第43話 城塞都市バルクール攻略戦④
~城塞都市バルクール~
チッ・・・こんな所まで攻め込まれるなんて、どうなっている。
それにコイツ等、よく見たらボロボロ―――、満身創痍でこんな所まで来やがった。
先頭にいるのが女二人―――、解放軍はこんな女をリーダーに置かなきゃいけない程、人材不足なのか?
「こっちは面倒だから二人掛かりでも構わんのだぞ?」
ザジが挑発めいたことを口にする。
実際、それだけ自分の武力に自信があるということだ。
「ふざけるな!!」
ジュリエッタが剣を構え、ザジの方へ走り出す。
向こうの方が身体がデカい―――、2メートル近い大型の男。
対するジュリエッタは小柄の女騎士。
機動力はまずまずってカンジか?
キイィィィーーーン!!
ジュリエッタとザジの剣が交じり合う。
ハタから見たら大人と子ども位の体躯の差に思える。
俺はこれまで数えきれない程、人を斬ってきた―――、中には女や子どももいた。
「俺に剣を向けるってことは女、子どもだろうと容赦は出来んぞ?」
ザジはジュリエッタを睨みつける。
本気の殺気を垂れ流して、そう口にした。
「手加減してもらおうなどとは思っていない!!」
「それより敗けた時に手を抜いていた等と言わんことだなっ!!」
二人はさらに剣を交える。
実力は同じ―――?
いや、あのザジとかいう男の方が上手のようですね。
シロは近くで二人の闘いを見て、冷静に分析する。
そんなシロの分析通り、徐々にザジが優勢の展開になっていく。
「おい、女ァーー!!さっきの威勢はどうしたアァーー!!」
「もうへばっちまったのかァ!?ア"ァ"っーー!?」
「クッ・・・。この男、口先だけじゃない―――」
とにかくその怪力から繰り出される一刀が重い。
まともな打ち合いではジュリエッタの分が悪い。
これまでの実践から培われた受け流しの技術を用いてもその力の全てを流しきれていなかった。
それにジュリエッタの方は早く突破しなければ、敵の援軍が来てしまうという焦りもあったのだろう。
徐々に戦局は悪くなる―――
「閃光剣技:光の剣!!」
ジュリエッタの剣が光の魔力を帯びる。
ジュリエッタは光の魔法の適性を持つ。
光の魔法適正は珍しい。
しかし、彼女はそれだけで満足せず、幼い頃から剣の腕を磨いてきた。
王国を守る為―――、その全てを注ぎ込んできた。
その弛まない努力の末、若くして、ジュエル王国の将軍の一人へと至る。
だが、そんな彼女の才能も努力もそれ以上の者の前では霞んでしまう。
二ヤリっ・・・!!
ザジが不敵な笑みを浮かべ、ジュリエッタの剣を難なく受け止める。
この男には全てが視えたのだろう―――、剣を通してジュリエッタという女性のすべてが。
「ウオオオォオォォーーー!!!」
ザジが吠える。
自らの勝利を確信したからだ。
敵味方関係なく、周囲の者は皆、その音量から耳を塞ぐ。
そう、シロ以外は―――
「努力、才能、人格―――、アンタは積み重ねてきたようだなァーー!!」
「あぁ、それはとてもスゴイことだ―――、だがなァーー圧倒的な力の前では無駄なんだヨォォォーーーーッッ!!!」
ドオォォォーーーン!!!
鈍い音が響き、ザジの一刀がジュリエッタの鎧を切り裂いた。
「クッ―――!?」
ジュリエッタの鮮血が勢いよく彼女の身体から噴き出す。
早く止血しなければその命すら危うい。
「シロ殿・・・どうか隊長の加勢を―――」
ジュリエッタの部下の一人がシロに頼む。
シロはその言葉を聞くと、その部下の方を見て、少し微笑む。
その表情は男達が見惚れる程、美しかったという。
「ジュリエッタさんはそれを望まないでしょう。」
「貴方もジュリエッタさんの勝利を願うなら信じるべきです―――、あの方は貴方達のリーダーなのですから。」
「隊長!隊長!」
「隊長!隊長ーっ!」
「隊長!隊長ーーっ!」
ジュリエッタへのエールが辺りから聴こえ始める。
数は少ない―――、しかし、彼らは必死に声を出す。
「うるさい連中だ―――、気持ちや思いで強さが変わる訳がない。」
「この俺達の実力は埋められんよォ!!」
「なぁ!?女ァーー!!」
「・・・ハァ・・・ジュリエッタだ―――」
「ア"ァ"―――!?」
「・・・私の名前だ―――、覚えておけ!!」
「はっ!これから死ぬやつの名前なんていちいち覚えていられるか―――」
「そう・・・じゃない・・・貴様を倒す者の名前だ・・・覚えておけと言ってる!!」
「何だァ!テメェー冗談のつもりか!?テメェーは俺の一撃を受けて瀕死!」
「こっから逆転するってのかァ!?ア"ァ"ーー!!フカシてんじゃねェーぞ!!コラッ!!」
ザジはジュリエッタの言葉に激高する。
そして、トドメを刺そうとジュリエッタに斬り掛かる。
対するジュリエッタ―――
眼の前が霞んできた・・・傷が痛む。
今すぐ倒れたい。
だが、私はこの男を倒すと決めた。
このまま帝国にいいようにされる等、あってはならない―――
コレは王都を護れなかった私の罪だ。
決して絶望するな―――、長く打ち合っていたおかげでこちらもヤツの太刀筋は見え始めている。
ジュリエッタは静かに剣を構える。
そして、ザジを待ち受けた。
カウンターを狙っている。
「ひしゃげて潰れろオォォォーーー!!!」
ザジの無情な一刀が振り下ろされる。
フゥ―と一呼吸。ジュリエッタは深呼吸をする。
私の剣は静の剣―――、荒々しく振るうヤツとは対極。
この一刀に全てを賭ける―――
シロ殿・・・後はお任せします。
「閃光剣技:閃光の剣戟!!」
その速さに周りにいた者は瞬きを忘れてしまった。
「ア"ァ"―――!?」
「アンタ・・・どこにそんな・・・力が・・・??」
ドサっ―――!!
「ハァ・・・ハァ・・・私の名前はジュリエッタ-トライン・・・貴様を倒した者の名前だ!」
「覚えておけ!!」
「隊長オォォーーー!!!」
ザジを斬り伏せ、ジュリエッタもその場に倒れた。




