表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

第4話 お転婆王女が復讐しようと誓った日【リアside】

どうもゆにです。


リアがミナスと出会う前の話です。

読者の皆さんが楽しんでくれたら嬉しいです。


~王都トパーズ~

 

 ジュエル王国の王都トパーズ―――ここは私の祖国、私はここの第三王女、父さんと母さんは私にとても甘く何でも好きなモノを買ってもらえる。

 

 私は、勉強も魔法も武芸もあんまり上手くてできなくて、毎日苦労している身である。家庭教師の先生たちを毎日困らせてしまっている。

 

 逆に姉さん達は優しくて、頭も良かったり、魔法が得意だったり、とても憧れる存在だ。とても私のことを可愛がってくれる。

 

 国民の皆も私たちのことをとても信頼しており、国民たちの暮らしも贅沢とは言えないまでもそれなりの生活を送れていると思っている。

 

 周りからはよくお転婆王女~なんて呼ばれていたりもする。

 

 そんな何も不満がない生活を送っていた中で奴ら・・はやってきた。

 

 

 帝国が周辺諸国に侵略戦争を仕掛け始めたのだ。

 

 帝国の動きは当初から警戒されており、世界連盟でも度々取り上げられる程だった。

 

 私はそういった政治にはあまり関わっていなかったが、帝国が何やら怪しい動きをしているということは父さんから聞いてはいた。

 

 でも、その時はふ~ん位にしか思っておらず、まさかあんなことになるなんて夢にも思っていなかった。

 

―――――――――――――――――――

|~アルメンセス暦22310年/07月/02日 ~|

―――――――――――――――――――

 

 この日、帝国軍が侵攻を開始した。

 

 突然、眩い光が天を覆いつくした。王都を突如として、無数の流星群が襲ったのだ。

 

 その流星群によって、王都の家々は破壊され、あっという間に街中は火の海へと変わった。

 

 そして、それが合図であるかのように帝国の兵器が侵攻してきたのだ。

 

 私たちの国では剣や魔法が主体の戦術を取る。しかし、帝国の用いていた兵器はそれとはまったく違うモノだった。

 

 見たこともない兵器―――二足歩行の魔工金属に覆われた機械。

 中には操縦者がいるのだろう。手や腹からは魔法の光線を放ち続け、周囲の家々を破壊し続ける。

 

 勝ち目など存在しなかった。

 

 鉄製の剣を持った相手に竹やりで挑むような物なのだから勝てるハズもない。城の兵士達も次々と悲鳴を挙げ、殺されていった。

 

 私はその様子をただ眺めていることしかできなかった。

 

 一国の王女のなんとも無力なモノよ。

 

 リアは初めて己の無力さを痛感させられていた。こんなことならもっと剣術も魔法の授業も真面目に取り組んでおくんだったと、後悔していた。

 

 しかし、そんな後悔もいまさらもう遅い・・・・

 

 城内は既に火の手が上がっている。城内は阿鼻叫喚に包まれていた。兵士だけでなく、城で働いていた庭師、料理人、メイドも容赦なく殺されて、死体がその辺に転がっていた。

 

 地獄のような光景だった。

 

 リアは必死に両親のいる広間まで向かった。その震える足を動かして...。

 

 広間までたどり着くと、そこには、紅いマントを羽織った、肩から右手まで全てが機械仕掛けで顔の半分に酷い火傷の後がある騎士が父上を惨殺していたのだ。さらに、母親もすぐその横で血を流しながら倒れている。

 

 「父さんッ!!」

 リアは必死に父親の元へと駆け寄ろうとする。

 

 「お前...見たことがあるぞ...お前はもしかしてお姫様か?」

 「確か、第三王女のリア姫だったな...?」

 

 「アンタね!父さん達を殺したのはッ!!」

 「許さない...!!」

 リアは懐に隠し持っていた剣を抜き、右腕が義手の男へと斬りかかる。勿論、相手の方が上手だとは分かっている。それでも許すことはできなかったのだ。

 

 「両親の後を追うか...!」

 「フッ、それもいいだろうッ!!」

 

 男は簡単にリアの持つ剣を弾き飛ばした。その衝撃でリアは後ろへ倒れてしまう。

 

 男はリアに剣を向け差し迫ろうとしていた。

 

 その瞬間、男の後ろからまた別の男が現れた。今度の男は眼帯をしたオールバックの男だ。

 

 「オイッ!何をしている!ルード!!」

 「王族は生け捕りのハズだ!!」

 「なぜ殺したッ!!答えろ!!」

 オールバックの男は辺りの惨状を見て、激昂していた。どうやら王族は生け捕りにするという命令が下っていたらしい。

 

