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誰かボクを殺してくれ ~不老不死でLv.-9999の災厄ダウナーは今日も死にたがる~  作者: ゆに
第2章 災厄のダウナー

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第67話 マイナスの憂鬱


~城塞都市バルクール~

 

 バルクールとアーカルムの戦いを終え、ミナスは一旦バルクールへと戻っていた。

 

 「この度は大変ご活躍したと聞き及んでいます―――」

 「ミナス様―――」

 

 ミナスを出迎えたのは、解放軍数千の兵士達。

 

 その先頭にはすっかりケガも完治したシータとジュリエッタが立っていた。

 

 たった一人で帝国最強の一角である黒剣将軍レインを打ち倒し、アーカルムを解放したという情報がこの国にも出回っていた。

 

 まさに英雄―――

 

 ミナスは解放軍にとっての英雄と褒め称えられ、皆からの信頼を得ていた。

 

 「この人達は・・・?」

 

 ミナスは大きく眼を見開き、事態の理解が及んでいなかった。

 

 この数万年間の間、このような扱いは受けたことがなかったからだ。

 

 「リア様の護衛をしているから強いとは思っていたが、まさかあの帝国を退け、都市を一人で解放しちまうんだもんな―――」

 

 

 「今度、その強さの秘訣を教えてほしいです。」

 

 「これで大手を振って、解放軍本部に戻れるな。」

 

 

 皆の喜びの声が耳に届く。

 

 

 「コレはボクの事を言ってるの?」

 

 「はい、その通りです。」

 

 シータが隣にやって来る。

 

 そして、普段は見せないような笑顔でミナスを見つめる。

 

 彼女も内心、ミナスの無事とアーカルム解放の知らせで喜んでいた。

 

 自分が尊敬するミナスが打ち立てた偉業とも言える成果に。

 

 

 「これでシグマ共和国は帝国の魔の手を退きました。我々の国に協力してくれることでしょう。」

 「単にミナス様のおかげです。」

 

 

 シグマの2大都市を解放することで、今度はジュエル王国の王都奪還に協力する。

 

 それがカジハラから出された提案だった。

 

 戦力は大いに越したことは無い。

 

 これで王都奪還にまた一歩近づいた。

 

 しかし、そんなミナスの心中は少し複雑だった。

 

 「別にボクはそんな偉いことはやってないんだけどなぁ~・・・。」

 

 思えば、自分がやりたいように―――

 

 自分を殺してくれる者を探して、好きに暴れて、目の前の人間に死を与えただけ。

 

 こんな人々に感謝されることをやったという自覚は全くない。

 

 

 「ごめん・・・少し、一人にさせて・・・。」

 

 「・・・かしこまりました、ミナス様。」

 

 ミナスは一人、一室に籠る。

 

 少し自分を落ち着かせるため。

 

 

 ボクは死にたがりだ―――、ボクの望みは自分が死ぬこと。

 

 それ以外にはいらない。

 

 いるハズもないんだ・・・。

 

 それなのに何なんだこの気持ちは?

 

 頭の中が少しモヤモヤする。

 

 あのレインとかいう女―――

 

 あの女と闘ってから少しおかしい。

 

 あの女は自分が正しいと考え、ボクに刃を向けてきた。

 

 次元の狭間の魔物とは大きく違う。

 

 彼らも強大な力を持っていたが、そんな信念は持ち合わせていなかった。

 

 それにこの星の意思が彼女に味方した。

 

 流石のボクも星から否定されたら、多少は気にもする。

 

 これまでボクがやってきたことは間違っているのかい?

 

 そして、これからボクがすることは間違っているのかい?

 

 

 誰も答えを教えてくれない部屋の中で、ミナスは自問自答する。

 

 

 そんなミナスが憂鬱を感じている一方で、事態は動き出していた。

 

 

 カジハラを乗せたドラゴン形態のシロがバルクールまでやってきた。

 

 かなり急いでいる様子だった。

 

 「おぉー、なんだ!あのドラゴンは!?」

 

 災害級のドラゴンの出現にかなりパニックになるバルクール内。

 

 

 「いや、よく見ろ!アレはカジハラ様だっ!!」

 

 「おぉー、カジハラ様!!カジハラ様!!」

 

 カジハラもこの都市を解放した英雄としての扱いを受けている。

 

 そんな彼が超巨大なドラゴンの背に乗って、従えている。

 

 より一層、彼を称える者が増える。

 

 みんな救世主の登場を待ち望んでいる。

 

 自分達の安全を創ってくれる・・・そんな救世主を。

 

 「ここでいいぞ―――」

 

 カジハラはそういうと、颯爽とシロの背中から飛び降りた。

 

 音もなく綺麗に着地すると、全員に伝えた。

 

 「あの魔術師はどこだ!?」

 

 「ミナス様の事でしょうか・・・?」

 

 

 「そうだ―――」

 「急ぎ、伝えろ!!」

 「今すぐにココを発ち、解放軍本部へと戻るぞと!!」

 

 

 カジハラの読みが正しければ、解放軍が危ないと・・・。

 

 

 そんなカジハラの読みは正しい。

 

 リアの元に帝国の使いを名乗る者が現れ、彼女を帝国へと連れて行こうとしていた。

 

 

 

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