第50話 星の巡る地②
~星霊都市アーカルム近郊 モノス平原~
星霊都市アーカルム近郊のモノス平原。
ここで、解放軍と帝国軍がぶつかり合う。
「敵の数は―――」
「ざっと見た所、四千と言った所か。」
中将のガイモウは平原が良く見える位置を陣取る。
その奥には大将のレイン。
「少ない―――」
「少なすぎるぞッ!!」
「あの程度の戦力で我らからアーカルムを取り戻そうなどとは片腹痛いわッ!!」
この時、モノス平原に出陣していた帝国側の兵の数は約2万。
アーカルム側の待機兵は約1万の計3万を迎え撃つことになる。
対する解放軍とシグマ側の連合軍の数は6千。
数の上で既に解放軍側が圧倒的に敗けていた。
それに加え、敵の大将は帝国最強のレイン将軍。
そして、その配下の有能な将校たち。
そんな不利な状況でも勝ち目を見出すのが、カジハラ。
今回の最前線にシロとミナスを配置。
ミナスの殲滅力を推し測ると共に最も信頼における部下であるシロを起用。
"シロ―――、今回は全力でいってもいいぞ。"
カジハラは戦い前にシロにそう伝えた。
ここまでの戦いでシロはほとんど全力で戦っていない。
かしこまりました、ご主人様。
騎馬隊の先頭はシロ、その隣にミナス。
何で、ボクが先陣?
あのカジハラって人、何気に人遣い荒いよね~~もう。
でも、このシロって人、不思議と安心感がある。
こんな綺麗な女性でも、見た目とは違って、とても強いんだろうな。
面倒な戦闘は全部この人に任せちゃおう。
ミナスがそんなことを考えている間に敵陣が見えてきた。
「うっわ、すっごい人多い―――」
「あの中に斬り込んでいくの?」
2万近い人の中に4千の部隊が斬り込む。
2万人とはいえ、横に広がっている状況であれば、4千人でも一点突破することは難しくない。
「皆さん、私に付いて来て下さいねっ!!」
シロの眼の色が変わった。
これから血生臭い戦いをする者の眼だ。
「聖なる神槍!!」
シロが異空間から武器を取り出す。
アレはボクと同じ、収納のスキル―――
ボク以外にこの世界で使える人がいたんだ。
この世界に来てから今までいくつか戦闘を行ってきたが、ミナスは本当の強者と出会ってきていない。
しかし、このシロは彼らとは別格。
「竜槍波!!」
「つ、突き抜けたっ!!」
「流石、シロさん!」
シロの一突きで帝国兵がなぎ倒されていく。
その光景たるや圧巻の一言。
シロの突入で解放軍の士気もぐんと上がる。
「この解放軍共がっ!!」
敵も負けじと応戦するが、勢いに乗るシロは止められない。
4千人が一本の槍のように帝国軍を貫き、突き進む。
「アーカルムの正門には誰一人近づけさせるなァーー!!!」
「魔法隊構えッ!!」
「帝国魔導の恐ろしさ、味わわせてやるっ!!」
「放てエエェーーーっ!!」
「氷嵐葬!!」
氷系の魔法か―――
まぁ、ボクには効かないけど―――
「白の闘気!!」
「私の魔法で、皆さんをお守りします。」
「これで寒くないハズです。」
シロの魔法で戦闘を行く、戦士達の周りに白い衣が出来上がる。
氷系の魔法を緩和する効果があるようだ。
「竜槍波!!」
魔法隊に対しても容赦なく、必殺の技を叩き込む。
「オラアアァァーーー!!」
そんな時、帝国の妨害が入る。
前方から棍棒を持った大男がやって来た。
シロへその巨大な棍棒を振り下ろす。
「竜槍波!!」
コレに対して、シロも竜槍波で迎撃。
二人の間に衝撃波が巻き起こる。
「私の竜槍波を受け切りますか―――」
「貴様、女の癖に中々やるじゃねェーか。」
「帝国の兵にしては中々、やるようですね。」
「それはこっちのセリフだ。」
「解放軍にしちゃ、やるようだ。」
「いいでしょう―――」
「冥途の土産に名前を聞いて差し上げましょう。」
上から目線のシロ。
自分が敗けるなど露ほどにも思っちゃいない。
「強気な女は嫌いじゃあねェーぜ!!」
「俺の名前はザルーグ!ザルーグ-ティ-フォーメンツだ!!」
「帝国の大佐に位置する者だ!!」
「貴方が大佐―――」
「なるほど、貴方レベルが大佐であるということを理解しました。」
シロはなるほどという顔をする。
別に煽っているわけではないが、本心から出た言葉だった。
その態度がザルーグを怒らせた。
「このクソメスがアアァァーーー!!!」
「竜槍爆波!!」
「な、なにィー!?」
シロがさらにギアを一段上げる。
その矛はザルーグの首など目ではない。
一瞬だった―――
一撃でザルーグを倒したのだった。
「皆さん、先を急ぎますよ!!」