 「隊長さんよォ...!」

 「アンタだって知ってるだろ、オレが王だの貴族だのが気に食わないことを!」

 「コイツ等は甘んじていたに過ぎないんだ!」

 「己の立場を盾に民衆から得た税で、己の私腹を肥やしていた!!」

 「そんな奴らを許していいのかい?」

 

 「下らんな...許す許さないを決めるのは我々ではないッ!!」

 「皇帝陛下だッ!!」

 隊長と呼ばれた男は、ルードを睨みつける。

 

 「ヘイヘイ...!分かりましたよッ!!」

 「じゃあ...コイツリアは殺さないでおいてあげましょう!!」

 ルードはやれやれといったポーズを取り、火の海と化した城内へ姿を消していった。

 

 「まっ、待ちなさいッ!!」

 リアは必死にルードの後を追うとした。しかし、隊長と呼ばれた男がそれを許さなかった。

 

 「待つのは貴様の方だ!!」

 腹の当たりを掴まれ、身動きを封じられる。

 

 「な、何をする!!私を誰だと思っているのだ!!」

 「私はこの国の王女、リア-ジュエル-アルベスタだぞ!!」

 

 「そんなこと知っとるわ!」

 男はリアを持ち抱えながら、リアに外の景色を眺めさせる。

 

 「この国の惨状を見るがいいッ!!」

 「もはや、この国は終わりだ!!」

 「もうじき我ら、帝国軍の支配下に置かれることになるだろう!!」

 

 「アンタら、帝国軍のせいだろッ!!」

 リアは男を睨みつけながら、そう言い放つ。

 

 「いや、違うな...!」

 男は、火の海と化した街を見ながら、想いにふけたように言った。

 

 「じきにこの世界は皇帝陛下のモノとなる!!」

 

 「何だと!?」

 

 「見ろッ!あの魔導兵器の数々、そして我が兵士たちの強力なスキルの数々を!!」

 「貴様ら、諸外国がチャンバラごっこをしている間に我が帝国は遥か先に行った!!」

 「だから、貴様ら帝国以外の国は、民は我が帝国によって支配されるべきだ!!」

 

 「そんな暴論が通るとでも思っているのかッ!!」

 リアは反論する。確かに帝国の兵器や武器、兵士が強かろうと、周辺諸外国だって強力な兵器や兵士などたくさんいるだろう。それらが協力し合えば、いくら帝国とて自由にはできないハズだ。

 

 「フフフ...それはこれからの我らの活躍次第といった所だな!」

 

 「私をどうする気だ!?」

 

 「皇帝陛下へと引き渡す!」

 

 男がそう言い切った、その瞬間、一人の別の男の声がした。

 「リア様!!ご無事ですか!!」

 

 隊長と呼ばれた男へと一閃を放った。

 

 「チッ、まだ兵士が残っていたか!?」

 隊長と呼ばれた男はリアを地面へ放り投げ、剣を抜いて応戦する。

 

 「ファルカス!!」

 ファルカスと呼ばれた男は、王族の親衛隊長を務める男、魔法こそ使えないが、その剣の腕は王国一を誇る。

 「リア様!これを使ってください!!」

 そう言って、ファルカスは腰から黄土色の石をリアの方へと放り投げた。

 

 「コレは...?」

 リアはその石を手に取り、ファルカスに尋ねた。

 

 「その石は転移石といって、一瞬で数キロ先へと転移できます!それを天に掲げて、脱出を念じてください!」

 

 「させるかッ!!」

 

 「おっと、リア様へ斬りかかろうなんて百年早いんだよ!!」

 

 隊長と呼ばれた男はリアへと斬りかかろうとするが、ファルカスによって阻まれる。

 「チッ、雑魚が...!」

 「雑魚は大人しく、くたばっていればいいのだァ!!」

 

 「ファルカス!!」

 突如として、バンッという高い音が響き、ファルカスの胸に穴が開いた。

 

 「フム...やはり私に拳銃コレは性に合わんな...!」

 隊長と呼ばれた男は左手に黒い銃を持ち、ファルカスに向けて撃ったのだ。

 

 「行ってください...!リア様...!」

 ファルカスが倒れると同時に、リアは転移石を使って城内から脱出した。

 

 「許さないッ!!帝国のヤツら...!!」

 「アイツら...絶対に後悔させてやる!!」

 脱出したのは歯をキリキリと噛みしめ、怒りで震えた。

 この日、リアは帝国の復讐を誓ったのだ。

 

