きらきらしてそう
わたしはね、全部壊すのが好きなんだ。
ただ壊すだけ、他の人は壊さないから壊さないだけで、ずっとずっと壊してるだけが好きだった。皆もそうでしょう? 壊すだけ。机が破片になるの。機械が部品になるの。ガラスが割れて、粉々になった雪みたいにキラキラしててとってもきれいなの。
でもね、誰も壊さないの。壊しちゃいけないの
本当は壊すだけが好きなの。あなたが好きな人を壊したいの。あなたが嫌いな人を壊したいの。全部全部、綺麗に無くなって何もなくなるまで壊しつくしてようやく一息つくの。
ああ、満足したって。
壊すだけ。それだけが好きで、ずっと夢見てて。なのにしちゃいけないの。だってそのあとが面倒くさいでしょう? 後片付けもしなきゃ。壊すものも考えなきゃ。怒られちゃうもの。
なくなったあとで面倒くさくなるの。壊さなきゃよかったなあって。でもね、壊すのが好きだから、それ以上に壊したくなる。壊して壊して全部なくなって、でも壊すこともできなくなるのが嫌でずっとずっと我慢するの。
壊して、怖がられて、気味悪がられて、嫌な顔をされて、そんな嫌な顔をした人も全部全部壊して、それでようやくすっきりする。どうすれば許してもらえるんだろうって考えても許してもらえる方法なんてないし、壊した後で面倒くさくなるのが嫌だから、しないように。皆と同じようにするのが一番楽なの。
でもね、それじゃあいつまでたっても壊せない。
破片が山になっていくのは嫌。平たく積んで並べていく。ガラクタの山を作るのは汚い。だから全部綺麗に組み立ててもう一回ばらばらに壊してならべるの。綺麗に割れたガラスをもう一度半分に割って割れなくなったら叩いてすりつぶしてばらまくの。それでやっときれいだなって思うの。
便利じゃないから、役に立たないなって思うけど、綺麗だよね。
とっておきの物はすぐ壊したいんだ。他のどうでもいいものを全部壊すの。壊して壊して壊して壊して理由を聞かれてああ自分がようやく壊してるんだって気が付いて、でももっと壊したくて壊すの。
なんでかな。壊すと怒られるの、困っちゃうのに。
痛いのも面倒くさい。眠るのも面倒くさい、後片付けも面倒くさい。
ああでも、ガラスの雪は見てみたいな。綺麗に見えない?