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第26話 あなたを殺すには?


~サファイアの街 跡地~

 

 ミナスが消滅させた街。サファイア。

 

 いつものように行商人が街に寄る。

 

 彼らはこの街が消滅したことを知らない。

 

 「これはどういうことだ―――?」

 

 行商人の一同は唖然。

 

 先日まで栄えていた街が丸ごと消え去っていたのだから。

 

 「これは一体何があったんですか・・・?」

 

 女の冒険者の一人が馬車から出てくる。

 

 「セレナさんはこの街出身でしたよね・・・?」

 「何が起こったか分かりますか?」

 

 彼女は首をブンブンと振る。

 

 「知っていたらこっちが教えてほしいくらいだ・・・。」

 

 

 「そうですか―――」

 

 

 「この街には妹とその婚約者がいたんだ―――!!」

 

 セレナと呼ばれたその女性冒険者は廃墟と化した街の方へ走り出す。

 

 街はボロボロになっている。

 

 つい先日、立ち寄った時は何の問題もなかったのに―――

 

 途方も無いくらい時間が経ったかのように家々は風化して触れればボロボロと崩れる。

 

 「これは私が妹に贈った髪飾り・・・!?」

 

 セレナは道端に落ちていた髪飾りを見つけ、手に取る。

 

 しかし、セレナが手に取った瞬間、その髪飾りもボロボロと崩れる。

 

 「そ、そんな・・・。」

 「エレナはもうこの世に・・・!?」

 

 セレナは突然の出来事に茫然とする。

 

 その後も彼女は妹が住んでいた家を探し出し、そこも誰一人いない廃墟となっていることを確認した。

 

 「エレナ、リュート・・・今、無事なのか?」

 

 この街で何があったのか、セレナはこの後必死に調べることになる。

 

~カーネリアン砦~

 

 「ミナスさん・・・、ちょっといいですか?」

 

 シータは部屋にいたミナスを呼び出す。

 

 リアやグランの働きもあり、あと数日で人員や物資がこの砦に揃いつつあった。

 

 帝国との闘いの準備も整いつつある状況。

 

 まずは帝国に占拠された王都の奪還―――

 

 「ん~~~、ボクに何の用だい?」

 

 ミナスはゆっ~~~くりと立ち上がり、シータの元へと歩く。

 

 不気味だ―――

 

 ミナスの間延びした言動にシータがそう感じる。

 

 ナメクジという生物がいる。

 

 ゆっくりと歩くあの生物に嫌悪感を抱く人は多い。

 

 このミナスという男はそれと似ている―――

 

 「この砦の近くに狂暴なオオカミの集団を見たという報告がありました。」

 「私だけでは駆除が難しいかもしれません。」

 「付いていただけないでしょうか?」

 

 シータはミナスに頼む。

 

 「いいよぉ~~~~!!」

 

 そう云って、ミナスは快諾する。

 

 そして、彼はゴソゴソとストレージを漁る。

 

 「ブーストシューズ~~~!!」

 

 ミナスはストレージから一足の靴を取り出す。

 

 「なんですか、それは―――?」

 

 「コレは移動速度を上げる靴だよ~~~。」

 「ボクは歩くのが遅いから、コレで~~カバーしようと思ってさ~~~。」

 

 

 そう云って、ミナスは靴を履き替える。

 

 こんなアイテム見たことがない―――

 

 本当に使える代物なのだろうか?

 

 そう思っていた矢先、その靴を付けたミナスの移動速度がいつも以上に上がっていた。

 

 「うわああ~~。」

 「久しぶりに付けたけど意外に速いなぁ~~。」

 

 ミナスが常人と同じくらいまでの速度になる。

 

 「走れそうですか?」

 

 「うん―――」

 「使い方にも慣れて来たよ~~」

 

 そう云って、ミナスはシータに付いて行けるくらいに走る。

 

 足が遅いものを道具でカバーする。

 

 その道具もどこから出したのか分からない。

 

 レアリティの高そうな代物。

 

 やはり、この人は危険だ―――

 

 得体が知れなさすぎる。

 

 「アレが例のオオカミ達みたいですね―――」

 

 「レベル30・・・。」

 「あれじゃあ、ボクは殺せないね。」

 

 ミナスはそう云って、興味を失う。

 

 「やれそうですか?」

 

 シータはミナスに確認する。

 

 殺せるかというのなら殺せる。

 

 「うん、あの位なら容易いよ―――」

 「でも、ボクがまた勝手に殺すとリアが怒るんだ―――」

 

 ミナスはそう云って、どうするか考えている。

 

 このままでは逃げてしまう。

 

 「早くしないと逃げてしまいます―――」

 「アレは人間にとって危険な存在です。」

 「アレを駆除すれば、リア様も喜んでくれます!」

 

 「えっ~~~本当?」

 「じゃあ、もしリアが何か言ったら君が責任取ってくれる?」

 

 「えぇ、リア様には私から言っておきますから―――」

 

 シータはそう云った。

 

 「分かったよ~~~」

 「もしもの時は頼むよぉ~~~」

 

 「能力値降下ダウン!」

 

 ミナスがそう云うと、オオカミ達は一掃される。

 

 力の制御もかなり慣れて来た。

 

 対象以外に害が及ぶこともほとんどなくなってきた。

 

 「駆除できたよ―――」

 

 「ありがとうございます―――!!」

 

 ミナスが振り向いた瞬間、シータの忍者刀がミナスの脇腹を刺す。

 

 「えっ―――!?」

 「えぇ~~~~!?」

 

 突然のことでミナスは驚いた顔になった。

 

 

 

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