第51話 星の巡る地③
~星霊都市アーカルム近郊 モノス平原~
モノス平原の戦いが始まった。
解放軍側の作戦通り、シロを頭にした特攻部隊が敵の本隊を貫き、陣形を崩す。
解放軍側優勢のスタートに思えた。
カジハラは全軍の後方で待機。
すぐに指示が出せるように全体が視える位置で構える。
「シロさんの活躍で帝国軍の陣形を突破できそうですね。」
「第二陣出撃させますか?」
「いや、まだ待て―――」
「奴らもバカじゃない―――、すぐにシロを止める為に精鋭を当ててくるだろう。」
「今、出撃したら第二陣と共々、飲み込まれてしまう可能性が高い。」
世の中に絶対はねェ―――
初っ端にこっちの最強戦力をぶつけて帝国側の出方を見る。
「ミナスさん、しっかり付いて来ていますか?」
「あ~~い!」
シロは隣のミナスを気に掛ける。
ミナスはやる気にない返事をする。
そのすぐ後ろにはシータも追走している。
シロはカジハラから監視を命じられていたため、ミナスを不自然な程に気に掛けていた。
しかし、シータが後ろで怪しむような視線を送っているが、当のミナス本人は特に気にしない。
そうやって、最速で全身を進めていく一隊だった。
出てくる帝国兵は次々とシロが撃破する。
彼らも本来なら強者なのだが、シロの前では大して意味を為さない。
シロたちの進撃により、アーカルムの正門までもう少しというところ。
「止まってください―――」
シロが進行を止めた。
「ッ―――!?」
前方からただならぬ気配がしていた。
「あれは・・・?」
ミナスがゆっくり顔を上げて、前を見ると、明らかに一般の帝国兵とは異なる騎士が待ち構えている。
彼女からあの禍々しい気は出ているのか?
この世界に来て、また新たな強者との遭遇。
シロもそれが分かったから止まった。
「どうやら一筋縄ではいかなそうですね―――」
その額からは汗が垂れている。
冷や汗・・・?
あの強く美しいシロが額に汗を流す程の相手―――
後続の隊員達はゴクリと生唾を飲み込み、その身に緊張感を走らせる。
「・・・・・・。」
後ろの帝国兵達も彼女の周りから一歩引いている。
闘いやすいように場所を開けているという見方もできる。
「そこをどいてもらえますか?」
シロがそう伝えた。
「レイン様―――、ここは私が・・・」
待ち受けているのはこのアーカルムを侵略した帝国の将軍レイン。
"レイン・・・?アレがご主人様の言っていた今回一番に警戒するべき相手。"
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敵将のレインはオレっちもほとんど情報が手に入れられなかった―――
情報が出てこないのが不気味すぎる。
正直、お前が敗けるとは思えねェーが、万が一も考えられる。
もし、そうなったら―――
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レインはガイモウの前で手を肩くらいまで上げる。
ここは自分が行くという意思なのだろう。
「分かりました―――、敵はそれほどの相手と言うことなのですね。」
ガイモウはこれを承諾。
流れはシロとレインの一騎打ちの様相となる。
両者、騎乗しながらの戦闘。
「どかないのであれば、力づくでいきます。」
シロが仕掛ける。
「竜槍波!!」
聖なる神槍をレインへ突き立てる。
「世界はいつだって、絶望に包まれている―――」
「それがこの世界の真理であり、あるべき姿。」
「私はそれを美しいと感じる―――」
レインはそう口にする。
その手には漆黒に包まれた黒剣を握り締め、シロの一撃を受け止めていた。
剣で槍の一撃を受け止める。
それだけでもかなりの技量であることが伺える。
闘争の最中―――、感じる、最も心地の良い瞬間。
それは敵を蹂躙する時。
グシャ―――っ!!
シロの真っ白な衣服が血で真っ赤に染まる。
「ッ―――!?」
「シロさアアァーーーーっん!!」
レインの一刀により、肩から斬られるシロ。
シロは自分が斬られたことに呆気に取られてしまう。
これまでの人生で斬られた経験がほとんどないからだ。
「あの出血量はマズいかもしれない―――」
レインは表情一つ変えない。
あたかも、斬って当然かのようだ。
まだ握れる―――
「竜槍爆波!!」
シロは利き手である右手で反撃に出る。
だが、レインの方が上手、その一撃をキレイに躱し、宙を舞う。
まるで空を舞う羽毛のように軽やかにそして鮮やかに。
斬ッ―――!!!!
今度はシロは反対の肩を斬られてしまう。
「ッ―――!?」
「これほどまでなのか・・・?」
「これほどまでに帝国は圧倒的なのか?」
「あのシロさんが手も足も出せていない・・・。」




