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誰かボクを殺してくれ ~不老不死でLv.-9999の災厄ダウナーは今日も死にたがる~  作者: ゆに
第2章 災厄のダウナー

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第46話 城塞都市バルクール攻略戦⑦


~城塞都市バルクール 帝国軍部内~

 

 ジュリエッタはオルスのペット、エルグに敗れ、絶体絶命のピンチ。

 

 そんな中、どこからか現れるカジハラ。

 

 彼は既にこの闘いの結末を頭に思い描く。

 

 「なんだァ!?ネズミがまだ一匹紛れていたのか?」

 

 

 「ご主人様(マスター)!!」

 

 

 「カジハラ殿!!」

 

 全員がカジハラに注目する。

 

 彼は不敵な笑みを浮かべ、ジュリエッタが倒れている方向へと歩を進める。

 

 

 「オレっちはどれだけ"楽"をして勝つか―――、それを常に考えて生きている。」

 「努力、研鑽、尽力、勤勉、精励・・・自分は頑張ったんだから報われる?」

 「ハッ!?アホが―――、やりたいヤツは勝手にやってろ。」

 「オレっちは最低限でいい―――」

 「最低限の努力で最大限のメリットを掴み取る!」

 

 

 カジハラはケラケラと笑いながら近づいて来る。

 

 「テメェ―、何の話をしている?」

 

 オルスは睨みつけ、敵意を向ける。

 

 「オレっちがここにいる理由(わけ)だよ―――」

 「見ろ、オレっちはここに来るまで、服に汚れ一つ付いちゃいねェ―――」

 「一切の戦闘をすることなく、優雅にここに―――、敵の親玉であるアンタの前までやって来ることが出来た。」

 

 

 「ア"ァ"―――!?それがどうした!」

 「どうせ、テメェーもその女と同じでエルグの餌になるんだよォ!!」

 

 カジハラは近くに倒れているジュリエッタを一瞥する。

 

 そして、フッと笑みを漏らす。

 

 「おぉー、コレはジュエル王国の将軍閣下ではないですか―――」

 「瀕死の重傷で倒れ、一歩も動けない―――、このままではあの化け物に食われてしまう!!」

 「コレは一大事だ!!」

 

 

 カジハラはわざとらしく声を大きくして、周りに聴こえるように云った。

 

 「なぁ、解放軍の諸君!ジュリエッタ殿は解放軍にとって、重要人物―――」

 「そうだろ?」

 

 

 「は、はい!隊長は我々にとって、いや王国にとって、無くてはならない存在です!!」

 

 

 「ほぉ、ではこんな所で死ぬわけにはいかない―――」

 「違うか?」

 

 

 まるでジュリエッタの部下達を試すかのようだ。

 

 

 「はい、隊長を死なせたくはありませんっ!!」

 

 

 カジハラにどんな意図があろうが、関係ない。

 

 ここでジュリエッタに死んでほしくないという思いは全員が共通で持っていた。

 

 それにエルグとかいう化け物に唯一対抗できるかもしれない戦力を動かせるのはこのカジハラという男だけ。

 

 隊員たちは必死だった―――

 

 もしかしたらカジハラが助けてくれるかもしれないと思ったからだ。

 

 「フフン・・・解放軍とは現在同盟状態―――、それもこちらから提案し、我が国の為に闘ってくれている。」

 「これを見殺しにするわけにはいかない―――」

 

 そんな言葉で隊員たちに希望が湧いた。

 

 カジハラがジュリエッタを助けてくれると―――

 

 「いいだろう―――、君達の期待通りジュリエッタ殿を助けよう―――」

 

 

 「ほ、本当ですか!?」

 

 

 「あぁ、このカジハラに二言はない。」

 「ただし、一つだけ条件がある。」

 

 

 「な、何でも言ってください!」

 

 

 「なぁに、大したことじゃあない―――」

 「今回はオレっちが助けるが今度オレっちが困ったら、オレっちの味方になってくれ。」

 「ここで全滅するよりはいいだろ?」

 

 

 カジハラはそう提案してきた。

 

 内容はよく分からなかったが、要するに困ったときはお互い様ということだろう。

 

 確かにここで全滅するよりはいい。

 

 命あってこそ。

 

 それに敵は眼の前―――、いつ襲ってきてもおかしくはない。

 

 

 「分かりました!お願いします!!」

 

 「契約成立♪」

 

 カジハラはニヤリと笑う。

 

 スクロールをどこかから取り出し、一瞬で何かを書き取り、また仕舞う。


 そんな動作を見せた。

 

 「もう、話しは終わったか?」

 

 今度はオルスが話しかける。

 

 「待っててくれるとは随分優しいんだなァ―――!!」

 

 

 「冥途の土産というヤツだ・・・最後くらい好きに話をさせてやろうと思っただけさ。」

 

 

 オルスは余裕気な感じだ。

 

 エルグという強大な戦力を従えているからの余裕だろう。

 

 「フフフフ・・・・」

 

 

 「フフフフ・・・・」

 

 カジハラとオルスは互いに笑いが零れる。

 

 似たもの同士か?

 

 いや、それは違う―――

 

 コレはカジハラの挑発。

 

 オルスの指示を誘う演技。

 

 

 「よし、エルグそいつから喰ってしまえ!!」

 

 「グヤアアアァーーーっ!!」

 

 恐ろしい雄叫びを上げ、カジハラに襲い掛かる。

 

 「古の時代から人間は何かを支配してきた―――」

 「人間の欲望がそうさせてきた。」

 「道具や動物―――、人間に至るまで。」

 「それは何かを成し遂げるのに必要な事で、支配者に強烈な優越感を感じさせた。」

 

 

 「・・・・エルグ何をしている、早く戻って来いっ!!」

 

 

 オルスが命じる。

 

 カジハラを襲ってからピクリとも動かなくなった。

 

 それに違和感を感じる。

 

 

 「なぁ、オルス―――、お前に一ついい事を教えてやる―――」

 「支配者はお前だけじゃない・・・。」

 

 

 「ギギギギ・・・・」

 「バウアアァーーーっ!!」

 

 

 エルグはくるりと反転して、その狂暴な顔を今度はオルスへ向けた。

 

 「ッ―――!?」

 「エルグっ!どういうつもりだ!!」

 

 

 

 「な、何が起こったんだ?」

 

 ジュリエッタの部下達はその光景に目を疑う。

 

 先ほどまでオルスのペットだったエルグが今度はオルスに襲い掛かったのだから。

 

 

 「万物使いオールマスター・・・。」

 「人間も竜も亜人も天使も悪魔も生者も死者も動物も植物も鳥も虫も魚も道具も無能も有能も偉い奴も偉くない奴も謙虚な奴も傲慢な奴も冷静な奴も熱烈な奴もクズも真面目も高給取りもホームレスも―――」

 「オレっちに掛かればみんな、み~~~んな操れるッ!!オレっちは支配できるッ!!」

 「それがオレっちの能力―――」

 

 

 

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