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誰かボクを殺してくれ ~不老不死でLv.-9999の災厄ダウナーは今日も死にたがる~  作者: ゆに
第2章 災厄のダウナー

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第38話 最も人間らしい人間


~元領主インテグラルの屋敷~

 

 一体、この男はどこから入ってきた・・・!?

 

 警備兵が何十人もいたハズ・・・。

 

 それをこの男は音を立てることもなく、侵入できたと云うのか?

 

 この場にいた諸侯たちは皆、一様にそう思い、その場に固まってしまう。

 

 「リア様、お下がりください!!」

 「この男は危険です!!」

 

 ジュリエッタがリアを守る様に前に立つ。

 

 リアだけはあのカジハラという男からミナスとは違う異質さを感じていた。

 

 共和国シグマ・・・ジュエル王国の隣の国で同じように帝国の被害が拡大しつつあると聞く。

 

 

 「オイオイ、オレっちはただアンタらに話を持ち掛けに来ただけだ―――」

 

 

 「リア様、怪しすぎます!」

 

 

 「話・・・分かりました、聞きましょう。」

 

 「リア様!?」

 

 「ジュリエッタ、貴方が心配する気持ちは分かる。」

 「でも何故かこの人からはミナスとは違う異質さを感じる。」

 「話を聞くだけ聞いてみましょう。」

 

 

 「そう来なくっちゃ―――、話の分かるお姫様で良かったぜ。」

 

 

 ここに来るまで多少手間を掛けちまった。

 

 流石にお偉方の重要会議ってことで、警備は厳重。

 

 だが、オレっちに掛かればこの程度の警備なんてチョロかったぜ。

 

 カジハラはここに来るまで全ての警備兵を気絶させてきた。

 

 それも丁寧に優しく―――、眠らせるようにだ。

 

 そして、彼は自らの手を汚さない。

 

 全て、自らの優秀な部下にそれをやらせた。

 

 「マスター・・・。」

 

 カジハラの後ろには一人の真っ白で驚く程、美しい女性が佇んでいた。

 

 この女性はカジハラという男の従者であろう。

 

 少し、セディナ姉様に似ている―――

 

 「お前は外で待ってろ~~」

 「ここはオレっちの役目だ。」

 

 カジハラがそう云うと女性は一礼し、外へ出ていった。

 

 「さて、話だったな―――」

 「単刀直入に言う、シグマ共和国はアンタ等ジュエル王国解放軍と手を結びたいと考えている。」

 

 

 手を結ぶ―――、それはつまり・・・。

 

 「帝国を打倒するのに協力したいってこと・・・ですね。」

 

 リアが確認する。

 

 

 「まぁ、早い話、そういうことだ。」

 

 

 「リア様、コレは願ってもない話―――」

 「今は少しでも戦力が欲しい所。」

 

 北に領地を持つホルダー子爵もそう口にする。

 

 「シグマ共和国が帝国に苦戦しているという話は私も聞いてます。」

 「貴方の言ってることを信用しましょう。」

 

 リアがカジハラにそう云った。

 

 「しかし、シグマ共和国の方から話を持ち掛けるということは何か要求があるのでしょう?」

 

 リアが真剣な顔つきで聞く。

 

 帝国に王都を奪われてから日に日に大人びてくる。

 

 彼女はこれまでの経験で現実を知ったからだ。

 

 「あぁ、簡単に言えば、こちらも手を貸すが、おたくらの戦力も貸して欲しいって話だ。」

 「これまではお互いが別々で戦ってたが、これからは一つの個として戦うって感じだ。」

 「お姫様、アンタだって分かんだろ?帝国の恐ろしさは―――」

 「アイツ等は他の国より軍事力、技術力、統率力・・・全てにおいて周りの国の比じゃねェー。」

 「協力しなきゃ、太刀打ちできない。」

 

 カジハラはそう説いた。

 

 その口ぶりには不思議と説得力がある。

 

 分かってはいたことだが、改めて言われるとそうだなと思わせる確かな力があった。

 

 「今、私達は軍師を探している。」

 「シグマ共和国には優秀な軍師はいる?」

 

 

 「軍師?」

 「あぁ、とびっきりのヤツがいるぜェー」

 

 

 「分かりました―――、同盟の件、前向きに検討します。」

 「詳細については今後話し合いましょう。」

 

 

 「おっけー、早々に決めてくれてこちらも助かる。」

 

 「貴方達、長旅で疲れたでしょう。」

 「こちらで宿を用意させる。」

 「今日はそこに泊まって頂戴。」

 

 

 オレっちが不審な行動に出ないように監視か?まぁ、いいだろう。

 

 

 「分かった、そうさせてもらうぜ―――」

 

 こうして、カジハラという男との話は終わった。

 

 

 案外、話の分かるお姫様で良かったぜ―――

 

 もっとガキを想像していたが、アレはアレで修羅場いくつか潜って来てるな。

 

 

 人間は太古の昔から勝利する為にあらゆるものを利用してきた。

 

 このカジハラという男は自分の目的を達する為なら何であれ利用する。

 

 それを恥じること等、決してない。

 

 カジハラはそれらを兼ね備えている―――

 

 勝つ為に必要な要素を。

 

 「おい、シロ、宿を用意したらしいからそっちに行くぞ~~。」

 

 「かしこまりました、ご主人様(マスター)。」

 

 「宿に着いたら飯と風呂、寝床の用意をしろ―――」

 

 「はい、かしこまりました―――」

 

 「これから楽しくなるぞ~~~」

 

 

 カジハラのこと評するであればこうだ―――

 

 『最も人間らしい人間』と。

 

 

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