第14話 いい朝を迎えた日はやっぱり死にたいって思う
早く仕事から解放されたい。こんなに働きたくない。誰かに利用されるだけの人生きつすぎる。
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~商業都市エメラルド 市街地~
夜は明け、翌朝となり、眩しい程の朝日が昇る。
街を朝日が照らす。
街の人々が活動を始める。
いつもの日常―――、徐々に増える街を行き交う人。
「それでは、お二人をご案内いたします―――」
ミナスとリアは昨晩泊まった宿をチェックアウトし、玄関口に待機していたシータと合流する。
「これからラナー姉様と会えるっ―――」
リアは期待で胸がふくらんでいた。
ミナスは十分な睡眠を取ったのにも関わらず、真っ黒な隈を付けている。
いつもそうだ、寝ても覚めても夢を見ているような感覚。
苦しくて苦しくて、一周回って何も感じなくなって、早く死にたい。
いい感じに朝を迎えてしまう。
そんな二人に、いや街全体を事件が襲う。
事件?帝国の強襲は事件なんてものじゃない、侵略だ。
大量の砲撃が街の外より降り注ぐ。
街の家々に火の手が上がる。
「た、大変だっ―――!!」
「武器を持った帝国軍が攻めて来たぞッーーー!!」
茶髪の男性が声高に叫ぶ。
「ッ―――!?」
街の中は騒然とする。一瞬静かになったが、それ以降はパニック状態だ。
どうしよう、どうしようと、人々はその場に立ち尽くすか逃げ惑う―――、そのどちらかだ。
街を囲んでいた数メートルの城壁をニュルニュルと触手のような植物のツタが伸びてきた。
街の外へ避難しようとした人々は、言葉を失い空を見上げる。
「な・・・なんだよ・・・これ!?」
街の外に街全体を囲うように巨大な植物が生えている。
これじゃあ、城壁をよじ登っても街の外へ出られない。
唯一、街の外へ出ることの出来るのは正門のみ―――
しかし、その正門は帝国軍が既に構えている。
脱出は不可能―――
しかも、その街の外から見える巨大な植物は今もなお成長し、街の中へ侵入してきている。
まるで意志を持つかのように、人間を飲み込み、それを栄養にするようにさらに大きくなる。
「この木・・・俺達を喰ってデカくなってやがる・・・!?」
人々にはその巨大な樹木が魔物に視えた。
人間の血を吸ってデカくなる、その植物に恐怖した。
一層、街に恐怖が広がり、パニックが伝染する。
小さな子どもたちは大人たちに見捨てられ、置き去りにされる。
泣きじゃくる子どもたちが街の至る所にいた―――
帝国軍が一瞬にして、このエメラルドを地獄絵図に変えた。
「泣かないで―――、安心して!ねっ!」
リアは子どもたちにそう言い聞かせて、頭を撫でる。
精一杯の笑顔を見せて、子どもたちを安心させようとする。それはこの国の姫としてというよりも、一人の人間としてそう行動をしたいと思ったからだ。
「リア様・・・いかがなさいましょうか?」
シータはリアに尋ねた。その眼差しは真剣だ。
「ミナスっ・・・!!」
リアはミナスの方を向いて、大きな声でそう云った。
敵は排除する―――、その一択だ。
~商業都市エメラルド 正門~
「砲撃やめ~~~~っ!!」
鳴りやまぬ砲撃―――
エメラルドに向けて撃たれる炸裂弾。直撃すれば簡単に人体や物体を吹き飛ばす程の威力の物を何発も大筒砲から撃っている帝国兵。
「砲撃やめだって言ってんだろうが―――ッ!!」
爆撃の音があまりにもデカかったため、アルバックの声が兵士たちに行き届いていなかった。
アルバックは無視されたと思い、兵士たちの頭を強めに叩く。
一人叩かれたところで、周りの兵士達もそれに気づき、即行動を止める。
兵士たちは生唾を飲む―――
アルバックはそれだけ部下たちにとって恐怖の象徴だった。
「俺の可愛い植物ちゃん達に火が付いたらどうすんだよッ!!」
「も、申し訳ございません―――!!中尉殿!!」
兵士たちは下を向き、申し訳なさそうにする。
「あ~~~、もういい!!」
「テメェー等は、ここにいろ―――ッ!!」
「誰一人ここを通すんじゃねェーぞ!!」
「この街の奴らはもう誰一人外には出られねェーからな!!」
「何人かは俺についてこいッ!!」
「こっから先は、お楽しみタイムだッ!!」
砲撃は云わば帝国兵が来たという報せ、街の外を囲んだ植物は街の人間をパニックにさせる道具、後は恐怖に震えた無力な人間たちを俺が調理すれば終わりの簡単な仕事だ―――
アルバックは数人の銃を携えた部下を引き連れて、街の中へと入っていった。
「リア王女は、街の人間を何人か殺れば、炙り出せるか~~~~?」
「おい!!テメェー等この辺の奴ら適当に殺してこい!!」
「ハッ!!」
アルバックは部下の命じた。
リアを炙り出す為、殺戮行為を行うことにした。
「お~~~い、リア王女様よォ~~~!!」
「ココにいるのは分かってんだァ~~~!!」
「出てこないなら、この街の奴らを順々に殺していくからな~~~!!」
「きゃーーー!!」
「や・・・止めてくれ!!殺さないでくれーーーッ!!」
「恨むなら、この国に生まれたことを恨むんだなァ~~~!!」
アルバックは罪のない人々を腰に引っ提げた銃で撃ち殺していく。
命乞いなどまるで意に介していない。
バン!バン!バン!!
銃声が街に響く。
ニヤニヤした笑みを浮かべて、苦しみ悲しむ街の人たちの命を刈り取っていく。
「おお~~、うっせーーー!!」
「あんまり普段銃なんて使わねぇーーからな!!」
「慣れねぇーーぜ!!」
「やっぱ、俺の好きな武器はこっちだな~~」
そう言って、アルバックは腰にグルグル巻きで付けていた鞭を手に持った。
約5メートルは伸びる鞭を武器に街の人たちを傷つける。
「いっーーー!!」
「止めてくれーー!!」
「おー!おー!やっぱこっちだな!!」
「人間の苦しむ表情が視れるから、こっちの方が楽しいぜェ~~~!!」
「すぐ殺しちゃつまんねぇーもんな~~~!!」
「おい!そこの帝国兵!!」
「貴様らか!!この街をこんなに事態にしたのは―――ッ!!」
暴虐を尽くすアルバックの前に現れたのは、"剣王" グランとその後ろに数十人の冒険者達だった。
ランクの高い者もいれば低いものもいる。
S級のグランが一番戦闘力が高い。
「あ"あ"ァ"~~~~!!?」
低い唸り声のような声を上げて、グラン達を睨みつけるアルバック。
「正義の味方気取りかァァ~~~雑魚共ォォ~~~!!」
「我が名は"剣王" グラン!!」
「貴様らのような悪党から街を守る者だッッ!!!!」
グランはその身に着けていたその白く輝くの大剣を構える―――
闘気を放ちながら―――
「"剣王" グラン~~~?聞いたことがあるなァ~~~!!」
「確か、S級冒険者だったか~~!!」
「ちったァ~~、面白そうな奴もいるじゃねぇーーか!!」
アルバックはS級冒険者と言ってもまるで動じない。
彼は植物の力を利用して頭の中の脳内麻薬を増大させていた。
エメラルドを守るグラン達冒険者とアルバック率いる帝国軍がぶつかる―――
そのころ、リアたちは帝国兵がいる正門の方向へと向かっていた。
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