1 生きるためのお勉強
初めて投稿します。
のんびり書けたらいいなと思ってます。
拙い文章ですがどうぞよろしくお願いします!
このシャグラス王国にあるほぼ全ての町には、身寄りのない子供を預かる施設…孤児院を建設するよう、国から指示されている。
国から指示されるからには、施設にかかる費用や食費などは定額ではあるが全て王国から出されている。悪用されることは、今のところ滅多に起きていない。
どんな時代、どんな国が平和であっても戦時下であっても、孤児が絶えることはない。
親の勝手な都合で捨てられることもあるし、不幸な事故で親を亡くすこともある。奴隷を認可していないこの国の監視から逃れている奴隷商から運良く解放されて孤児院に入る子供だっている。
そんな孤児院であるが、孤児院に所属のシスターや神父による教育がきちんと為される。子供たちが将来有望な人材になれば、国はより豊かになり子供も自分の生活を守れる。
ある町外れにある小さな孤児院でも、様々な種族の子供が毎日数時間のお勉強の時間が設けられている。
「皆さん、おはようございます」
「「「シスター!おはよーございます!」」」
朝、大陸で信仰されている神へのお祈りと適度な運動と適切な食事を終えた子供たちが集まる講堂へ、一人のシスターが入ってきた。今日の勉強担当のシスターはゆるりと微笑み、子供たちの前へ立ち今日の講義を始めた。
「はい、今日も元気な挨拶をありがとうございます。今日もお勉強頑張りましょうね。
さて…私は今日はどんなことを学ぶと言ってましたか?昨日のお勉強をきちんと聞いていれば分かるはずですね。ではハク、どうぞ」
「今日はー…ユラ大陸のこと!」
「はいよく覚えていましたね!もう知っている子もいるかもしれませんがしっかり学びましょう」
子供たちが昨日もしっかり聞いていたことを確認するとシスターは黒板へ向く。しばらくシスターがチョークを走らせると、黒板には簡単な大陸図が出来上がった。
「この大陸には主に3つの国があります。私たちが暮らしているこの国はシャグラス王国。大陸の半分もある大きな国ですね。
トニー、あと2つの国は何だか分かる?」
「えっと!えっと!浪漫の国と精霊の国!」
「惜しいですね!それは通称名なんです。正確には…浪漫の国ファジュラ、そして精霊の国アルテミリアです。こちらは少し離れた所にある国ですね。他にも大陸の一部と島が独自の文化を持つ孤島連邦がありますが今回は学びません」
シスターが描いた大陸図に国を書き込んでいく。子供たちは楽しそうに、しっかりと手元のノートに写す。
ここで得られる知識は将来生きていくのに必要だから。
「では…タイロ。何故この3国が戦ったりしないか分かりますか?」
「そんなの簡単だよ!シャグラスもファジュラもアルテミリアも国同士が遠いもん!」
「バカだなータイロ、そんな理由なわけないじゃん」
「なんだと!一番の理由は違うの知ってるからバカじゃねーぞ!」
孤児院の子供はどんな時代でも絶えることがない。
この大陸に生きるのであれば、絶対に。
その原因は種族同士の争いでもなく、捨てる親が多いわけでもない。至ってシンプルな原因。
「国同士の間に魔物がいっぱいいて戦うどころじゃないからだよ!」