第40話 城塞都市バルクール攻略戦①
~城塞都市バルクール 周辺~
簡易であるが作戦拠点を立て、帝国に占領された城塞都市バルクールを取り返す為の作戦を話し合っていた。
こちらの兵力は1万、取り戻してほしい主要都市は2つ。
この城塞都市バルクールと星霊都市アーカルムという都市の2つ。
まずは城塞都市を奪還する。地理的にこちらが近いという理由だ。
「それで何か策はあるのか?」
ジュリエッタがカジハラに尋ねる。
「あぁ、勿論だ―――」
カジハラは自信ありげに言い切る。
あの都市を攻略するのに大切なのはあの高い城壁と堅牢な門―――
城壁の周りには外敵を防ぐ兵器が無数に点在している。
これを攻略するには数万の兵力が必要となる。
しかし、帝国はこれをやりとげ、さらに攻略の難しい星霊都市アーカルムまで占領した。
それもこの数ヶ月という超短期間で。
「今度はこちらがそれを攻略しなければならねェー!」
「お前らも滾んだろォ?」
カジハラは地図を広げ、皆にそう云った。
「作戦はこうだ―――」
「まず、数千の騎兵で南北のそれぞれ城門を攻める。」
「数千の騎兵で?」
「あぁ、だが―――、これは囮だ。」
「本命は残りの兵力。」
「西側の城壁に穴を開ける―――、そこから侵入して、帝国兵を殲滅する!」
「城壁に穴を開けるって云ったって、どうするのだ?」
「そんなことをしたら大きな音がして、敵が気付くだろう!」
「そもそも簡単に城壁に穴が開く訳ないだろう!」
「いや、コレは気付かれない―――」
「まず、敵は南北から現れた騎兵に注意が向く。」
「それに音を立てずに穴を開ける手段をこちらは持ち合わせており、それに侵入する兵士は数百までに絞る。」
「だから―――、気付かれない。」
カジハラは自分の策が上策である自信がある。
そして、この男の言葉には不思議と説得力がある。
「分かった―――、それで行こう。」
「しかし、シグマからの支援はこれだけなのか?」
シグマからの支援された兵士は数百程度。
ジュリエッタはそのことを指摘する。
「あぁ、今回の作戦には間に合わない。」
「だが、案ずるな―――、お前達の前にはこのオレっちがいる。」
カジハラは自身を指差し、そう言い切る。
どこまでこの男は自分に対して、自信があるのか―――
「貴公が数千の兵に匹敵するとでも?」
「いくらなんでもそれは言い過ぎでは?」
ジュリエッタが当然の質問を投げる。
「あぁ、そうだ―――」
「オレっち自体が数千の兵力に匹敵する―――、いやそれ以上かもな。」
不敵な笑みを浮かべて、そう云うカジハラ。
ジュリエッタは疑問を持つ。
眼の前の男にそれだけの武力があるとは到底思えない。
寧ろ、一人分の武力すら怪しいくらいだ。
「力を示してほしいってか―――?」
「いいだろう―――、おい、シロ!お前の力をコイツ等に見せてやれ!!」
「はい、ご主人様。」
そう云って、現れたのがとても美しい女性だった。
シロと呼ばれた白を基調とした衣装を纏った白い女性。
突如として始まったジュリエッタとシロの模擬戦。
向かい合う二人。
そして、向かい合って初めて気づく。
シロという女性の威圧感を肌で感じる。
「あの人・・・?」
「普通の人じゃない―――」
ミナスも観戦している。
シロという女性からただならぬ気配を感じていた。
それも次元の狭間に存在していたような魔物と同類の。
「いくぞっ!!」
ジュリエッタはその声と共に剣を抜き、シロへ斬り掛かった。
綺麗な太刀筋―――、その全てをシロは鮮やかに躱す。
「な、なんだとっ!?」
ただの従者と思っていた女性が鍛え上げた自分の剣技を完璧に躱していた。
そのことにジュリエッタは驚愕する。
「もう終わりですか?」
「・・・・っ!?」
「それではこちらからいきます―――」
シロは反撃に出る。
それはまさしく一瞬。
「ッ―――!?」
周りで観戦していた兵士たちは驚き、口が塞がらない。
ジュリエッタもまた自分が何をされたのか分からない。
ただ優しくシロが近づき、ジュリエッタの首を撫でるように叩いた。
「えっ・・・!?」
ジュリエッタの足がカクっと崩れ、膝が地に着く。
それで勝負は決した―――
な、なんだ?何をされた?
ジュリエッタとシロの模擬戦―――、シロの圧勝で幕を閉じる。
「これで認めるか?オレっちの云ったことを。」
まるで手加減された・・・全然、このシロという女は本気でやっていない。
「っ・・・あぁ、認めよう。」
「貴公らの力を―――」
こうして、城塞都市バルクール攻略戦が始まった。




