8 はじめての魔力
「今しばらくは大丈夫なん?また魔物出ぇへん?」
「シルフ、『周囲を調べて』」
「はーイ……とりあえず大丈夫ソう!」
状況が落ち着いたということで、少し興奮しているミツルがサイに話しかける。
「サイさん!俺も魔法使えるかな?!魔力って感じ取れるんかな?」
「ふむ、まあミツルぐらいまで成長して魔法が使えない…魔力が無いとこの大陸では少し問題になるかもな」
「そ、そうなん?」
「……この世界では魔法を使えない、魔力のない生物は存在しないとされているからな。その辺の家畜でさえ魔力を持っている」
「へー」
「まずは…魔力を感じる所からかな。魔法の概念がないからと言って魔力がないとは限らないし」
「確かに…。で、どう感じるん?定番としては全身を巡ってるとか?」
「だからなんで知ってるんだ」
「空想上」
「チキュウ何なんだ……そう、身体を巡らせるように走っているんだ」
サイは魔力を全身に循環させた後、手のひらに集中させた。
「今俺は魔力を手のひらに集中させている。分かるか?」
「なんとなく…?」
「なら大丈夫かな。やってみてくれ」
「………こう…?」
ミツルは少し考えて魔力の巡りを感じてみる
思いの外簡単に感じとれてサイとシルフは驚く
「すぐ出来タね!」
「想像力は割と豊かやし、血管に沿うようにしたらなんか出来たわ」
「では魔法を使ってみるか?本当は『触媒』があれば安定するんだが、そのままでも使えはする。少し暴発しやすいんだがな」
「触媒?」
「魔力をただ放出して魔法にすることは、出来るのは出来るんだが制御が必要になるんだ。下手に発動すると暴発しやすい。魔法を覚えたての子供が調子に乗ってよく暴発させて医院送りになる。
そこで、魔力を一度何かしらの物や魔道具に注入させてから魔法に変換・放出させると安定しやすくなる。ベテラン冒険者でも触媒を使う者がほとんどで、謂わば補助具だな」
サイが腰の後ろに差していた短剣を取り出す。
短剣の刃には薄く紋様が刻印されており、柄頭には戦闘の邪魔にならない程度に綺麗な赤い石が嵌め込まれている。
「人によって触媒はそれぞれだが俺はこれだ。家族に貰った魔短剣だ。これを触媒にすることでスムーズに魔法を放つことが出来る」
「触媒って何でもええの?市販で売ってんの?」
「想いの籠った物であれば魔道具に直せるが…市販の触媒も売っているぞ。初心者用の杖や剣、魔道具などだな」
「ほな俺も触媒買ってから試した方がええんかなぁ」
「あノ、そのコとなんだケど…」
シルフがミツルの鞄を指差して尋ねる。
「さっキから気にナてたノ。ミツル、その中かラ魔道具の気配スるんだけど何モてる?」
「魔道具?そんな不思議道具みたいなん持っとるはずないんやけど…」
ミツルは鞄の中身を出して、サイが敷いてくれた布の上にひとつひとつ置いていく。
「学校帰りやったからなー。さっきの飴ちゃんとかお菓子やろ、ハンカチやろ、ポケティに学校の教科書3冊、ルーズリーフ、スマホ、バッテリー、ペンケース…あと水筒やな」
「…かろうじて菓子と本があるのは分かった。学校に通うとは…ミツルは優秀なのか」
「日本国民は全員15歳まで学校通うんは義務やねん。その後20歳ぐらいまで学校通う人が多いね」
「…すごいなニホン」
「んで、シルフ。どれが魔道具やて?」
「ミツル、こレ全部何の効果モない普通のもの?」
「不思議な力なんて無いはずやけど…強いて言うならスマホはちょっと俺も専門知識無いから話されんけど、スマホはある意味不思議技術の結晶やな」
シルフは全ての所持品に目を通すと、不思議そうに言った。
「全部、魔道具にナてるよ」
「「は?」」
少なくとも作者含め周りの学生鞄にはお菓子袋が常に備わっていましたね。