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誰かボクを殺してくれ ~不老不死でLv.-9999の災厄ダウナーは今日も死にたがる~  作者: ゆに
第2章 災厄のダウナー

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第54話 星の巡る地⑥


~星霊都市アーカルム近郊 モノス平原~

 

 ミナスとレインの両者が今にも戦いを始めようとしていたその時。

 

 あの男が空からやって来た。

 

 トンっ!トンっ!トンっ!

 

 まるでステップを踏むように。

 

 カジハラが一定のリズムで降り立つ。

 

 その手には雨を凌ぐための傘を差して。

 

 「雨が・・・止まっている?」

 

 どういう原理か分からないが、レインの雨が止まって、空中で固定されている。

 

 彼はその固定化された雨粒を足場に移動してきた。

 

 とても人間技ではない。

 

 

 

 「まさか、シロがやられるとは予想外だったぜ―――」

 「こいつを倒せるヤツが存在してたとはな。」

 

 そう云いつつもカジハラは大して動揺している訳ではない。

 

 寧ろ、この状況を楽しんでいるようだ。

 

 「黒剣将軍レイン―――」

 「アンタはオレっちの想像の遥か上を行く猛者だったって訳だ。」

 

 

 「おい、シロ起きろォ~~~!!」

 

 カジハラは倒れているシロにそう呼び掛ける。

 

 

 「おめぇはこんなもんじゃねェだろぉ~!!」

 

 うつ伏せに倒れているシロの頭を軽く叩き呼び掛け続ける。

 

 その声に反応するようにシロはスッと立ち上がる。

 

 「ッ―――!?」

 

 レインは少し驚いた表情を浮かべる。

 

 絶望の雨を受けて立ち上がれる者は少ない。

 

 「申し訳ございません―――、ご主人様(マスター)。」

 

 「おめぇがここまでやられるとは―――、相当な手練れだったか?」

 

 「はい、私の愚弟と戦った時と同じくらいでした―――」

 

 「ははん、そうか―――、まぁ、それが分かっただけでも収穫だな。」

 

 「引き上げるぞ!」

 

 「はい、ご主人様(マスター)!!」

 

 カジハラとシロは引き上げようとしている。

 

 「ちょっと待ってよ―――」

 「今、いいところなのに―――」

 

 ミナスはカジハラに向けてそう云った。

 

 「ア"ァ"―――!?」

 「おめぇは・・・。」

 

 カジハラはミナスの方に顔を向ける。

 

 レインと相対しているのが例の魔術師。

 

 4千の隊員がやられ、立ち上がったのはミナスとシロのみ。

 

 「ここに残ってまだ続けるってのか?」

 

 「うん!ボクならやれるよ?」

 

 「いや無理だな―――」

 「確かにおめぇはオレっち達と同じ匂いがする。」

 「もしかしたらあの黒剣将軍ともいい勝負をするかもしれねェー。」

 「だが、それで勝ててその後どうする?」

 「誰があの都市をまとめ上げるんだ?」

 「おめぇ一人でやるってんのか?」

 「それをやるには人手が足りねェ―――、だから一旦退いて態勢を立て直す。」

 

 「それに見てみろ―――」

 

 カジハラが後ろを指差した。

 

 後ろからは帝国の装甲戦車や戦闘アーマーなどが多数押し寄せていた。

 

 「帝国からの増援だ―――」

 「もうすぐこっちにやってくる!!」

 「このままだとオレっち達は挟み撃ちに遭って、全滅だ。」

 

 

 「ボクならあれくらい―――」

 「だけど、君の言う通りかもしれない。」

 

 

 ボクは今まで相手を殺すことしか考えていなかった。

 

 でも君は違う。

 

 その先を考えている。

 

 「分かった―――」

 「君の言う通りにするよ。」

 

 ミナスはカジハラの言う通りに動くことを決めた。

 

 「でもここからどうやって逃げるって言うんだい?」

 

 「まぁ、そりゃおめぇ、転移系の魔法でちょちょいとな。」

 「なぁ、シロ!!」

 「行けるよなぁ!!」

 

 

 「はい、ご主人様(マスター)!!」

 

 

 シロは空間転移の魔法を使えるらしい。

 

 次元の狭間には使える魔物がゴロゴロいたが、この世界ではかなり珍しい。

 

 「おい!!動ける奴らはシロの元に早く集まりやがれ!!」

 

 絶望の雨が止まっている。

 

 フラフラになりながら解放軍の者が少しずつ立ち上がる。

 

 その数は百人にも満たないだろう。

 

 帝国側の戦士がレイン以外いないことが幸いした。

 

 ここでの帝国の追撃はレイン以外行える者がいない。

 

 「おい、姉ェちゃん・・・邪魔しねェーんだな!?」

 

 カジハラがそう口にする。

 

 「・・・・・・それは挑発のつもりですか?」

 

 「貴方が先ほどから喋っている間に私の絶望の雨の雨粒を少しずつ動かし、私の周辺に集めていることには気付いてます。」

 「今、私が全力で動けば、この固定化された雨粒が全身を貫く―――」

 「貴方はそれを狙っている?違いますか?」

 

 

 「へぇ、流石は帝国の将軍様だ。」

 「この程度の小細工はお見通しって訳かい。」

 

 カジハラという男は勝つ為なら何でもする。

 

 どんな小細工でも卑怯な手でも何でもだ。

 

 自分の勝率を1%でも上げる為に頭を回転させ、行動に移す。

 

 それは誰にでもできるようで誰にでもできない。

 

 

 だが、それでも本物の天才の前では意味がない―――

 

 

 あのレインとかいう女、実物を前にするとかなり得体が知れねェー。

 

 直接やり合いたくはねェーな。

 

 あぁ・・・どうすっかなーーー。

 

 シロじゃあ、多分アレには勝てねぇーし。

 

 

 ・・・・・・・・っ!?

 

 

 カジハラはミナスの方を見た。

 

 あぁ、そうだ―――、ちょうどいいのがいるじゃねェーか。

 

 

 

 「ご主人様(マスター)・・・・行きますよ!!」

 

 「あぁ、構わねぇー!!退却だ!!」

 

 

 シロの周りに高度な魔法陣が創られ、生き残った解放軍は戦線を離脱した。

 

 

 

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