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誰かボクを殺してくれ ~不老不死でLv.-9999の災厄ダウナーは今日も死にたがる~  作者: ゆに
第2章 災厄のダウナー

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第63話 星の巡る地⑮


~星霊都市アーカルム~

 

 ドス黒い瘴気をその全身から放つミナス。

 

 禍々しき事、この上なし―――

 

 その変貌にその場から逃げ出す帝国兵多数。

 

 触れただけで即死の瘴気が彼の身体から漏れ出す。

 

 「ヒィ、ヒイイィィーーーーっ!!」

 

 帝国兵が情けない声を出す。

 

 同胞が瘴気に触れただけで骨も残さず、溶けだしていたからだ。

 

 それを見た他の帝国兵達も異常事態に気付き、怯え出す。

 

 事態の深刻化をいち早く感知したのは、ルード隊だった。

 

 ルードはその野生染みた生存本能からミナスが想像以上の怪物だと気付いた。

 

 そして、彼は後方に待機していた自分の隊員全てに退却を命じる。

 

 自分もその場から全力で退却する準備をした。

 

 「ルード隊に告ぐ!!全員、帝国本軍へ戻るぞっ!!」

 

 これ以上、この場にいても無駄に戦力を削ぐと判断したからだ。

 

 「隊長!レイン将軍の部隊はそのままで良いのでしょうか?」

 

 

 「奴らはレイン将軍に心酔している―――」

 「言うだけ無駄だ―――、だが連れて来れる者がいるなら連れて来いッ!!」

 「一人でも多くこの場から生存することに全力を注げッ!!」

 

 ルードは部下達にそう指示する。

 

 『全軍退却』。

 

 ルードが出した回答はそれだった。

 

 しかし、たった一人の襲撃者に対して、その行動は通常取れない。

 

 帝国にだって、メンツがある。強国であるという自負がある。

 

 たった一人の者に恐れを抱いて、尻尾を巻いて逃げるなどあってはならない。

 

 ルードもそれを分かっている―――、しかし、それでもなお、退却という判断を下した。

 

 「悪いな、レイン将軍―――、俺はアンタの力を疑っちゃいない。」

 「だが、敵が悪い・・・あんなのアンタだって、倒せない・・・。」

 「いや、誰にも倒せないかもしれない―――」

 

 俺は"アレ"の危険性を帝国へ報告しなければならない。

 

 だから、このまま逃げさせてもらう―――

 

 ルード隊は全力でアーカルムを抜けた。

 

 「シギル中将!ルード隊が逃げていきます―――」

 「良いのでしょうか?」

 

 

 「構わん・・・逃げたいなら逃がしてやれ・・・」

 「我らはレイン様を信じるのだ・・・あの御方ならきっと化け物を討伐して下さる!!」

 

 

 レインの部下達は彼女の勝利を信じ、その場から一歩も引かなかった。

 

 

 やはり、アナタにも先がありましたか。

 

 レインは異様な程、落ち着きを見せている。

 

 星の力を取り込み、無制限にエネルギーが溢れ出る。

 

 レインは再び、剣を構える。

 

 不浄の気を纏う存在、災禍の化身めいた風貌、禍々しき威容。

 

 私がアナタという存在をこの世界から抹消してあげます。

 

 

 「星界雨葬せいかいうそう!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~

星界雨葬せいかいうそう

星の力を宿らせ、対象を細胞レベルで滅ぼす剣。

その剣を受けた者は溢れ出る星のエネルギーを注がれ、

身体が分解される。


~~~~~~~~~~~~~~

 

 レインの剣がミナスを貫く―――

 

 

 星の力をその身に受けて、耐えることが出来る者はいない。

 

 「アナタは恐ろしい程の負の力を持っている―――」

 「だからこの星の正しい力を注いであげます!!」

 

 

 正シイ・・・?

 

 一体、ソレハ誰ガ決メタ?

 

 ボクガ間違ッテイルトデモ言イタイノカ?

 

 

 「フザ・・・ケル・・・ナ―――」

 

 ボクハ間違ッテナイ。

 

 星の力がミナスの中に流れる。

 

 それは本来なら焼かれるような痛みだ。

 

 だがミナスに痛みはない。

 

 ミナスの身体はグチュグチュになり、溶け始める。

 

 

 深い・・・この者の負の力は想定以上―――

 

 星の精霊が怯えていることをレインが感じる。

 

 ここで決着をつける。

 

 それがこの星を救うことにも繋がる。

 

 『レインさん、貴方が辛い人生を歩んできたことは知っています。』

 『この星が貴方にとって素晴らしいものでないことも知っています。』

 『それでも貴方にお願いするしかないんです。』

 

 

 『どうか・・・どうかこの星を御救い下さい。』

 

 「私は、そんなこと気にしません―――」

 「過去が辛かった・・・?」

 「過去をどれだけ嘆いても未来は決して変わらない。」

 「いつも未来を切り拓くのは今この時の自分の選択次第ですッ!!」

 

 だから、その未来を護る為に私はアナタを・・・。

 

 「オオオォォォーーーーっ!!」

 

 雄叫びを上げるレイン。

 

 星の想いを受け、ミナスを滅ぼそうとする。

 

 

 「レイン様!レイン様!」

 

 帝国兵が泣きながらレインの名を叫ぶ。

 

 闘いは佳境―――

 

 

 希望・・・絶望しか知らなかった私に注ぎ込まれるこの星の希望。

 

 思ったより悪くないですね―――

 

 

 下ラナイ・・・。

 

 希望、夢、未来・・・

 

 ボクヲ殺セナイ君達ニ価値ナンテ無イ。

 

 

 そんなレインの一撃を受けてもミナスの心は何一つ変わっていなかった。

 

 

 『断命』

 

 

 ミナスが小さくそう呟いた。

 

 

 「・・・・っ!?」

 「この化け物を・・・殺さ・・・ないと・・・!!」

 

 レインの手から剣が離れた。

 

 

 瞬間、レインが宿していた光が消える。

 

 レインの眼がそっと閉じる。

 

 そして、その生気途絶えた。

 

 絶命を遥かに超える即死の術。

 

 『ま、まさか・・・これ程とは・・・』

 

 星の精霊たちがざわめく。

 

 帝国最強の将軍であるレインが倒れた。

 

 それも何の前触れもなく、唐突に―――

 

 「レイン様アアァァーーーっ!!」

 

 

 帝国兵が駆け寄ろうとするが、ミナスの瘴気に殺られる。

 

 近づけばそれ即ち"死"。

 

 

 ミナスの黒い瘴気が彼の身体の中に戻っていく。

 

 

 

 

 「君は楽に死ねて幸せ者だね―――」

 

 

 

 

 ミナス VS レイン・・・戦場で最後に立っていたのはミナスだった。

 

 

 「さぁ、終わらせよう―――」

 「君達、帝国兵のこの侵略を―――」

 

 ミナスは天に両手を掲げ、そう宣言した。

 

 

 彼はマイナスの力を解放し、この都市を覆った。

 

 

 誰一人声を発することなく、須らくその生命は消滅した。

 

 

 嘆かわしい・・・と星はこの事態を嘆いた。

 

 

 星すらもミナスを滅ぼすことは出来なかった。

 

 

 

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