第56話 星の巡る地⑧
~星霊都市アーカルム 軍会議室~
「・・・・お前が本部からの援軍ということか?」
会議室にいるのはレインとルードの二人。
「アンタの噂は前から聞いてるよ。」
「最年少でしかも女で、帝国の将軍にまで上り詰めた化け物って―――」
「みんな言ってるぜ!」
「・・・・・下らない。」
「私は本当は地位などどうでもよいと思っている。」
「ただ、世界はそうじゃない―――」
「強い者はより高い位に・・・逆に弱者は地の底を這い蹲る。」
「そうしてこそ、世界は上手く回る。」
「ヒュ~~、言うじゃないか―――」
「アンタとは分かり合えそうだ。」
「茶化すな―――」
「ここに来たってことは何か伝えたいことでもあるのだろう?」
「あぁ、ヴィクター博士からの伝言だ!」
「解放軍で不死身のダウナーがいるらしい。」
「そいつはどんな攻撃も通用せず、どんな者も一瞬で消してしまうらしい。」
「博士の片腕もその化け物にやられちまったって話だ。」
どんな攻撃も通用せず、どんな者も一瞬で消す・・・・。
いかにも博士が好きそうな存在だ。
「で、そいつがどうした?」
「気を付けろとでもいいたいのか?」
「まぁ、そんな所だろう―――」
「だって、アンタあの博士の最高傑作って話だしな。」
最高傑作か・・・。
所詮は私も彼の玩具にしか過ぎない。
「で、博士からこんな物を預かった!」
ルードがある物をレインに投げる。
「コレは・・・!?」
「その例のダウナーに対抗できるかもしれない試作品らしい。」
「まぁ、アンタにそれを使ってもらいたいってことみたいだぜ。」
あのマッドサイエンティストは―――
まぁ、いいだろう。使ってやる。
レインは渡された物をその身に付けた。
~星霊都市アーカルム近郊 上空~
シロの背に乗り、アーカルムを目指すミナス。
「それにしても君が次元の狭間の出身者だったとはね―――」
「正直、ちょっと驚いたよ。」
「意外でしたか?」
「いや、なんとなく懐かしい匂いはしていたんだ―――」
シロとミナスはそんな会話をしながらアーカルムの近くまで来ていた。
「帝国の奴らもこちらに気付いたようです―――」
「少し、速度を上げますので、落とされないようにお願いしますね。」
そう云って、シロが速度を上げる。
ミナスはペタッとへばりつくようにシロの背中にくっつく。
帝国の対空魔導兵器が一斉にシロへ向けられた。
元々、空への警戒は強くない。
どれだけ最新技術を用いたとしても大した数が無ければ、強者であるシロを止めることは難しい。
シロは撃ち出される弾幕の嵐を駆け抜け、ミナスをアーカルムの上空まで連れてくる。
「流石だね―――」
「褒めたって何も出ませんよ。」
「そっか―――」
「それにここからは貴方の仕事です。」
「存分に暴れてきてください。」
「うん♪」
ミナスは自分からシロの背中を飛び降りた。
上空数百メートル。
そこから飛び降りるミナス。
常人ならこの高さから落ちたら絶命するだろう。
ドスンっ―――!!
「さぁ―――、始めようか。」
「救済の瞬間を―――」
しかし、ミナスは不死身の存在。
彼は死なず、痛みも感じることはない。
すぐに身体の細胞は修復を始める。
「貴様は一体、何者だ!!」
すぐさま、アーカルムに駐留している帝国兵にその存在がバレ、囲まれた。
あれだけデカいドラゴンから落ちてきたのだ、当たり前の話だ。
「能力値降下!」
「ぐあああぁぁーーーー!!!」
初手、いきなりの弱体化魔法。
帝国兵は倒れ、ドロドロの黒い液体になって溶ける。
最近はリアが周りにいたり、味方を気にしながら闘う必要があって、自分を出し切れなかった。
でも今日は違う―――
久しぶりに周りを気にしないで暴れることができる。
「やっぱり、ボクはこっちの方が気楽でいい。」
アレが、彼の力・・・。
ご主人様から聞いていたことが本当だとすると、ここにいれば私も危ない。
ご主人様からの指示通り、後は彼に任せることにしましょう。
シロはミナスを残し、その場から離れる。
ミナスは帝国を屠る為の爆弾として投下された。
「能力値降下!」
「能力値降下!!」
「能力値降下ゥ~~~~!!!」
次から次へとやってくる帝国兵を瞬殺するミナス。
帝国兵も負けじと銃火器を用いてミナスを攻撃するが、彼には通用しない。
まるで化け物―――
いきなりやってきた彼を見て、帝国兵達に緊張感が走る。
数という意味では向こうは一人、こちらは万の兵を抱える。
しかし、こちらの攻撃の一切がヤツに通用している感じがない。
そして、極めつけはその殺し方だ―――
触れることなく、次々に同胞がやられていく。
それもドロドロの黒い液体に変えられるという無残な殺され方。
もしかして次は自分の番?
そう思う兵士たちは少なくない。
「ひぃ、ヒィ~~~っ!!!」
「あっ、貴様!!勝手に持ち場を離れるなっ!!」
異様な恐怖が場を支配する。
「ねぇ?君達のボスを早く出してよ―――!!」
黒剣将軍レイン―――
先ほどの戦いでは彼女に4千以上の騎馬がやられた。




