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獣使いたちの冒険者記録  作者: 砂霧嵐
冒険者のあれそれこれ
24/172

24 渡り人の初回クエスト達成

無事10束以上採取し、ミチェリアに帰還することになったサイたちは真っ直ぐにギルドへやって来た。

ギルドは多忙期を過ぎて冒険者の数もやや少なくなっていて、受付にいたナビリスの所へすぐに向かうことが出来た。


「お帰りなさい!恙無く終えられました?」

「おかげさんで何とか」

「今回ミッツさんは薬草採取でしたので…、採取依頼や魔物討伐の場合はこの受付ではなく、横の提出窓口に依頼紙と採取物・討伐対象の提出をお願いします!ちなみにクエスト関係なく討伐してきた魔物・動物の解体などもやってくれますよ。

それ以外のお手伝い等クエストは、条件達成時に依頼人が依頼紙にサインをくれるので、受付に並んで提出して下さい」

「おおきにー!」


説明を受けて、受付カウンターから隣に続いている、提出窓口と書かれたカウンターへ移動する。

ちょうど誰も並んでおらず、窓口担当の背の小さく大柄な男はすぐに対応してくれた。


「おう、お前が噂の渡り人か」

「噂になんの早過ぎへん?」

「はっはっは!冒険者は情報把握も大事だからな!信憑性のある噂ならすぐ広がるぜ!なんたってゴッド級様々が直々に連れてきたんだしよ!

おっと、オレはミチェリア支部鑑定担当のバラン。ドワーフだ。『非契約者』だがよろしくな!」

「これはどうも。『獣使い』2日目のミッツ、渡り人です」

「ミッツな。で、薬草採取だったんだな?サイが付いてたならちゃんとクエスト終わったんだろ、ほれ!出せ出せ!」


ミッツは学生鞄から薬草束をぽいぽいとカウンターに出していく。

バランが早速、鑑定魔法で真贋・品質を確認していく。


「ちなみにミッツ、鑑定魔法は少し特殊な修行が必要な魔法なんだよ」

「へー」

「まあ俺も使えるけどね」

「サイ、弱点とかあるん??」

「弱点は他人に言えないから弱点なんだよ」


とりとめない話をしているとバランが鑑定を終えた。


「よし終わったぞ!どれもちゃんと薬草だ!中々の品質だぜ!」

「良かったー」

「そうなんだよバラン。俺も後ろから見てて不思議だったんだけど、ミッツ何故かいい状態の薬草しか採らないんだよ」

「ほぉ!お前さん、目がいいのかもなぁ!とにかく…これで依頼完了、クエスト終了だ。お疲れさん!」


基本的に依頼品はギルドが依頼人の元へ届けてくれるらしく、冒険者の役目はここまでとなる。

バランから依頼料の500ユーラを受け取るとクエスト終了となった。


「これで一通り終わったな」

「せやな!初めての稼ぎなわけやけど…サイ予定とかある?」

「いや?しばらくはミッツと行動しようと思ってるから抱えてるクエストもないが」

「ほんなら商業ギルド連れてってや。俺商売のことあんま分からんけど」




冒険者ギルドを出て歩くこと少し。冒険者ギルドと同じくらいだが、白いレンガで優雅に見える建物が見えた。

『商業ギルド ミチェリア支部』と書かれた看板を潜り抜けて入る。


「ようこそお越し下さいました。こちら、商業ギルドミチェリア支部でございます…新規のお客様でしょうか?」

「ああ、俺は『獣使い』ゴッド級冒険者のサイ。こっちは『獣使い』ポーン級冒険者のミッツ。今回はこっちがメインでいい話があってな。ギルマスはいる?」

「生憎ギルドマスターにも予定がありますので…」


『獣使い』しかもポーン級の持ってきた話と聞いた受付の男が少し怪訝な顔になる。

そうなると予想していたサイがカウンターへ歩み寄り耳打ちをする。


「じゃあこう伝えてくれ…【渡り人の持ってきた塩や菓子に興味が無けりゃ俺らは別の所へ行く】と」

「え、わ、わっ、渡り人?!少々お待ち下さい!」


慌てて男が奥へ走り去りちょっとサイがドヤ顔をしていると、ほんの少しの時間で戻って応接室へ案内されることになった。

程なくして、恰幅の良い男が応接室へやって来た。


「お待たせしてすみません。私、商業ギルドミチェリア支部ギルドマスターのルバラ・ナーブと申します。先程は受付の者が大変失礼な態度を…」

「いや、特に気にしちゃいないさ」

「サイ様のお噂はかねがね聞いております。素晴らしい功績をお持ちで、シャグラス王国も安泰ですな!

そしてこちらの方が…渡り人の方ですと?」

「初めまして。渡り人で昨日からここにお邪魔しとるミツル・マツシマ言います。こっちではミッツて名乗ろうかと」

「ではミッツ様と。異世界から何かお持ちになられたとか…」

「これなんやけど…」


机上のトレーに塩をちょっとぶちまけただけで、歓声か悲鳴かよく分からないルバラの声が商業ギルドに響き渡った。

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