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獣使いたちの冒険者記録  作者: 砂霧嵐
ある日森の中で出会うのは冒険者と渡り人
20/172

20 今日は一日お疲れ様

「これで冒険者登録の説明は、本当に終わり…だよな?」

「ええ…そのはずです!お疲れ様でしたミツルさん!」


「あっナビリスさんちょっと聞いてええ?」

「はい?」

「あの…名前あるやん?登録した名前。俺の本名」

「はい、フルネームで登録されてますね」

「あの登録した名前と、別の名前で活動とかしてもええん?」

「おや、何故?」


特に誰も気にしていなかったので、サイも含めた全員が不思議そうにミツルを見る。


「ミツルって名前、なんとなくこう響きが、異世界の者ですよーって感じするやん?いや別に隠すつもりないけど」

「まあそうですね…人によっては発音が難しい方もいらっしゃるかもしれません」

「それでや。なんとなくこっちに合わせて、あだ名でも使おうか思って。心機一転みたいな?」

「あだ名ですか?それぐらいでしたら大丈夫です!完全な偽名で犯罪行為を起こすとかでしたら問答無用で絞めましたけど。ギルドマスターが」

「俺がかよ」

「私、しがない受付ですので」

「…まあいいか。で、あだ名は何なんだ?」

「学校ではミッツて呼ばれとったんよ。せやから…ポーン級冒険者のミッツとして活動する!」

「その程度でしたら大丈夫です!ではミッツさん、明日またギルドへいらして下さい。今日はもう夜になっていますので、改めてクエスト受注の手続きをお教えします」

「おおきに!…あっ」


そのまま解散の流れになったミッツが突然、当たり前のことに気付いた。


「…俺、こっちのお金も常識も物もないんやけど…この後どないしたら…」

「「「あっ」」」


ミッツがこの世界にやや馴染みかけているので、無一文であり今日いきなり来てしまったばかりの渡り人であることを忘れかけていたギルド職員たちもようやく気付いた。

塩などを売ろうにも、商業ギルドは宵待星が出てしばらくすると閉まるので、夜になった今は当然閉まってる。

冒険者ギルドにも無料の宿泊施設はあるが、快適とは言えないし生憎今日は満室である。

おまけに持ち物が魔道具(チート)化しているとはいえ、ただの男子高校生であるミッツが転移初日いきなり野宿するのは大変危険である。


「あーそのことなんだが」

「?」

「ミツル、いやミッツ。しばらく俺と一緒に行動しろ。今晩の宿も一緒に取るし、慣れるまではお前の活動を見てやる。冒険者云々どころかこの世界の常識も分からないだろう」

「サイさんよろしいのですか?」

「今の所急ぐ用事もないし、面白…じゃなかった保護したのは俺だからな」

「今お前面白そうって言いかけなかったか?」

「…いや?」

「俺はめっちゃ助かるけど…ほんまにええん?」

「おう。その代わりと言っちゃなんだが…」

「な、なんや?」

「数日に一回、お菓子の提供と……俺のことは呼び捨てでいい」

「え、そんだけでええの?」

「ああ。これからよろしくな、『獣使い』の後輩くん」

「! こちらこそよろしゅう!先輩!」


二人は握手をし、一時的に師弟関係となることになった。





ギルドを出ると、外はもう夜で青白い『闇告星』が暗い空に出ている。

しばらく歩き、サイが利用している『2つ星宿 ライラック』へ到着すると、連泊しているサイの隣部屋を新たに取る。


「おそらく金銭感覚なども違う…と思うが、その辺りも明日以降ゆっくり説明しよう。今日は疲れただろうし後で部屋に軽い食事を運んで貰うよう宿の人に言っておくから、ミッツは部屋で休むといい」

「サイは?」

「俺も武具の手入れを軽くしてから食事を取って寝るさ」

「ほな…ちょっと休ませて貰うで。流石に疲れた…」

「だろうなぁ、お疲れ様。」

「お疲れさん…」


苦笑しながら眠そうなミッツを部屋へ連れて行き、ミッツがベッドにダイブするのを見届けた後、サイも部屋へ戻り休憩を取る。


結局ミッツは食事の到着にも気付くことなく、朝までそのまま眠ってしまうのであった。

この世界のざっくりした朝昼晩解説


朝は青空に赤白い『明光星』が3つ出て来る

→時間が経つと段々減っていき空も薄赤くなると赤い『宵待星』が出て夕方となる

→消えると空も暗くなって青白い『闇告星』が出て夜になる

→空が白くなってくると『闇告星』が消え、また3つ『明光星』が出て朝になる

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