第22話 なーんだ!!人の上に立つって、腕が立つってことじゃなくて、口が立つってことなんだね
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~領主インテグラルの屋敷内 応接室~
少し不自然過ぎたか―――?
リアは焦って、ミナスの口を塞いだが、周りの様子を伺う。
皆、不思議そうな顔をしているが、怪しんではいなさそうだ。
うん、とりあえず話題を変えて、何事も無かったかのように押し切ろう―――
リアはそう決めた。
「と、ところで―――、ここに来る前にシータさんから"解放軍"を作るということを聞いたんですが、それって具体的にはどういうことなんですか?」
「帝国軍がこの王国内の街や村を襲っているっていうのは先ほども話しましたよね―――」
「当たり前ですが、それに反抗する人たちも少なくありません―――」
「例えば、グランさんのように実力のある冒険者の方などがそうですね。」
「そう云った方々を集めてこの地に作るのです。」
「帝国から逃げ延びてきた、もしくは帝国に反抗する勢力をッ!!」
「ふーーん・・・・。」
ミナスは品定めするような視線をインテグラルに向ける。
そして、鼻から声を出して、話を聞く。
「その中心となる指導者としてラナー姉様を・・・?」
リアはラナーの顔を向いて、顔を見る。
ラナーはニッコリと笑顔で返し、こう云った。
「貴方もですよ―――リア。」
「そういうことです―――」
「王国の第三王女、第二王女の二人が解放軍のトップに立ったとなれば、その求心力はとても大きいものとなるでしょう―――」
「私共の方で、有志を募集いたします―――」
「ラナー様とリア様はそうして集まった皆の前に立ち、皆の希望となるだけでよいのです。」
「どうですかな?リア様―――」
要するに私たち二人をシンボルに旗揚げしたいということね・・・。
リアは、口を閉じ口元に手を当て、少し考える。
勿論、インテグラルさんも慈善事業で解放軍立ち上げという大掛かりな作業をやろうという訳ではないだろう。
メリットが見込めるからの話だ。
それは勿論、帝国軍を追い払った後の恩賞だろう。
領土であったり、金銭であったり、人手であったりと―――
もしくは、政治における発言力とか・・・ぱっと思いつくだけでこれだけある。
十分に私たち二人を助けるメリットがあるからの申し出だ。
当然、理解も納得も出来る。
そうね・・・
一旦、ミナスに相談してみる?
ミナスが何千年、何万年も生きているというのが本当ならこういう時、どうすればいいのか、いい助言をくれるかもしれない―――
うん、そうしよう―――
リアは口を開いた。
「ねぇ・・・ミナス。」
「私、どうするべきだと思う―――?」
思い切って、ミナスに尋ねた。
そうしたら、ミナスはリアの方を向いてこう返答した。
「さぁ・・・?」
「リアの好きなようにしたら―――」
両手を広げて、眉を上に向けてそう答えたの。
信じられる?
コイツ、本当に何年生きてんのよ―――!!
無駄に歳重ねて来たんじゃないの―――!!
そんなミナスの態度に一気に怒りが込み上げてきたが、ここで怒っても仕方ないと落ち着くように胸に手を当てる。
「少しでも期待した私がバカだったわ・・・」
「フフ・・・仲がいいのね―――」
ラナー姉様は私とミナスのやり取りを見てフフと笑いを漏らしていた。
「ラナー姉様はどうするべきだと思いますか?」
今度はラナー姉様に聞いてみた。
ラナー姉様ならこういう時にどうした方がいいか教えてくれるだろう―――、どっかの誰かさんと違って。
「そうね・・・リアはまだ幼いし、無理をしなくてもいいと思うわ―――」
「ただ、リアがやるかやらないかどちらを選んでも私は皆の指導者として立ち上がるつもりよ―――」
「皆の自由と尊厳を守る―――、それが王族としての責務ですもの―――」
ラナー姉様は流石だ―――
国のことを第一に考えていらっしゃる。
「私やりますッ!!」
「私だって、この国の姫ですッ!!」
「みんなの為に戦いたいッ!!」
「ラナー姉様だけに負担は掛けられませんッ!!」
リアは立ち上がり、そう宣言した。
志の高い、覚悟の籠ったいい眼をしている。
「おぉ―――、それはこちらとしてもありがたいですな!!」
「リア様も立ち上がってくだされば、更なる皆の希望となります。」
