目指すはジャガイモ①
目が覚めると、僕はどっかの草むらにいた。
そこは訳のわからんことをペチャクチャ喋る、自称カレーの女神がいる謎空間でもなければ、トラックに轢かれて脳漿と配達中のカレーをあたり一面にぶち撒けた道路の上でもなかった。
とても気持ちの良い、しかも空気が美味しい草むらに僕は横たわっていた。
あたりを見回すと、僕の寝ていた横に見慣れない布袋がそっと置かれていた。
嫌な予感がする。
中を覗くと、そこには簡単な調理道具とライター、調味料、カレーに関する専門書、そして某大手レトルトカレーが10パック入っていた。
どうやらさっきまでのは夢じゃなかったようだ。
僕は本当にトラックに轢かれて死んで
そして本当にカレーが存在しない異世界に連れてこられたようだ。
ちくしょう、こんなところでどうやってカレーを作れってんだよ.....
「本当に食感が似てるんだろうな?言っておくけどもうカレーは食べさせないからな!」
僕は洞窟の中を松明で照らしながらシュラにいった。
「わかってるってー食べないよ〜
それにほんとなんだって!!完全に一緒だったよ!!
あのジャガイモ?とかいうやつの食感は完全にマツボックルールの脳味噌と同じだった!!」
まずマツボックルールってのがどんな物なのかわからない時点でかなり嫌だが、さらにそれの脳味噌というのだから最悪だ。
脳ってことはマツボックルールって動物なのか?
この世界ではジャガイモの代替え品を手に入れるために生き物を殺さなきゃなのか
「はぁ」
「まあまあ信じろって!!あたしは記憶能力と味覚だけは自信があるんだから〜信じてついてこいって!」
まあこいつの下は確かにあてになるから信じてはいるんだけどね、ただマツボックルールが謎すぎて萎えてんのよ。
しかしこいつほんとに悪食だよな、普通脳みそまで食うか?
「お!いたいた!いたよ〜ナグラ!!マツボックルールだ」
そうこうをしてるうちにどうやら見つかったみたいだ。
「おっ本当かどれどれ〜」
シュラの方を見て僕は驚愕した。
そこには鼻があった
正確にいえば30センチくらいある大きな人の鼻に足がついて歩いてる。
目はああの方についていて、異常につぶらだ
マツボックルール、非常にキモい。
「イモッイモッイモッ」
しかも鳴き声でイモイモ言ってる....
なんか因果感じちゃうなぁ
すまないマツボックルール
これもカレーをつくるのためなのだ...
僕は頭の中で何度か謝りながらマツボックルールの頭を棍棒でかち割った
そのつぶらな目はひどく悲しそうで、大粒の涙が流れていた。
俺はなんでこんなことしてんだろ
マツボックルールをシュラと撲殺している最中、最近の出来事が走馬灯のように頭を駆け巡った。
僕がこの異世界に来たのはちょうど今から1週間前のことだ