はこたろう
思い出話と書いているうちに浮かんだ連想
冬の大河に木箱が一個、波に揺られていったり来たり。
一寸法師か桃太郎か、父がその箱に「はこたろう」と名付けた。
ここは河口に近いのかな。河口方面へじっくり流れていくかと思いきや、しばらくすると元の付近へ戻っている。
灰色の空、灰色の水面。氷でも浮いていたのかな。いやそれは大げさか?遠い記憶。寒冷地というほどでもないが、スケートを滑ることができる程度には水が氷ることもある地方。漠然とした記憶の中の川面は波立つように白っぽく灰色っぽく三角形の集合体のようだった記憶があるので。ただの波だったかな。漠然とした映像記憶。
とある巨大な公園、自転車を借りて、ひと気のない外れまで漕ぎに漕いで「また来ようね」って、父は言ったけど、生意気盛りの私は母と「どうせ来ないくせに」とまぜっかえしてにやにや笑う。
毎日のように訪れたはずの場所でも、ある日を境にぴったりと二度と訪ねることがないということは、人生いくらでもあることで、悲しいことでもなんでもないって、この歳になればわかるし、それでも、平穏な日々は続くって信じているけれど。
今日思い出せてよかった。
恐ろしくロマンチストな父の精神世界は「どこか遠くへ行きたい」という、歌のフレーズのように、いろんなところへ行けて楽しかったんだと思うよ。
書くと思い出すものなんですね。お付き合いいただきありがとうございます。




