第8話 苦しんでまで生きる意味とは一体何なのか
どうもゆにです。
ここ一か月、全然更新できず仕事場から帰り道に『今日も死ねなかったな...』なんてことを思いながら、日々を過ごして来ました。社畜に希望はないのだろうか...?この現状から這い上がる術を誰か教えてくれ。
読者の皆さんが楽しんでくれたら、幸いです。
~商業都市エメラルド 周辺~
サファイアの街から北に数十キロ離れた商業都市エメラルドを目指しボクらは北へと歩を進めていた。何故、そんな所に向かっているのかボクにもハッキリとしたことは分からない。サファイアの街を去る際にリアがボソッとエメラルドの街なら...みたいなことは言っていたが、ボクにその真意は分からない。
そんなことが在って、ボク達は数日間、この街道を歩き続けてやっと街が見えてきたかなって所までやって来ていた。
「ねぇねぇリア!?やっと街並みが見えてきたよ!」
「アレがエメラルドって所じゃない?」
ボクは気さくにリアへと話しかけた。
「・・・そうね。」
うん!全然こっちに反応を示してくれないね!まぁ原因は分かっているんだけど...。どうしたモノかとミナスは少し悩んでいた。
というのもサファイアの街の一件からリアはボクとまともに会話をしてくれない。それどころか目も合わせてくれない。
これじゃあ、復讐を果たす協力をする以前にリアからの信頼を失うことになってしまう。それではボクの"死ぬ"という一番の目的が果たされなくなってしまう可能性が出てくる。
"それは困る"
だから、早めに関係を修復したいと望んでいた。
「リア...ボクは死ぬことは救いだと考えている。」
よくとっても苦労した時に使う言葉として四苦八苦と言う言葉を使うことがある。コレは元々仏教用語の一つであり、この四苦とは生老病死のことを指し示す。つまり、仏教的な観点で言えば、人生における苦しみとは、『生きること』、『老いること』、『病になること』、『死ぬこと』とされているのだ。勿論、アルメンセスの地に仏教という宗教は存在しない。
しかし、ミナスはこれに近く、そして遠い考えを持っていた。
ミナスはこの『生きること』、『老いること』、『病になること』この3つは生きている間に起きる苦しみと考えていた。つまり『死ぬこと』、この苦しみさえなければ、全ての人類を救えると本気で思っているのだ。
「君がボクのやり方を気に入らないというのは分かっている。」
「それでもボク達は互いの目的を果たす為に協力し合うべきだと思うんだ!」
「だから、別に仲良くなる必要はないが、会話はまともにしてほしいと考えている!」
ボクはリアの方を向いて話しかけた。無視されたらイヤだなとか考えながら、それでも自分の思いを言わずにはいられなかった。
そんなミナスを見兼ねたリアはついに会話をすることにした。
「・・・私は帝国に復讐をしたい!」
「アンタの力なら帝国に一矢報えるかもとか考えてた!」
「でも、サファイアの街の一件で分かったわ!アンタの力は私の想像以上に危険だったって!」
「ミナス!アンタは私の手で必ず殺すわ!!」
「でもそれは帝国に復讐を果たし終えた時!そして、それまでは私の言うことには従ってもらう!!コレは絶対の条件にしてもらうわ!」
「これからも協力関係を続けたいならこの条件は飲んでもらうわ!もし、従えないなら私たちの関係はこれまで、アンタは好きに生きればいいわ!」
この条件をミナスが飲まない場合、彼は私を含めたこの世界の人を全て殺すだろう...。しかし、その選択をした時、彼は一生死ぬことができなくなる可能性が高くなる。それはミナス自身避けたいと考えているハズ。
だから、彼はこの条件を飲むと確信していた。
「え~~たったそれだけの事??そんなのお安い御用さ!!」
思った以上にアッサリと条件を飲んだミナス―――本当に意味を分かっているのか、リアは一瞬不安になる。
「えっ、エェ...!?」
「飲むっていうの...?」
「うん!勿論さ!!ボクは死ぬ為に生きているんだ!それくらい受けて当然さ!」
笑顔で了承するミナス。
「じゃ、じゃあ私が許可した時、許可した人しか殺すことを禁止しますッ!!」
リアはミナスの顔色を伺う。
「う~~ん、確かに人を救済することは大切だけど、ボクの一番の目的ではないからね!いいよ!分かった!」
「これからはリアが許可した人以外は殺さないようにするよ!!」
アッサリと快諾するミナス―――その微笑はミナスの狂気を知っているリアにとって悪魔の気まぐれのようにすら感じる。
