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その陰キャ、土下座される

今回は少し短めです。

第一章はこの話と次で終わります。

日刊現実恋愛一位は継続中です。皆様には本当に感謝です。

【終蘇悪怒】を壊滅させた翌日、僕はいつも通り学校に登校した。

 ガラリ、と音を立てて教室の扉を開ける。 


「唯ヶ原!!」

「え……?」


 すると開口一番、顔中に絆創膏を貼り包帯を巻いている咢宮が僕の元まで駆け寄って来た。

 今までに無い咢宮の態度に、僕は警戒し身構えるが、


「すまなかったぁぁぁぁ!!」


 目の前でとても綺麗な土下座をかまされたことで、その気持ちは一瞬にして消え去った。


「え、何だ何だどうしたんだよ?」

「咢宮が唯ヶ原に土下座してるぞ……?」

「あの咢宮がなんで唯ヶ原なんかに……!?」


 クラスメイトたちは驚きながらも、最もな意見を口にする。


「え、えーと……」


 数多あまたの修羅場をくぐってきた僕も、流石のコレには困惑するばかりだった。


「ちょ!? 咢宮さんどうしたんすか!?」

「こんなオタク野郎にいきなり土下座なんて!!」

「そーだよ誠君!!」


 そして困惑するのは僕だけでは無く、咢宮の取り巻きや彼女も同様だった。


「うるせぇ黙ってろ!!」

『っ!?』


 すると咢宮から放たれた圧に屈するように、取り巻きと彼女は委縮してしまう。


「唯ヶ原、これは俺のケジメだ」

「ケ、ケジメ……?」

「あぁ。俺は不良のカッコよさに憧れて、不良になった。けど実際俺がなったのは最高にダサいゴミカス野郎だって気付いた!! だから、変わりてぇんだ!!」

「……」

むしがいいのは分かってる!! 謝った所でやったことが無かったことになるワケじゃねぇ!! けど俺はあの人が……【悪童神ワルガミ】がくれた言葉を無駄にしたくねぇ!! 今度こそ道を踏み外さねぇ……あの人みてぇな、カッコいい不良になりてぇんだ!!」

 

 咢宮が本気だ。

 本気で変わろうとしている。本気で目指している。

 僕にはそれが頭では無く……こころで理解できた。


「顔を上げてよ、咢宮君」

「何だ!? 靴舐めるか!?」

「いや、いいよ。それは気持ち悪い」

「お、おう。すまん……」


 何故か咢宮は申し訳なさそうに顔を背ける。


「僕のことは気にしなくていいよ」

「で、でも俺はお前に……!!」

「もういいって。許すから。謝るなら他の人たちにしてあげて」


 まぁ別にコイツに殴られてもケガしなかったし、許すも何もないんだけどな。


 僕は内心でそう呟く。


「唯ヶ原ぁ……!! お前はなんて心が深い奴なんだぁ!!」

「ちょ、ちょっ泣かないでよ!?」


 唐突に涙を流し始めた咢宮を何とか落ち着かせようとする僕。

 その様子を、取り巻きや彼女を含むクラスメイトたちは唖然と眺めていた。



「はぁ……」


 何だか朝から疲れたな……。


 咢宮の件で妙な疲労感を抱いた僕は校内の自販機で缶ジュースを購入し、その場で飲み始める。


「あ、迅たん~」

「ん?」


 するとそこに、黛が手を振りながら歩いてくる。


「どしたの? 何かびみょーに疲れてるって顔してる」

「あ、あはは。よく分かったね」


 やっぱりコイツ、妙に勘鋭いな……。


「ふふーん。迅たんのことは何でも分かるよ」


 えっへんと、黛は胸を張りながら言った。


「というワケで! 分かったご褒美にソレちょーだい」

「あ……」


 黛は僕の缶ジュースを奪い、飲み始める。


「うん美味しかった」

「え、まさか全部飲んだの?」

「ダメだった?」

「いや僕まだ一口しか飲んでないんだけど!!」

「ありゃりゃ」

「「ありゃりゃ」じゃないよ!?」

「あはははは!」

「笑い出した!?」


 ダメだ。コイツ龍子と同じタイプだ。

 

 黛のジェットコースターぶりに振り回される僕だが、


「あ~良かった。迅たん、元気出たね」

「え?」


 黛の言葉に、思わず面食らってしまう。


 何だ、まさかコイツ……。


「黛さん。僕を元気付けようとしてくれたの……?」

「うん、やっぱり迅たんは元気な方がいいよ」


 そう言い切る黛の目には、一切の曇りが無い。


「……はは」


 だからだろう。

 僕が思わず、笑ってしまったのは。


「どしたの迅たん、急に笑い出して。元気になり過ぎた?」

「いや、そんなこと無いよ。ありがとう、黛さん」

「うん! 良く分かんないけど、お疲れ様?」


 何故だろうか。

 そこで僕はようやく……普通の高校生活を送っているんだと、実感した気がした。


 しかし、まぁ……。


「それはそれとして、ジュース代返して」

「ありゃ、バレたか」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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