インテグラルさんも嬉しそうだ。
「そうと決まれば、こちらも早急に人を集める準備を進めます。」
「えぇ、お願いします!!」
リアはインテグラルに向かって一礼をする。
「そこで、解放軍設立に向けて、リア様達には一つお仕事をしてもらうと思うのですが、よろしいでしょうか?」
仕事・・・?何だろ―――
インテグラルからの突然の依頼に戸惑ったが、こちらとしても協力は惜しまないつもりだ。
とりあえず、話を聞いてみることにした。
「お仕事とはなんでしょうか―――?」
「はい、それはですね―――、解放軍の拠点とする場所なんですが・・・」
インテグラルの説明をリア、ミナス、グランの三人は黙って聞いていた。
要約すると、こういうことのようだ。
ここより南に過去の大戦時に使用していた古びた砦があるそうで、その砦を解放軍の拠点として使用したいということらしい。
しかし、一つ困ったことがあり、どうやら過去の大戦以降、その砦は使用されることもなくなった為、現在は魔物たちの巣窟になっているらしい。
そこで、私達にその魔物の駆除をお願いしたいらしい。
魔物の駆除ということで危険な仕事だが、こちらにはS級冒険者のグランさんがいることでそこまで危険ではないだろうとインテグラルさんは見込んでいるようだ。
まぁ、グランさんに加えて、こっちにはどんな相手も一瞬で死に追いやるミナスがいる。
この二人がいればそう危ない目に遭うことはないだろう。
「・・・とまぁ、仕事の内容はこんな所になります。」
「こちらからはシータも付いていかせようと思います―――」
「お好きなようにお使いください。」
シータは小さく会釈をする。
シータさんもか・・・こちらとしてはありがたい。
インテグラルさんとしてはミナスがどうヤバいか知らないから、シータさんもということなんだろう。
「どうでしょうか―――?リア様。」
インテグラルはリアに回答を求める。
「勿論です―――ッ!!」
リアは快諾する。
ラナー姉様とインテグラルさんは解放軍志願の人を集める作業をするから、私達は私達の出来ることをする。要はそういうことだ。
リアとインテグラルは互いに握手をして、結託をする。
全ては順調に進んでいるかに思えたが―――
ここで、ミナスが突然気味の悪い笑みを浮かべる。
「なーんだ!!人の上に立つって、腕が立つってことじゃなくて、口が立つってことなんだね―――」
ミナスは皆に聞こえるようにそう云った。
「ちょっと、それどういうことよ!!」
せっかく話が纏まりそうだったのに、ミナスの言葉で白紙なんてこともありえる。
リアはミナスにどういう意味か問いただす。
「いやいや・・・言葉の通りさ。」
「別にリアが決めたことならボクは従うだけなんだけど―――」
「でも、よく考えてみて欲しいんだ―――」
「解放軍の拠点として使うからってボクやグランだけならまだしも―――、リアも行く必要が本当にあるかな?」
「そりゃあ、私抜きでアンタを行かせるのは恐いから私は行くわよ―――」
リアはそう反論する。
「うん、そうだね―――」
「確かにリアはそうだ―――」
「でもその辺の事情はそこの領主様は知らないハズだ。」
「それは・・・きっとアレよ」
「ココにいるよりもグランさん達に付いていった方が安全だと思ったのよ!!」
「もしまた帝国軍が襲ってきたら、ラナー姉様だけならまだしも私も守るってなるとインテグラルさんも大変なのよ!!きっと―――」
「そうですよね―――?インテグラルさん!!」
「あ、あぁ・・・その通りだ―――」
二人の圧に押されたのか、インテグラルは少し言葉に自信がなさそうだ。
「まぁ、いいや―――」
「さっきも言ったけど、ボクはリアの言う通りに動くよ。」
そう云って、ミナスは部屋を出ていった。
「す、すいません―――」
「アイツ、変なヤツなんですよ・・・!!」
リアはインテグラルに向かって何度も謝罪した。
全く・・・"静観"するつもりだったのに―――
つい口を出してしまったじゃないか・・・
あんな強烈な"ウソ"の匂いを平気な顔で撒き散らされたら、流石のボクも口を出しちゃうよ・・・
本当~~~にっ!!
ボクはお人好しなんだからさーーー
自分でも困っちゃうよーー
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