こうして、ミナスとリアはサファイアの一件を超えて和解したかのように思えた。しかし、リアの心の底にある不安感は未だに拭い切れるものではなかった。その証拠に彼女は目指したのだ。商業都市エメラルドを。
商業都市エメラルドなら大きな冒険者ギルドがある。そこなら実力の高い冒険者を味方に付けることが出来るかもしれない。それにここなら帝国に対抗できる武器やスキルの習得も可能であると考えていたのだ。
確かにミナスは異常な殲滅スキルを持っている。しかし、リアにとって本当に心から信頼できるのかと言ったらNOになる。だから、リアは密かに考えていたのだ。ミナスに対抗できる力を得ることを。そして、帝国に匹敵する力を得た時にはミナスを自分の手で殺すことを心に誓っていた。
~カルデキア帝国 帝国軍本部 作戦会議室~
「何ッ!?」
「ボルボロスからの通信が途絶えただと!?」
部下の報告に対して、威嚇するような瞳を向ける眼帯を付けた隻眼の男がいた。帝国軍戦闘部隊隊長ランスロット大佐である。この男はジュエル王国の王都トパーズを襲撃した際に王族の親衛隊長フォルカスを銃殺した男である。
「ハッ!サファイアの街での戦闘中にボルボロス少尉からの連絡が付かなくなりました!」
「信じられんことだが、分かった...!貴公は下がっていいぞ!」
「ハッ!了解いたしました!」
部下の男は会議室の扉を開け、その場を後にした。
「ふむ...あのボルボロスがジュエル王国の者に後れを取ったということか...?」
「絶対ではないとは言え、そんな者がいるとは考えにくいな...!」
ランスロットは、自席に備え付けれている通信機を手に取った。帝国では異様に科学技術が発達している。その中でも異なる地点間での通信を可能にする道具が存在する。それがこの通信機だ。内部に魔石を取り付けており、微弱な魔力の波を流すことで通信を受ける側がその波をキャッチして通信を行うことが可能となる。
この道具を使い、ランスロットはある人物へと通話を開始する。
「私だ!ランスロットだッ!!」
「アレっま~隊長さんじゃあネェですか!?アンタの方から掛けてくるのも珍しいっすね!」
「自分に何の用ですかい?」
「フム...簡潔に言おう!サファイアの街攻略作戦中にボルボロスの奴からの通信が途絶えた!」
「へェ~~あの暴れん坊のアイツがですか!?明日は槍でも降るんじゃねーですかね!」
「で?それが自分に何の関係があるんですかね?」
「アルバック!貴公は確か、ルビーの街を攻略しているのだろう?」
「そこからサファイアの街は数十キロ程度!そんな理由もあり、貴公には偵察の任を命じる!!」
「そんなことルードの奴にでも命令すりゃいいじゃないですかね!?」
アルバックは少しイヤそうな声で言葉を返す。
「ルードのヤツはトパーズの王族殺害の件で現在謹慎中だ!」
「それに貴公のスキルならこういった追跡に向いているであろう?」
ため息交じりでルードの現状を説明するランスロット。
「あのバカはまぁたやらかしたんですね!」
「確かに自分の追跡能力は最強だと自負していますね!まぁそういうことなら了解しましたぜ!」
「あぁ任せたぞ...!」
「それとは別件で、ルビーの街攻略の方はどうなった??」
「ルビーの街??もうとっくに終わって、部下たちとうまい酒を飲んでますぜッ!!」
アルバックはその場で倒れて動けなくなる住民を足で蹴り飛ばす。
その光景を見ていた部下たちからは歓声が沸く。非常に気分が悪くなる光景だ。
「そうか分かった!作戦自体が問題ないようなら私の方からは何も言わん。」
「あぁそれと、この街には隊長さんが探していたリア王女は居ませんでしたぜ!」
「住民の中から100人くらいに拷問を掛けたけど、一切の情報が出て来ませんでした!」
「アイツらの身体の皮を剥ぎ取ってやったり、歯を全部抜いてやったりしてやった時のアイツらの悲痛な叫び声サイコーでしたよッ!!隊長さんにも聞かせてやりたかったっすね!!」
拷問の話を楽しそうに語るアルバック―――正直ランスロットからしてみたら、そんなことよりリアを探す方に力を削いで欲しいと思っていたため、長くなりそうなアルバックの話の途中で通話を終了した。
こうして、帝国軍戦闘部隊のアルバックはボルボロスの行方を探る為、サファイアの街へと向かうことになる。
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