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獣使いたちの冒険者記録  作者: 砂霧嵐
旅と弓と寄り道の犬
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47 フェリルの冒険者ギルド

夕食を終えて久々の風呂に感激のあまりちょっと泣いたミッツ以外は滞りなく夜を過ごした。

シャグラス王国では風呂はなかなか根付いておらず貴族の屋敷や大商人の家ぐらいにしかないのだ。平民は基本的に濡れ布で体を拭くか、少し高額の公衆浴場に行くことになる。

ミチェリアにも公衆浴場はあり、落ち着いてから早歩きでサイを引きずり入場したミッツが全裸で「サウナ!!!サウナ式やん!!!!???」と嘆いたのは少し懐かしい話である。


「はーさっぱりしたわ!この世界来て一番何が辛いってお風呂がほぼ無いってのがほんま辛くて!」

「そんなにか…」

「いや外国やったら入らん国とかもあるんやけどシャワー…えっと水浴び?湯浴び?ぐらいはするし、日本はちゃんとお湯に浸かる文化があってなー。家に無かったら近くの銭湯…えっと、公衆浴場にわざわざ行く人も多いで」

「随分衛生的なんだな」

「せやな。んで、明日はどないするん?」

「明日は昼までゆっくりさせて貰って、フェリルの冒険者ギルドへ行くぞ。その頃にはタレゾも私兵もどきを引き渡してギルドに情報が入ってるだろう」

「あ、せやったら俺あれしたい。あの、冒険者測定」

「そういや最初から測ってなかったな、定期的に見ておけよ」

「そうするわー」


朝食をダルダット一家と囲み、昼までは滅多に聞けない渡り人の世界の話や童話をダルダット家の子供に語り時間を過ごした。侯爵は午後から近くの村に用があり侯爵夫人も近隣の貴族夫人とお茶会ということで、二人とも午前の内に屋敷を後にした。非常に残念そうだった。


ユラ大陸版に変換して話を盛りまくった『桃太郎』をスマホの変声魔法で桃太郎役や犬の獣人役を細かく分けつつ披露し、魔物の島へ桃の加護を受けし勇者ピーチ・タルオと獣人の従者達が乗り込む所で子供たちが歓声をあげ、話し終えた時にちょうど明光星が1つとなった。

お昼時ということで子供たちは昼食を、サイたちは冒険者ギルドへ向かいつつフェリルを軽く観光することにした。


「帰ったら次はユラ大陸版『シンデレラ』な!スコルちゃん向けやと思うで!」

「わあー!みちゅおにいたま!はやくかえってきてね!」

「お兄ちゃん行ってらっしゃい!」

「その昔話、僕も気になります!帰ってたらよろしくお願いします!お気をつけて!」

「ミッツ、懐かれてるな」

「子供の世話は慣れとるからなぁ」


屋敷を出る所までシャーフと子供たちに見送られ、サイとミッツはフェリル中央部にある冒険者ギルドへやってきた。

ミチェリアにあるギルドより少し小さく木造建築ではあるが、中はミチェリアとさほど変わらない。強いて言えば中にいる冒険者と職員の9割が獣人であるということぐらいだ。


「ようこそー冒険者ギルドフェリル支部へー。ご用件をどぞー」

「『世界の邂逅』リーダーのサイだ。ミチェリア支部から何か情報や連絡入ってないか?ダルダットの坊っちゃんの件なんだが」

「ああちょっとお待ちくださいねー。……来てますよー、第一報としてー、『サイ様、タレゾです。私兵もどきを騎士団に突き出しました。尋問内容は騎士団から最速で纏めて送るのでしばしお待ちを』だそうですー」

「ありがとう。…ギルド内で待つか」

「あっ俺測定してくる!」

「そうだな、どのぐらい成長しているか確かめよう」


ミチェリアにもあった冒険者測定器はどんな小さい冒険者ギルドにも備え付けられていて、フェリルにももちろんある。

ミッツは首にかけたペンダントを冒険者測定器に近付け、結果が表示されるのを待った。



名前:ミツル・マツシマ 男 16歳 獣使い

種族・称号:渡り人・精霊の寵児・精霊王の加護・導かれた人・神狼王の贔屓


冒険者ランク:ビショップ級

所属:世界の邂逅

レベル:27

体力:D 一般冒険者

魔力:B+ やや高め

攻撃/防御:C/B 一人前スタートライン

特殊スキル:異世界魔道具マスター・■■■■



「レベル上がっとる!全体的にまあまあ上がってるってとこやな」

「レベル上がるのなかなか早いな…」

「まあこの1ヶ月、色々クエストしとったし。ミチェリアん中のクエストもやったけど一応討伐クエストとかもやっててんで?」

「そうか、必死だったもんな」

「皆、俺がここにもう慣れたみたいに思うてくれてんのはええけど、俺もまあまあ必死やったてことよな…。そういやサイは測定せんでええの?」

「俺ぐらいになるとレベルも上がり辛くなるし、精々『世界の邂逅』リーダーの表示が増えてるぐらいだろうから今回は測定しないでおくよ」

「そっかー」


情報が届くまで酒場でお昼ごはんを食べ、少し休むことにする。

フェリルは獣人が多いということで、肉がメインとなる品が多い。昨日ダルダットの屋敷で食べた夕食もメインはステーキであった。 ギルドの酒場でもステーキがあったのでミッツが注文してみたが、貴族の屋敷で出る肉とは全く違う固さであった。「これが…スーパーで売ってる外国産ステーキとホテルで出て来る黒毛和牛A5ランクステーキの違い…?」と肉を噛みしめながら呟いていたミッツを見て、またチキュウ用語かなぁと思っていると受付から声がかけられた。


「サイさんー、ミッツさんー。辺境町ミチェリアから連絡が入りましたー」

「お、尋問終わったか」

「どうなったんやろなぁ」

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