 しかし、脱出したのはいいが、リアはその場へと倒れて、気を失ってしまった。どうやら、城内の煙を吸い過ぎてしまったのだ。

 

 

 この日を境にジュエル王国の領土は、次々に帝国の侵略されていくこととなった。

 

 

―――――――――――――――――――

|~アルメンセス暦22310年/07月/04日 ~|

―――――――――――――――――――

 

 気が付くと、両腕に手枷を嵌められ、首輪を付けられていた。ボロボロの服を着せられ、周囲には自分と同じ服を着させられ、自分と同じように手枷と首輪をさせられている者達がいた。

 

 リアは瞬時に自分が奴隷として売られたのだと気が付いた。

 

 あの後、王都はどうなったのか、自分には分からない。

 

 

 「おう、嬢ちゃん!起きたんか!?」

 「アンタはこれから奴隷として売られんだぜ!!」

 ゲラゲラと辺りからは男たちの醜い笑い声が聞こえた。

 男たちの会話を聞く限り、どうやら自分が王女だということはバレていない様だが、高名な貴族程度には思われているらしい。

 

 リアはそんなことを考えながら、馬車に詰め込まれ、運ばれていくのだった。

 

 

―――――――――――――――――――

|~アルメンセス暦22310年/07月/07日 ~|

―――――――――――――――――――

 

 あれから何日が経っただろうか...。

 

 恐らく、数日だとは思うのだが、如何せん外の景色がほとんど見えない。

 

 暗い中で身動きが取りづらい。

 

 今は昼なのか、夜なのかすら分かりづらい。

 

 これからどうなってしまうのだろうかと思っていると、突如自分たちを乗せた馬車が止まったのだ。

 

 「何が起きたんだ...?」

 リアはそう呟いた。

 

 暫くすると男たちの悲鳴やら何やらが聞こえてきだした。

 これはただ事ではないと足に忍ばせていた折り畳み式の果物ナイフを手に持つ。

 

 いざとなったらこれで...。

 

 リアはそう思い、果物ナイフを構え、ブルブルと震えていた。

 

 すると、馬車に入って来ようとする一人の影が見えた。リアはすぐさま男に斬りかかった。

 

 男に避ける隙を与えず、心臓を刺したと思ったが、ずっと暗い中に居たため目が慣れていないせいで狙いが外れて、左腕を切り裂いていた。

 

 すると、男は斬りつけられたにも関わらず突然、笑い出したのだ。

 

  "なんだこの男..."

 

 リオは内心その不気味な男の行動に動揺した。

 

 そうして動揺していると、男は急に自分を殺してくれとか意味不明な頼み事をしてきた。

 

 いや、普通に嫌だった。なんで、こんな見ず知らずの男の頼みを聞かなければならないのか...

 

 手枷と首輪を外してくれたから、あの野盗たちの一味ではないと思ったけど、普通に不気味でしょうがなかった。当たり前だが、何かあるのではないかと警戒してしまったのだ。

 

 そうして、断固拒否してやったら、いきなり気絶したのよね。流石にビックリしたわ。

 

 しょうがないから、木の陰まで運んで介抱してあげたけど、意味が分からないことに荷馬車や野盗たちはみんな手品みたいに消えて、辺りにはドロドロに溶けたスライムみたいな液体が散乱していたの。

 

 アレは一体何だったのかな。

 

 さらに、不思議なことに多分この男が通ってきた道だと思うんだけど、そこら辺の草木が茶色になって腐っていたのも驚いたわ。その時はもしかして、この男の魔法かスキルの影響かなって思うことにした。

 

 男が目を覚まして、話を聞くとどうやらこの男は不老不死で死にたくても死ねないらしい。だけど、私なら自分を殺すことができるとか、何とか...。

 

 そんな馬鹿なと思ったけど、希少な収納のスキルだとか、さっきの光景を見た後だとやはりこの男、只者ではないと確信したわ。

 

 だから、私はこの男、ミナスと取引をすることにした。帝国への復讐に協力するなら、私が貴方を殺してやるってね...。

 

 だから、私は決めたの...。

 

 

   "この男をトコトン利用して帝国に復讐してやろう!!"

 

 ってね...。

 

 こうして、リアの帝国への復讐劇が始まるのだった。

 

面白いと思ったらぜひブックマークお願いします!!

下の☆マークも押してくれると、とても喜びます。

そして、良ければ感想なども書いてくれたら嬉しいです。

↓こちらも連載しています。面白いので、ぜひ読んでみてください。

『エレベータに乗ったら異世界に来てしまった件』

https://ncode.syosetu.com/n2932fy/205/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