第49話 星の巡る地①
~星霊都市アーカルム近郊~
カジハラ達の率いる軍がアーカルムに近づく。
馬を走らせること、2日―――、視界に入る所までやってきた。
後半日程度走れば、到着する所まで視えてくる。
「よ~~し、少し休憩だ―――!!」
「各自、馬を止めてテントを張る様に各隊に指示を出せッ!」
「これだけの軍勢でやってきたのだ―――」
「当然、向こうも気付いているのではないか?」
ジュリエッタはカジハラに尋ねる。
ジュリエッタはバルクールで大きく負傷していたが、傷口も完全に塞がらないまま、今回も参加していた。
自分が将軍であるという責任感があるからだ。
「当然、気付ているだろうなァ―――」
「だが、休息は必要だ。」
「休息を取らなければ、明日からの戦いは厳しいものになるだろうよ。」
カジハラは既にこの戦いの戦略を練っている。
「各隊の隊長を集めろ!!」
「軍略会議をすぐに始めるぞっ!」
千人隊の隊長が3名に3人を仕切るジュリエッタの4人、それとカジハラとシロの計6名が天幕で会議を始めた。
シグマ全体が分かる地図を広げる。
そこに今の自分達がいる位置を示し、作戦を話始める。
「今回の作戦は基本に忠実になって正面突破だ!!」
カジハラはそう口にした。
「バルクールで行ったような3方向で同時に攻めるのではなく、一方向からの攻撃という訳だな?」
「あぁ―――、バルクールとは違って、アーカルムの城壁はそれほど高くない。」
「だが、左右と後方が高い山に囲まれているだろ―――」
「この崖があるから、正面以外は攻めにくい。」
「だからこそ正面突破だ!!」
「ちょっと待て―――」
「そんなこと敵も充分に把握しているであろう―――」
「それを敢えて正面突破にすると云うのか?」
「そうだ―――」
「だが、ただの正面突破じゃない。」
「敵はこちらが攻め込むことを分かっている。」
「当然、それを迎え撃つ為の戦力をぶつけてくるはずだ。」
「そこで、戦力を3分割にする。」
「まず、正門を打ち破る隊、そして追撃の騎馬隊、最後に後方の魔法・弓矢隊だ。」
「正門を破った後に追撃の騎馬隊が攻め込み、後方の魔法・弓矢隊が前線のサポートを行う。」
「その正門を破る隊の成功は難しいように思えるが?」
「そこに戦力を集中させる―――、シロ!お前が特攻隊の指揮を取れ!」
「承知しました―――、ご主人様。」
如何に帝国が強敵であろうともシロなら突破も難しくないだろう。
カジハラはそう予想していた。
しかし、後にこの予想は大きく外れることになる。
「シロ―――、例の魔導士をお前の部隊に入れてやる。ヤツの監視も怠るなよ。」
カジハラはシロの耳元でそう囁く。
帝国はアーカルム内での戦闘は避けたがるハズ。
なにせ、あそこはシグマにとっても帝国にとってもかなり重要な地。
星を巡る精霊の声が聴ける地だから―――
~星霊都市アーカルム~
「レイン様~~!!大変です!!」
「この都市に大軍が迫ってきております!!」
「・・・・・・・。」
中年のベテラン伝令が跪いて、状況を報告する。
レインと呼ばれた騎士は言葉を返さない。
何かを考えているのだろうか。
「レイン様??」
「皆に伝えなさい―――」
「迎え撃つ準備をしなさいと―――」
「ハッ!!」
「私も出ます―――」
「レイン様、自らが!?」
「何か問題でも?」
「い、いえ、そのようなことは―――」
レイン様のお考えは、凡人である私には測り知れないことがある。
黒剣将軍レイン―――
帝国最強のランスロットにも並ぶとされている将軍。
彼女は黒の光沢のある鎧を身に纏い、その腰にはズッシリとした重厚感のある黒剣を引っ提げている。
その表情は感情を失っているように冷たい。
彼女が前線の指揮を取り、解放軍を迎え撃つ為、動き出した。




