったのか、だったら起きたら喋れないんだな...


『けどバケモノはゆめじゃない。すべてホントのことさ。アレはこのちにたまった“おんねん”が、じかんをかけてかたまりになったものさ。それがたまたまキミのへやのおしいれにやどったんだ』


『ふーん、ポチ強かったな』


『ぼくはキミのしゅごれいになったみたいだからだ。ずっとキミのことをみてきた。おおきくなったね』


なんかよく分からないけど、解決したみたいでよかった     ーそんなことより


『ゴメン、ポチ』


『どうしたんだ』ポチは首を傾げる


『あの日、チョコをあげて...ごめん』


『...』


『押入れに入れてごめんなさい、見殺しにしてごめんなさい、殺してごめぇぇぇぇエえぇぇぇん!!』


『...』


『許してもらえないのはわかる、けどコレだけ、コレだけは言いたかったんだ。


ホントに、ごめん...』


『いいよ』


『えっ?』


『たしかにあのときはくるしかった。けどこうやってぼくはキミにあうことも、しゃべることもできた。


それにチョコはぼくがいのちなんてどうでもいいほどにたべたかったものなのだ。


 じゅんいち、ぼくはニンゲンになりたかったのだ。


ニソクホコウもぼくがニンゲンになりたかったからだ。だからチョコレートはむしろかんしゃしてるよ


すでにぼくはキミのことをゆるしてる。けどひとつだけ、たのみたいことがあるんだ。』


『なに、ポチ』









『あっれぇ純一ぃ、チョコ食ってんじゃん!?』


『すまない、かこをこくふくしたんだ。』


『ふーん、てか今日のお前なんか人が違うようなぁ...』


『...きのせいだろ』



一日数時間、俺はポチに身体をかしている。


つまり人格をポチにわたしてる。


ポチはすごく賢いからうまく誤魔化してくれる。さすが俺の愛犬だ。


『ありがとうじゅんいち、ニンゲンのカラダ、すごくじゆうだ。けど、』


『けど?』


『ネギは、ニンゲンになってもいらないかな。まずいねアレ』


『それな』























一応ジブン霊感多少あって、まぁ視えるんですけど、たとえそれがただの錯覚だとしても視えていいことないんで

だから皆さん怖くなったらかげじつを観てベータちゃんを崇めましょう。そしたらきっとニッコリ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