第41話 城塞都市バルクール攻略戦②
~城塞都市バルクール~
バルクール解放作戦が始まった。
まずは作戦通り、騎馬隊数千が南北の城門に目掛けて突撃を開始した。
「おぉ~~、本格的な戦争って初めて見たけど中々壮大だなァ~~。」
ミナスは高台からその様子を眺める。
敵に悟られないように別動隊が西の城壁を目指す。
「皆さん、こちらです―――」
シロがミナス達を案内する。
目立たないように少数で移動している。
「そう云えば、カジハラさんってどこに行ったんだ?」
兵士の一人がそう呟く。
ジュリエッタもその言葉が耳に入り、辺りを見渡す。
確かにいない―――
「ご安心ください、ご主人様は別で動いております。」
ジュリエッタの心を見透かすようにシロがそう口にする。
シロ殿の力は認めるが、あの男の力は実際にこの眼にしたわけではない。
あれほど強いシロ殿がご主人様という程の男―――
カジハラ ノゾム・・・それほどまでに恐ろしい男と言うことか。
「シロ殿・・・一つ尋ねてもよいか?」
「はい、何でしょうか?」
「何故、貴方はあの男に付き従うのでしょうか?失礼かもしれませんが、あの方より、貴方の方が余程強いように思える―――」
ジュリエッタは純粋に疑問だった―――
それだけ、シロの力量が圧倒的で、他の追随を許さない程だったからだ。
「それだけの力があれば、貴方だけでも帝国とだって戦える!」
「それなのに何故ですか?」
「フフっ、ジュリエッタさん―――、貴方はまだご主人様の偉大さを分かっていない。」
「それに"面白い"んですよ―――、私があの方を慕うのはそれが理由です。退屈だった私の日常にあの方は必要なんです。」
シロは笑みをこぼしながらそう云った。
「面白い・・・?」
ジュリエッタには理解が出来なかったが、そんなやり取りをしている内に西の城壁まで辿り着いた。
「着きましたね―――、帝国兵はここにはいないみたいです。」
着いたはいいが、この城壁をどうするつもりだ・・・?
シロ殿の力で壊す?
こんな分厚い壁を物音も立てずに?
「皆さん、離れていてください―――」
そう云って、シロは城壁に手を当てる。
皆に緊張が走る。生唾を飲み込み、シロに期待を寄せる。
ミナスだけはその力にどこか懐かしさすら感じている。
この雰囲気・・・次元の狭間にいた魔物級?
「曙光の瞬き!!」
「ッ―――!?」
シロの手が光ったと思ったら、一瞬で城壁が音もなく崩れ去った。
円状の軌跡で綺麗に穴が開いた。
先ほどまで城壁だった物は砂のような粉になっている。
これは魔法?それとも全く別の何か?
「一体、何をしたのですか?」
ジュリエッタはシロに詰め寄る。
理解の及ばぬ力だということだけは分かる。
「少し力を解放しただけです―――」
「それで音も立てずにこの硬い城壁を・・・やはり、貴方だけで帝国と渡り合えるのでは?」
「ジュリエッタさん・・・貴方も一国の将軍なのであれば分かるはず。」
「戦争は数と戦略です。どれだけ個の力が優れていようが、数と戦略の前では搦めとられてしまいます。」
「うっ・・・確かにその通りだが―――、貴方の力は尋常ではない!」
「それに私は貴方達と違って、圧倒的に足りないものがあります―――」
「・・・というと?」
「それは"国を守らんとする意思"です。」
「私が守りたいものはご主人様ただ一人・・・あの方が撤退を決めたなら私はそれに従います。」
「そ、そうか・・・それは致し方ない―――、だが仮に貴公が闘ってくれるならこれ以上に心強いことはない!」
「話が長くなりましたね―――、先を急ぎましょう。」
シロとジュリエッタが先を行く。
ミナスとシータ達も後に続いた。
「何だか、この二人がいれば、ボク達の出番はなさそうだね~~。」
ミナスは呑気にそう口にする。
「ミナス様、油断は禁物です。」
「いかにあの二人が強かろうと敵はあの帝国―――、どんな手段に出てくるか分かりません。」
シータがミナスにそう告げる。
南北の城壁は騎馬隊が攻撃を仕掛けており、騒がしい。
帝国兵の目はあっちに傾いている。
「で、ボク達はどうするの?」
「敵将を見つけ出し、その首を取る!」
ジュリエッタが答える。
帝国に占拠されたこの国を治める者が必ずいる。
ソイツの首を取れば、指揮系統は乱れ、この都市の奪還に繋がる。




