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獣使いたちの冒険者記録  作者: 砂霧嵐
冒険者のあれそれこれ
27/172

27 渡り人は生活基盤を整える

「そこの冒険者!新味の携帯食が入ったんだ!見るだけ見てけ!」

「今日もいい魚入ってるよー!なんと青港町アルドローザ産!買った買った!」

「鍋いりませんか?!奥さん鍋!安くするよ!」


がやがやと賑わっているミチェリアのド真ん中にある市場・ミチェリア中央市場。

いつも通りの光景の中、サイとミッツは歩いていた。


「まずは服やなー。さっき露店で売ってんの見たけど、ちょっと高なってもええから良い生地の店教えて」

「ミッツの服品質良さそうだもんな…本当に何なんだこれ?こんな上等な物知らないんだが…」

「んー、量産の制服やし、ポリエステルちゃうかな。えーと…自然の物やなくて人工で作られた布みたいな」

「…チキュウ怖……こんな物まで作れるとは」

「いやちゃんとシルクとかもあったし毛皮とかもあったで?ピンからキリまで品質もあったし。人工布は、魔法の代わりに科学が発展した賜物や思うし」

「分からないが分かった。あと貴族も使うちょっと良い服屋はこっち」


案内されたのは市場でも少し奥になる、閑静な店が並ぶ通り

サイも知ってる店に入った


「お買い上げありがとうございました!!!」


結果、わずかな時間で上客となったミッツは服屋の店員全員からにこやかにお見送りされた

日本出身のミッツにとってはまあまあの品揃えで、あれもこれもあと下着もと複数着ずつ買ったのだが、この世界では服は貴重なもので、普通は1着買って大事に着ることが多い。貴族ならともかく平民は多くても普段着は2着あれば十分。あと普段着でも1着5000ユーラ程する。

これを複数購入して10万ユーラお買い上げのミッツ、どう考えても上客である。


この世界でも目立たないような麻の上着、冒険者活動をしても問題のない動きやすいズボン、軽く防御魔法を付与されているケープコートなどを店内で着用してそのまま出てきたミッツはもうすっかり周りに馴染んでいた。


「まさか皆そんなに服持ってないのんビビったわ」

「2着あれば着回せるだろ。あと石鹸だって安くはないんだ」

「地球の豊かな国やったらまず各5着以上は絶対あるし、さっき店員さんらがめっちゃ見とった肌着、あれ俺の私物やけど安い服屋で買った500円…500ユーラぐらいやで」

「500ユーラ?!靴下と同じ値段じゃないか!それであんな上質なものが…!そういやミッツの魔道具ハンカチ、あれ魔道具化したからすごく肌触りがいいと思ってたんだが…まさか」

「元々あんな肌触りやわ」

「こ、これが異世界格差…!」

「いやその代わり魔法ないし」


サイがまたカルチャーショックを感じてる間に、生活雑貨をどんどん揃えていくことにする。


「金物安いよー!いいの揃えてるよー!」

「鍋とフライパンと包丁ちょうだい!」


「携帯食入荷したよ!おひとつどうだい?」

「とりあえず1種類ずつちょうだい!」


「敷き布!敷き布はいらねえか!安くしとくぜ!」

「寝袋も作れそうやな、布何枚かちょうだい!」



ミッツが思い浮かべる冒険者必需品を買い漁り、サイも買い足しながらアドバイスをし、ある程度は揃えることができた。


「あっ裁縫道具とか売ってるとこある?」

「裁縫?手芸屋なら近くにあるが……ミッツ裁縫出来るのか?」

「出来るでー。さっきの敷き布で寝袋も縫う気満々やで。あと布をリュックに仕立てて鞄入れるねん」

「りゅっく」

「えーと、背嚢?背負い袋?」

「ああ、だいたい分かった。あと裁縫出来るというのは冒険者にとって良いことだぞ」

「そうなん?なんで?」

「戦闘中に破れたりしても繕えるし、依頼にも裁縫や編物の補助とかがある。手先の器用な冒険者や女冒険者がやったりするんだが、大概が戦闘冒険者だから依頼が溜まりがちなんだよ」

「あらまー。依頼板見てそういうのあったらやってみよかな」

「慣れたらそうするといい」


今日はここまでにして、宿に帰ることにした。

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