第27話 命を狙われるなんてとても幸せなことだな
~カーネリアン砦 周辺の山道~
夜中に魔物駆除のため外に呼び出されたミナス―――
魔物の駆除を終えたミナスの脇腹をシータはその手に握る忍者刀でグサッと刺した。
「えっ―――!?」
「えぇ~~~~!?」
ミナスは突然の出来事で驚く。
痛みはスキルによって遮断しているから特にない。
不老不死の身体が傷をすぐに再生させる。
身体に空いた穴はすぐに塞がってしまう。
「ッ―――!?」
今度は逆にシータが目を見開き、唖然する。
「あれェ~~~~??知らなかったの?」
「ボクは刺されたくらいじゃ死ねないんだよ―――」
ねっとりとしたボイスで優しくそう口するミナス。
何だこの男は―――!?
シータは次にどうするか考える。
ミナスを抹殺しろと命令された。
故にそれを実行しなければいけない。
退路はない。
シータは懐から何本もクナイを取り出し、それをミナス目掛けて力いっぱい投げつける。
「おぉ~~上手だなあぁ~~~!!」
「全部人間の急所に当たってるぅ~~。」
「相当、訓練したんだねぇ―――」
全てミナスの身体にヒットしている。
それも恐ろしい精度で―――
しかし、ミナスは不死身。
全てのクナイがミナスの身体に飲み込まれ、消化される。
「クナイもダメならば―――」
シータは指を組み替え、印を結ぶ。
忍術を使用するには魔術師たちが使用している魔力と同様のモノを必要とする。
忍術はエネルギーの変換の仕方が違うだけで、根っこの方は魔法と変わらない。
印を結び終えたシータ。
「忍法:紫電穿!!」
轟雷がミナスの頭上から落ちてくる。
「おっ、おぉ―――?」
「ビリビリするぅ~~!!」
ミナスは一切変わらない声のトーンでそう口にする。
全然効いているようには思えない。
手ごたえを一切感じない。
私は一体、何とやり合っている?
シータはそんな感情に支配される。
ならば今度はその胴体を斬り落とすっ!!
シータは一瞬でミナスの背後へ回る。
抜いた刀でミナスは真っ二つに切り裂いた。
刀の扱いにも長けている。
ドサッ!!
ミナスの上半身が空中を一回転して、地面へと落ちる。
人間の身体とはこうも手ごたえの無いものなのだろうか?
決して多くはないが、刀で人を斬ったのは初めてではない。
こんな柔らかい感触はしなかった。
「あぁ~~、久しぶりに綺麗な夜空が視える。」
「あ~~~り~~~が~~~と~~~う~~~!!」
ジュクジュク―――
ミナスの切り裂いたミナスの下半身が上半身側に吸い寄せられる。
まるでスライムの類。
簡単に身体が再生する。
「貴方は一体どうしたら死ぬの??」
シータは思わず聞いてしまった。
いや、こんな生命体を目の当りにしたら誰だってそう聞いてしまうだろう。
「さぁ―――??」
ミナスはシータに目を向けることもなく、一言、そう云っただけ。
「どうやったら死ねるかなんて、それはボクが聞きたいくらいさ。」
ゆっくりと立ち上がり、シータに目を向ける。
さて・・・どうしよっか―――
この子は健気にもボクを殺そうとしてくれている。
それは嬉しいことだ。
だから、お礼に"救済"を上げようか。
ミナスはそう考える。
そして、手をシータへと翳す。
「ダ―――」
「ひっ、止めて―――!!」
「お願いします・・・!!」
シータは既に無抵抗、涙目でこちらを見つめる。
その姿はまるで弱者―――
あれ?これでいいんだっけ?
コレは何?正しい事?間違っている事?
どっちか分からない。
ミナスは混乱する。
頭の中がグルグルする。
シータのその姿はまるで昔の自分―――
弱者である自分と彼女を重ねてしまう。
「君―――」
「本当はこんなことやりたくないんだよね?」
ミナスはシータにそう尋ねる。
眼を見れば分かる。
この眼は違う。
嬉々として人を殺めてきた者の眼ではない。
もしシータを殺したらリアはきっと怒る。
それに―――彼女はきっと・・・ボクと同じ弱者だ。
少しくらい救いがあったっていいんじゃないか?
「君の望みを・・・ボクに教えてくれるかい?」




