19 冒険者ランクと最強の一人
「そういやなんだかんだでランクの説明してなかったな」
「そういえばそうねぇ」
「も、申し訳ありません!受付職たる者として説明が足りていませんでした!」
説明不足にギルド職員一同が謝ると、ミツルも戸惑いつつまた説明を聞く為にルーズリーフを出す。
「実は『契約者』と『非契約者』でランクの名前が違うのです。『契約者』のランクは、チェスと呼ばれる遊戯の駒から来ておりまして…」
「チェス、こっちにもあるんや。あれやろ?ビショップとかナイトとかやろ?」
「チキュウにもありましたか!実はファジュラの遺跡から見つかったものを昔の渡り人が知っていてチェスの存在や遊び方を教えたことがルーツでして…もしかしたらその渡り人もチキュウの方かもしれませんね…ああ話が逸れました。
上から順に、ゴッド級>キング級>クイーン級>ルーク級>ビショップ級>ナイト級>ポーン級、となっています。チェスの駒にはないゴッド級というランクだけは『契約者』各種につき1人しかいない、駒という枠に縛られることが無いすごくやばい強い冒険者なんだなーという認識で大丈夫です。登録した新人冒険者は貴族であろうが王族であろうが、しばらく絶対にポーン級として活動をして貰います」
「『非契約者』は?」
「先ほどミツルさんが言ったように、S級>A級>B級>C級>D級>E級>F級で、こちらも新人はF級からですね。こちらも現在S級はやばい人が1人だけです」
「ふむふむ…さっきクロルドさんは元A級で、レーニャさんは元クイーン級て言うてたから…上から二番目と三番目?!すご!」
「まあ俺らもちょっと前までめちゃくちゃクエストこなしてたしな。でももっとすごい、常識外れの奴らがいるんだぜ?そいつらが本気出せばドラゴンも一撃だと思う」
「ゴッドとSのこと?でも各1人しかおらんのやろ?4人しかおらんやん、そない頻繁に会う人らちゃうやろー」
「ところがなぁ…案外近くにいるんだよな」
クロルドが徐にサイの腰から短剣を勝手に毟りとると、魔石を測定器に近付けた。
名前:サイ・セルディーゾ 男 20歳 獣使い
種族・称号:人間族・■■■・■■■■■■・■■■■■・良き隣人の友・四頂点の一角
冒険者ランク:ゴッド級
レベル:248
体力:A++ もう少しで人族の限界値を越える
魔力:S ハイエルフと同等
攻撃/防御: S/A ゴッド級に相応しい
特殊スキル:■■■■■・■■■
「……は?」
「だから、ミツルをここに連れてきた、このサイが、冒険者最強の1人だ」
「は、はぁああああ?!!!サイさんあんた、割と高ランクの冒険者とか抜かしてなかった?割と?どこが?!ドラゴン一撃のやばい人やん!!」
「まあ…低くはないだろ?あと一撃かどうかはそのドラゴンによる」
「低…くないけど、えーーーまあええわ、この伏せ字何ー?」
「あーそれな、俺らも分からんのよな。ミツルにもあったし、おそらくスキルが覚醒してないとかだと思うんだが…」
「どうやら機械に表示出来ない言語で書かれてるみたいで…」
「サイは分かるん?」
「あー…実はこれ、なんとかすれば伏せること出来るんだよ…やり方はあまり言いたくないかな」
「ふーん、まあ秘密ぐらい誰かて10や20あるもんな」
他人の秘密を暴くのは特に趣味ではないミツルはひとまずスルーすることにした。