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獣使いたちの冒険者記録  作者: 砂霧嵐
冒険者のあれそれこれ
23/172

23 渡り人の初回クエスト

「で、ミチェリアのことも契約のこともこの世界のこともまだよく分からんまま森に来たわけやけど」

「そうだな。無法帯の森と比べてどうだ?」

「全然ピリピリしとらん。のどか。のどか過ぎて冒険者横切ったのにホーンラビットも木の実食べとるし」


辺境町ミチェリアの北門から出てすぐの所の森へやって来た二人はのんびり話しながら森を歩いていた。

昨日の魔物だらけの無法帯と違って魔物もほぼおらず、今は明光星が2つの昼下がり。しかも危険な魔物や盗賊の目撃情報もない。

小鳥がさえずり穏やかな時間が流れる今、動物たちの警戒心が緩まるのも仕方ないと言える。

現に冒険者を見るととりあえず逃げるはずのホーンラビットが呑気に木の実をガジガジ噛み、サイたちをチラ見して尚おかわりまでしようとしている。


「さて、依頼内容は覚えているか?」

「もちろん!依頼内容は薬草10束採取、依頼人はミチェリアの薬師ワッドさん、理由はポーションの材料が思ってたより減り早かったから、報酬は500ユーラ、期限は明日まで!」

「思ったより全部覚えてたな…」

「せやかて…めっちゃゲームやもんテンション上がるわ。ゲームと違うていつでも確認出来るわけちゃうし、メモ取ったし覚えもしたわ」

「げーむ…とは?」

「えっと空想上…の出来事をさも体験してるみたいに仮想空間で遊べる…まあ遊戯やな。さっきギルドで言うてたゲーマーは、ゲームを遊ぶ人のことな」

「チキュウなんなの…」


森をサクサク進みながら雑談をする二人。

この間に、ミッツの国の金銭価値とユラ大陸の金銭価値はある程度同じであることが判明した。

この大陸では『ユーラ』と呼ばれるお金の単位がニホンの『エン』とほぼ同じ価値のようだ。

500ユーラは大体庶民の手頃な昼食一食分と説明を受けたミッツも、500円ならお得なランチやなと頷き返していたことから間違いない。多分。

ミチェリアが完全に見えなくなる頃、森の中でサイが立ち止まり薬草講義を始める。


「薬草は大陸中に生えてる。森だろうが山だろうが水中だろうが砂漠だろうが生えてる。過酷な環境であれば上級薬草が生えていることもあるんだが、不思議なことに町や村を作ると何故かその中には絶対に生えない。昔の王宮薬師が20年かけて王都に薬草園を作ろうと躍起になって綺麗な森を再現までしたらしいが、王都近くの森から大量に採ってきたのにいつの間にか根ごと消滅したらしい。諦めたそうだ」

「不思議やなぁ」

「で、肝心の薬草なんだが」


サイが近くの岩の裏に回り指差すと、そこには赤い草と白い花が生えている。

赤い草だけを根から摘み取るとミッツに見せつける


「こうした微妙に暗い所に生えていたりする、赤い草が薬草だ。薬草にも花があって白色。付近に白い花ではなく黒い花が咲いていると薬草ではなく毒草だから気をつけてな」

「それは同じ花なん?」

「同じ草花だが花によって違ってくるんだよなぁ」

「怖…薬にも毒にもなる赤い草とか…」

「まあそこに気をつければその辺にいくらでも生えてるし、初心者の子供にも出来るクエストだよ」

「お小遣いにもなるぐらいのクエストやねんな。そういや上級薬草ってどんなん?」

「上級薬草は赤い草に白の斑点がある」

「えっそれ…病気になってるだけとかやなくて?」

「昔はそう考えられてたんだが、ちゃんと効果もある薬草なんだよ。普通の3倍ぐらい効果があるから上級薬草に認定されたんだ。

さて、俺が後ろで見ておくから少し集めてみてくれ。1束辺り薬草10本分だから…100本集めたらクエスト終了だ」

「おー」


ミッツは黙々と薬草を摘み取り、サイは後ろからのんびり付いていった。

明光星が1つになる頃にはミッツの採取も終わりを迎えていた。

余分に薬草を採ると、ミチェリアに戻ることにした。

赤い草とか斑点のある草とか怖くないです?

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