9 はじめての魔道具
「魔道具になっとる?!これ全部?!」
「ソの鞄も魔力の気配スるよー。多分ストレージバグになてる」
「ストレージ……さっきのポーチみたいに中広くなっとるん?」
「タぶん」
「うわ…じゃあこのポケティとかも…?」
ミツルはおそるおそるポケティと呼んでいた白い紙を見ている。
サイには「使い捨てる柔らかい拭く紙…ティッシュが入っとる地味に便利な紙束」と説明し、外見をよく見て特に変化を感じられなかったが、何枚か中身を取り出してみると違和感に気づいた。
「…えっ枚数変わらん…?」
「?どういうことだ?」
「これ、中身10枚ぐらい入っとるんやけど、俺今5枚も出したのに本体の厚みが変わらんのや」
手元には確かに5枚のティッシュがあるにも関わらず、ポケティの方は最初と変わらず厚みのある新品状態のままだった。
「無限にティッシュ出て来るとかかな」
「…それは地味にすごい…!商業ギルドが狂喜乱舞しそうだ」
「あトはどんナの?」
色々とミツルたちが試していき、今の時点で分かる機能がルーズリーフにとりあえずまとめられた。
飴袋(色んな味)→無限に飴が補充される
お菓子各種袋→無限に各種補充される
お菓子袋に入ってた調味料(家庭科用)→無限に補充される
ハンカチ→防汚、とても綺麗で破れない
ポケティ→無限に普通のティッシュが補充される
教科書3冊→一種の魔導書になってる(内容不明)
ルーズリーフ(30枚入)→破れにくいし無限に補充される
ペンケース→おそらくインク等補充不要になっている
水筒→無限に水が補充される
「もうこれ冒険者必須セットみたいになっているな。菓子無限と調味料無限は俺が欲しいし、塩胡椒なんて素人目にも高品質……商業ギルドが卒倒しそうだ。高値で売れるぞ」
「いや怖……俺の鞄どないしたん…?さっきゴブリンに追いかけられた時一回転んだ制服は普通に汚れてんのに?」
「鞄の中限定で魔道具化したのかな。あとはギルドで鑑定してもらう他ないな」
「俺らここで考えてても分からんもんな」
「デ、この中で想イ籠てルのはドれ?」
「この中かー。そんならやっぱスマホやな」
まだ確認出来ていなかったスマホとバッテリーを手に取る。
「うーん電源は切れとるなぁ」
「それは一体何なんだ?板みたいだが…鏡のような面があるな」
「これはスマートフォン言うてな。略してスマホ。通信出来る機械みたいな感じやな。面…液晶画面のところに色んな情報が出てくるんや。あとバッテリーはスマホの充電……あーエネルギー充填装置?」
「通信?!通信ってことは離れた者同士で話せるというのか?!」
「そそそそンなの高等魔法レベルダよ?!」
「魔法ちゃうわ、科学技術の結晶みたいなもんやね。俺も原理とか詳しく説明出来へんけど、これさえあれば国を越えて世界中の人と話せるし、文章でのやり取りも見れるんや。大体の人がスマホを持ってたし、普段から使いまくっとるから馴染み深いわ」
「世界中?!」
「すごーイ!…でモ…」
無邪気に喜んでいたシルフがハッとし、スマホを見つめてポツリと呟く。
「スマホが、ミツルの触媒にナるの…?」
「…………なあこれどないしたら触媒になるんや?」
「…さあ…?」